ネモに聞いた転職、アミューズ、婚活までの話(前編):倉持由香のゲーマー交遊録【第5回】

倉持由香

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これまでの連載の中でもたびたび名前が登場するネモ選手。彼が所属するesportsチーム「Team Liquid」が、エンターテインメント事業を展開している「アミューズ」とパートナーシップ契約を結びました。このニュースを目にした方もたくさんいたと思います。

今回はそんなネモ選手にアミューズ移籍のきっかけから婚活事情までをじっくり聞いてきました。

バスケを始めて身長が30cmアップ

倉持由香(以下、倉持):この連載では恒例の最初の質問から話を聞かせてください。ネモさんは、インタビューで何について聞かれるのが一番うれしいですか?

ネモ:
うーん、格ゲー以外のことじゃないかな。

倉持:そうなんですか!?

ネモ:
結局、これまでずっとゲームをやってる人生だからね。仕事に行って、就業後には格ゲーをやるを繰り返してる人生。 だからこそ、インタビューではそれ以外の話を聞いてほしいみたいな。

倉持:なるほど。じゃあ今日は格ゲー以外の話も多めにしますね! ネモさんの格ゲー以外の趣味は何ですか?

 

ネモ:
体を動かすことは好きですね。中学時代はバスケ部でしたし。

倉持:バスケ部だったんですか、身長高いですもんね!

ネモ:
中学でバスケを始めてから、身長が30cmぐらい伸びたんですよ!

倉持:30cm!? 伸び方がすごい!

ネモ:
もともと150cmぐらいだったのに、中学を卒業するときには180cmぐらいになってましたね。中学の制服の袖が、どんどん短くなっていく感じでした。

社会人になってからも、フットサルなど、スポーツには積極的に参加してますね。最近だと、志郎さんに誘われて、b-monsterっていうボクシングフィットネスを始めました。

倉持:ネモさんのツイッターで、「仕事前にb-monsterに行きます」というのを見かけます。忙しいのにすごいなと思うんですよね。あれはダイエットを兼ねて行ってるんですか?

ネモ:
そう、もともとダイエットを目的として始めたんですよね。

倉持:ダイエット中ってつぶやかれてても、ネモさんって全然太ってるように見えないんです。

ネモ:
それが、今は人生でマックス太ってるかもしれない。

倉持:何太りなんですか? お酒?

ネモ:
動かなかったからだね。実は転職期間中にもb-monsterをやってて、そのときにある程度筋肉を付けたんだけど、そのタイミングで海外遠征があったからいったん辞めたんですよ。

その後、スクエニへ転職をしたんですが、転職後は仕事とゲームの毎日で。運動をしない生活を続けてたら、太っちゃったんですよね。

 

倉持:ネモさんといえば、格ゲーマーの中では屈指のスタイルの良さというイメージです。

ネモ:
いや、それは他の格ゲーマーがちょっと、あれなんじゃないの?(笑)

倉持:確かに、格ゲーマーの方で背が高い人ってあまりいませんよね。

ネモ:
ボンちゃんぐらいかな。他はみんな170cm前後ぐらいだよね。

倉持:なので、格ゲーマーの集合写真を見ると、「ネモさんは足が長いな~~」って思いますよ。

ネモ:
ありがとうございます! アミューズに移ったこともあって、メディアに出る機会も増えるだろうし、見た目には気をつけるようにしてますね。

去年辺りまではひたすらゲームを練習してたこともあって、太っちゃいました。

アミューズとの契約で証明された元マネージャーの営業力の確かさ

倉持:スクエニへ転職されましたが、そこではどんな仕事をされてるんですか?

ネモ:
ゲームのマーケティングを担当してます。ゲームをどうやって面白く見せるか、ということを考えながらやってます。

倉持:スクエニに入る前も会社員をされてましたが、そのときはどんな仕事だったんですか?

ネモ:
スクエニに入る前は、システムエンジニアとして働いてました。クライアントの要望に合わせて仕様を決めて、要件を定義して、プログラミングをして、機能改善をしていくという仕事です。

そういう意味では、仕事はガラリと変わりました。ですが、仕事で使うアプリの使い方やタスクごとにスケジュールを立てるなどのスキルは、今の仕事にも生きてますね。

とはいえ、一から勉強する必要がある業務もあります。ゲームの法務にまつわることなどは知識がない分、大変ですね。

 

倉持:法務系は解釈を間違うとトラブルになりますもんね。今回、アミューズに所属が決まった経緯を教えていただけますか?

ネモ:
もともと、ウメハラさんと同じ事務所(クーパーズタウンエンターテイメント)にいたんですよ。

ちょうどその頃、僕はAlienwareとのスポンサー契約の話が進んでいて、代理人を探していた時期でした。その話をウメハラさんにしたらある方を紹介してくれて、その方が僕のマネージャーになってくれました。このマネージャーのおかげで、スポンサー契約は合意できました。

その後、マネージャーがクーパーズタウンエンターテイメントを離れることになったんです。自分としては、これまでお世話になったこのマネージャーに信頼をおいてましたし、スポンサーからの信用もあったので、その方といっしょに別の事務所へ行くことにしました。

倉持:そうだったんですね。

ネモ:
で、別の事務所へ移ったんですが、移って間もない頃にいくつかのやむを得ない事情で、そのマネージャーがマネージメント業務を離れることになったんです。

それで、「わかったけど、代わりを見つけてきて」となったわけです。

倉持:その代わりが、アミューズですか!?

ネモ:
そう。だから、すごい営業力はあるなと(笑)。

倉持:ネモさんがアミューズ所属になるというニュースを見たとき、ええええ!? ってなりましたもん。芸能やってる人からしたら、憧れの大手事務所ですから。

ネモ:
でもオレ、アミューズを知らなかったんだよね(笑)。芸能関係のことは、全然知らないんだよ。

むしろ、オレより親はよろこんでくれたね。親の世代でも知ってるサザンオールスターズや福山雅治さんと同じ事務所ですし。

社会人でもゲームをやめなくていいことを証明したい

倉持:ネモさんは会社員とプロゲーマーの兼業ですが、兼業であることへのこだわりはあるんでしょうか?

ネモ:
こだわりっていうのは、特にないですね。実は、僕の父親は要介護なんです。この状態で「仕事をやめてプロゲーマーになる」というと、母親も心配しますし。それで、自分なりの兼業スタイルで行けるところまで行ってみようと決めました。

掲げている目標としては、「社会人になったら、ゲームをやめなければならない」という風潮を変えてくために、自ら兼業でやって見せようとも思ってるんです。

倉持:専業プロゲーマーの道を選ぶための条件のようなものはありますか?

ネモ:
親が安心することですよね。これは年収がどうこうではなくて、親がプロゲーマーとして生活していくことを理解してもらえるという意味です。

現在の年収を話せば数字としては納得してくれるとは思うんですが、まだ「専業プロゲーマーとして生活する」という部分の理解は難しいんじゃないかなと思います。そういう意味でも、メディアに出ていろんな情報を発信していきたいですね。

 

倉持:専業プロゲーマーと比較すると、練習時間などの制限があると思うのですが、ネモさんはどういう意識で練習されてるんですか?

ネモ:
相手の実力を見極めることが重要だと思います。例えば、今ときど選手はこれぐらいの実力だから、勝つためにはこれぐらいの練習と対策が必要だと予測する。具体的には、動画を見て動きを研究する、その上で相手の勝ちパターンを推測するといった感じです。

これはある意味、格ゲー独自の考え方だと思います。

こういうことをまったく理解していない状態で何時間練習しても、勝てないと思います。

倉持:つまり、ただ長い時間練習すればいいというものではないと?

ネモ:
そうだと思います。相手に対してイメージトレーニングをした上で、練習するほうが勝率はいいんじゃないかと思ってます。

倉持:ネモさんの1日のスケジュールはどんな感じでしょうか?

ネモ:
毎朝7:00に起きます。9:00ごろからb-monsterでトレーニングして、11:00に出社。19:00までスクエニで仕事をして、そこから21:00~22:00ぐらいまで練習ですね。

裁量労働制で働いているので、今日みたいにインタビューがあれば14:00に上がったり、その日の業務量次第では早めに上がって、みんなのとこに行って練習をしています。

倉持:練習はご自宅ですか? 練習部屋には行ったりしますか?

ネモ:
練習部屋にも行きますね。とはいえ、仕事が早く終わったときですが。練習部屋に行っても行かなくても、24:00ぐらいには寝ます。睡眠時間は大事にしてます。

体を壊すと休みを取る必要がでますよね。これが僕にとっては有給取得に当たるんです。当然ですが、有給は海外遠征時に使いたいんですよね。だから、睡眠には気を使ってます。

倉持:海外の大会ではギリギリに現地入りして、終わったらすぐ帰ってますよね。

ネモ:
会社の規定に沿って活動しているので、海外からの帰国後そのまま出社ということもあります。

倉持:過酷すぎる! 朝b-monsterで体を動かしてからの仕事は疲れないですか?

ネモ:
今年になって始めたことなので、まだわからないかな。大会で疲れにくくするために、始めた側面もあるですが、効果測定はこれからですね。

倉持:海外遠征は体力勝負ですものね。スケジュールが混んでくると、週の真ん中だけ日本であとは全部海外とかもありますし。

ネモ:
ですね。去年は金、土、日は海外大会へ行って、戻ってきて平日はRAGEの収録というのがありました。これは体力的も厳しいですし、満足に練習もできません。しかも、僕の場合はこれに加えて、スクエニの業務がありますから。

倉持:その時期は地獄のスケジュールすぎて、専業プロゲーマーの方々もひーひー言ってましたよ。それでも、ネモさんはesportsのいろんな仕事をできる限り引き受けていきたいという感じですか?

ネモ:
いや、あんまり引き受けたくない(笑)。兼業でやっている分、練習時間確保が課題なので、メディアの取材などは断ってました。

倉持:そうなんですか!? 今日は受けてくださりありがとうございます!(笑) ネモさんとしては、アミューズに所属したからぐいぐいメディアに露出していこうという考えはないんですか?

ネモ:
もともと、ゲームがしたくてプロゲーマーになったので、そういうのはないですかね。

倉持:なるほど、やっぱり軸となるのはゲームのプレイなんですね。

 

(後編に続く)

写真・大塚まり

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記者プロフィール
倉持由香
ゲームに本気で取り組む100cmのもっちりヒップ、尻職人グラドルゲーマー。14歳でゲーム配信者デビューをし、格ゲーマーとの交流が深い。自宅のゲーミングスペースにはPCやゲーム機に加え、雀卓も完備。ストVでの使用キャラは、レインボー・ミカ。

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