小学生からPCでFPSをプレイするゲーマーはつめ:倉持由香のゲーマー交遊録【第11回】

倉持由香

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昨年12月にゆるふわeスポーツ女子座談会に参加させていただいて女子トークをしたんですが、限られた時間だったこともあってあっという間に終わっちゃいました。この女子座談会のときに「私はNGなしなんで」と飛ばしていたはつめ選手。

そこで連載11回目は、話足りなかった女子トークに加えて、はつめ選手のゲーマー道について話を聞いてきました。2月23日に行われるはつめ選手初の単独イベント「青春奪還」についてもうかがいました!

かずのこ、板ザンより口に出していいたくなる語感のPN

倉持:
私服は普段こういう感じなのかな? 女の子らしいね!

はつめ:
いろんなタイプの洋服を着ますね。私が外出するのは、対戦会、友だちと出かける、仕事の3つなんですが、対戦会のときはふらっと駅まで行くような感じのスタイルがほとんど(笑)。

倉持:
今日のスタイルは冬デートっぽい感じでまとまってて素敵! このインタビューでは、「何を聞かれたらうれしいか?」を最初に聞くようにしてます。ゲームのことがいいのか、逆にそれ以外のことのほうがいいのかとかです。

はつめ:
難しいな……。バランス良くお願いできるとうれしいです(笑)。

 

倉持:
わかりました! まず、「はつめ」ちゃんの名前の由来を教えていただけますか?

はつめ:
中学生のときに読んだ「ひらめきはつめちゃん」という漫画があるんですが、キャラがすごくかわいくて、そこから「はつめ」にしました。

倉持:
ゆるっとしたかわいい絵柄だね。

はつめ:
そうなんですよ! 先日、作者の大沖さんから「プロゲーマーのはつめさんは、『ひらめきはつめちゃん』から名前をとってくださってるんだ」という認知もしていただきました。

倉持:
それはうれしい! しかも、はつめちゃんって、口出していいたくなる語感だよね。

はつめ:
全然悪く言うつもりはないんですが、「かずのこ」とか「板橋ザンギエフ」よりは親しみやすいんじゃないかと思います(笑)。

倉持:
かじゅ(かずのこ選手の愛称)は、かずのこってプレイヤーネームにしたことを後悔しているんじゃないか説もあるよね(笑)。はつめちゃんっていうのは、実際に名前としてもありそうだし。

はつめ:
そういう意味では、私の中学生センスは悪くなかったのかなと。

倉持:
ということは、中学の頃からずっと「はつめ」を使ってるんですね。ゲームを始めたのもその頃?

はつめ:
そうですね。対戦型ゲームは小学5年生ぐらいからやってて、「War Rock」という32人 vs 32人のFPSをやってました。そのあと、大会なども行われていた「クロスファイア」というタイトルもプレイしましたね。

そして、「ペーパーマン」という紙でできたキャラのFPSを始めたあたりで、はつめと名乗るようになりました。

倉持:
初めて聞いたタイトルもあります。全部PCゲームだと思うんですが、自宅にあったの?

はつめ:
お父さんがPCゲーマーなんですよ。最初はお父さんがいないときにPCでゲームしてたんですが、その後、お古のPCをもらってガッツリPCゲームにハマりました。

その頃からは、お父さんとも一緒にPCゲームをやってましたね。

倉持:
親からは「ゲームばっかりやって!」って言われている家庭が多い中、ある意味で英才教育だし、恵まれた環境だね。お母さんは反対してなかったの?

はつめ:
お母さんはスマホを上手に使えないぐらいの機械音痴だったんで、なにをやっているのかがわからなかったのはあると思います。

だけど、「またパソコンに向かって1人で話してて怖い」みたいなことは言われました(笑)。

倉持:
その後もしばらくFPSをプレイしてた?

はつめ:
そうですね、当時は大会出場なども狙うチームに入ってたんですが、高校受験を機にガッツリゲーマーからカジュアルゲーマーに変わりました。

で、高校に入ってからまたガッツリゲーマーに戻りつつ、高校2年生の終わりぐらいときに格ゲーに出会いました。

倉持:
最初に触った格ゲーは?

はつめ:
ちゃんとプレイをしたのはスト5からなんです。

当時、ウル4(ウルトラストリートファイターⅣ)最後のTOPANGAリーグで、かずのこ選手のユン対ネモ選手のロレントの試合を見たんです。今改めて見ると、ネモさんがロレントを使ってはめてるだけのひどい試合ですが(笑)。

倉持:
ロレント使ってる時代はネモさんが悪い顔してて、イキイキしてたもんね(笑)。

はつめ:
でもこの試合を見て、かっこいい! と思ったんです。ただ、この話を今の仲間にすると、「はつめ、マジで性格悪いね」って言われちゃいますけど(笑)。

で、ウル4からスト5が出るまでの間にギルティシリーズなどの格ゲーに触れて、スト5を始めようとなったんです。なので、本腰を入れて始めた格ゲーはスト5からですね。

一人暮らしの相棒は運命を感じたの猫のひなた

倉持:
はつめちゃんの1日のスケジュールを教えてください。

はつめ:
終わってる生活してるんですけど、いいですか?(笑)

倉持:
大丈夫、だいたいみんな同じだから!(笑)。朝ちゃんと起きてるのは、これまでに聞いた選手だとネモさんとsakoさんぐらいかなあ。

はつめ:
仕事があるときは、ちゃんと予定に合わせて起きます。特になにもないときは、お昼ぐらいに起きて、動画編集や家事を18:00ぐらいまでしますね。18:00からはゲームを始めて、20:00-21:00ぐらいから配信です。24:00ぐらいまで配信をすることが多くて、その後はお風呂や夕飯。

そこからまたゲームをしたりツイッターを見るので、だいたい寝るのは5:00ぐらいでしょうか。

倉持:
動画編集も全部自分でやってるの?

はつめ:
格ゲー関連の動画は、基本的に全部自分でやってますね。それ以外の動画は、スタッフの方にお願いしている状態です。

ただ、撮った動画を見直して編集スタッフに指示を出す必要があるんですが、この作業がめっちゃ苦手なんですよね。なので、起きてからはこの作業をしていることが多いですね。

でも、ゲームやっているだけだと測りにくい知名度などもYouTubeでは数字に現れるので、やりがいはあります。

倉持:
確かに、数字で見えるのは目標は立てやすいよね。YouTubeチャンネル登録者数やツイッターのフォロワーも着実に増えてきてますが、手応えはありますか?

はつめ:
うれしいです! とはいえ、なんでこの層にフォローされるの!? ってこともあります(笑)。以前、インスタのストーリー機能で、「みなさんのお仕事を教えて」みたいなアンケートをしたことがあるんです。

そしたら、AVの撮影している方や漁師の方がいました。あまり接点がない職業の方だったのでびっくりしましたが、幅広い層の方に支持されるのは素直にうれしいです。そこから格ゲーが広がってくれると、なおうれしいですね。

倉持:
ライト層に格ゲーの面白さを伝えるのに、ツイッターやYouTubeはすごく大事だよね。でも、格ゲーのトップ層にいるウメさんやときどさんがあまりツイッターを活用してないから……(笑)。

はつめ:
ときどさんなんて、「このラーメン、どこのだかわかります?」みたいなツイートをたまにするぐらいだし(笑)。

倉持:
ウメさんは、「スト5します」ツイートbot化してるよね!(笑)。同じ文章だと連投規制が入るからなのか、たまに「5」が「V」になる程度。だから、はつめちゃんが上手にSNSを使いこなして、格ゲー界を盛り上げていってほしいです!

最近、一人暮らしを始めたみたいだけどどうですか?

はつめ:
はい、家から出なくなりました(笑)。Uber Eatsもあるし、ネットスーパーで食材も届くし。ただ、ご飯の回数は決めてないので、1日2食が基本ですかね。

倉持:
父ノ背中メンバーって、あんまり食べないっていうイメージがある! けんき君とadmin君が前の家のときによく遊びに来てたんだけど、「今日じゃがりこしか食べてないです……。なんかごはんありますか……」みたいなことをよく言ってたよ。ゲームに集中すると食べるの忘れちゃうのかな?

はつめ:
そうそう! 食べるのが面倒になっちゃうんですよね。

ただ、格ゲーは体力を使いますね。バトロワ系のゲームだと、プレイ中でも周りに敵がいないとちょっと休めますが、格ゲーがプレイ中ずっと集中して操作しますからね。なので、目の疲れよりも体の疲れが先に来ます。

 

倉持:
一人暮らしを始めて、猫ちゃんを飼い始めたんだよね?

はつめ:
そうなんですよー! 一人暮らしを始めてすぐの頃に、40度ぐらいの高熱が出ちゃったんです。

倉持:
一人暮らしの高熱は死を意識するよね……(笑)。

はつめ:
ほんと、そうですよね。だから、最初の1週間で心が折れてしまったというか……。で、父ノ背中のメンバーは猫を飼っている人が多くて、この話をしたら「猫はいいぞ」とおすすめされたんです。

もともと、猫を飼いたいとは思ってたので、毛色はこんな感じで、品種はこれがいいなと決めてたんです。で、たまたま里親募集のサイトをなんとなく眺めてたら、ピンと来る猫ちゃんを発見! イメージとは全然違う猫だったんですが、運命を感じて里親になりました。それが今の猫です。

倉持:
運命の出会いだね! 元気に育ってる?

はつめ:
はい、けど大きくなったというよりは、図々しくなった感じです(笑)。でも、すごく私になついててかわいいです。

倉持:
配信の邪魔をしに来たりはしないの?

はつめ:
めっちゃします! FPSはまだいいんですが、膝にアケコンをおいて格ゲーしているときに、アケコンとお腹の間に猫が入ってこようとするんです(笑)。そんな状況なのに、猫は寝るという。

倉持:
そんな隙間に入り込んでスヤスヤしちゃうんだ! 猫ちゃんのお名前はなんていうの?

はつめ:
(オス猫なので)「ひなた」君です。かわいいですよ。

名刺と自作の資料で営業したJK時代のはつめ

倉持:
ゲーム以外の趣味はなんですか?

はつめ:
音楽が好きなので、ライブやフェスに行きます。趣味の範囲ですが、ギターもちょっとだけ弾けます。自宅での作業中も、基本的には音楽を流してますね。

倉持:
ギター弾けるのすごい! どんなバンドやアーティストが好きなの?

はつめ:
一番好きなのは「indigo la End」で、去年はライブにも行きました。
学生の頃はフェスに行ったらモッシュエリアでぐちゃぐちゃになるのも平気だったんですが、最近はしっとりしたほうが好みですかね。大人になったんでしょうか(笑)。

倉持:
フェスも楽しいよね〜! 体力使うから確かに若くないと最前はキツイな……。

普段、自炊はしてますか?

はつめ:
ちょくちょくやってます。けど、作っている最中になぜかお腹いっぱいになっちゃんですよね。作って満足するというか。

倉持:
はつめちゃんは、あんまり食べないほう?

はつめ:
波がすごいんです。食べるときはすごい食べますよ。ただ、体が疲れていると逆に食べないとか、仕事が忙しすぎると常になにか食べてたいとか。

甘いものが好きなので、チーズケーキを作ったりしますよ。

倉持:
手作りチーズケーキ! 女子力高いなー!!

はつめ:
何があっても今、冷蔵庫の中にチーズケーキがあるぞと思うと、仕事が捗るんですよ(笑)。お母さんがスイーツ作りが好きだったので、子供の頃はよく一緒に作ってました。

 

倉持:
はつめちゃんがプロになった経緯は?

はつめ:
プロゲーマーになりたいとは思ってましたが、そんな実力がないことも自分でわかっていたんです。なので、ゲームの魅力を伝えるタレントとして、なにか一緒にできる企業を探してました。それが高校3年生のときで、名刺と自作の資料片手に営業に行ってましたよ。

倉持:
高3で!? それは行動力あるね!

はつめ:
ちょうどその頃に、ゲーマーとして活動したい私の思いと、COMPの「挑戦する人を応援したい」という方針が一致したので、スポンサードしていただきました。

このとき、プロゲーマーとして契約しましたではなく、活動をしていく上でスポンサーになっていただきましたと伝えたつもりだったんですが、反響としては「女性プロゲーマー誕生」みたいな感じにはなりました。

そんなこともあって、自分の中ではどの時点からプロゲーマーになったのかが曖昧なんですよね。とはいえ、技術面を含めて、徐々にプロゲーマーに近づいてきているのかなと思います。

倉持:
確かに、プロゲーマーの定義は難しいよね。ライセンス所持の観点もあれば、スポンサーがついて活動することという見方もできるし。はつめちゃんの思う、プロゲーマーの定義は?

はつめ:
理想だけを言うと、ときど選手のように実績を残して、その人間性にファンが付く方がゲームのプロフェッショナルだと思います。

ですが、eスポーツやプロゲーマーの世界を知ってもらうためにはいろんな入り口が必要だとも思うんです。なので、理想はときど選手のような形ですが、今私がやるべきことはライトな層にもゲームの魅力を伝えて、人口を増やして認知を広げるための活動じゃないかと考えてます。

倉持:
確かに最近も「はつめちゃんを見てスト5を始めました!」というツイートも見かけました。

はつめ:
ありがとうございます! ゲームの面白さを見せる、伝えることの重要性が改めてわかりましたね。

初手ラスベガスは自分の転機

倉持:
記憶に残っている大会はありますか?

はつめ:
そうですね、やっぱりEVO Japan 2020ですね。

倉持:
ウィナーズでプール抜けは本当にすごいよ!

はつめ:
ありがとうございます。今年のEVO Japanとは別に、行ってよかったなと思える大会が1つあるので話していいですか。私が最初に参加したEVO 2017です。

EVO 2017は初めてスポンサー(COMP)が付いた大会でしたし、私にとって初めての海外大会でした。EVO 2017のためにパスポートを取得したぐらいなので、初手ラスベガスだったわけです(笑)。

当時は今のような実力があるわけでもないし、自分でも不安であったものの、チャレンジしたいという気持ちは強かったんですね。ただ、周りからは「費用の無駄遣い」「絶対すぐ負ける」みたいな誹謗中傷がかなりあって悔しくもありました。
けれど、ルーザーズではありましたがプール抜けすることができたんです。そこから風向きが変わったというか、「この子はちゃんとやってる」「(いい意味で)思ってたのと違う」という意見が出てくるようになったんです。

ちゃんと結果を出せばみんなも認めてくれるんだということがわかった大会で、ある意味、転機だったと思います。

倉持:
たくさんのプレッシャーがあって、しかも初海外。慣れない環境下でプール抜けはすごいことだよ!

はつめちゃんが好きなプレイヤーを3人挙げるとしたらどなたですか?

はつめ:
板ザンさん、マゴさん、……あと1人が難しいな。CPTを一緒に周るプレイヤーの方たちはみんな面白いし、好きなんですよね。

ときどさんなんて、EVOの対戦部屋でいきなりプランクを始めて、「俺、キャリーケースを買おうと思うんだけど、はつめちゃんはどんなのがいいと思う?」って聞いてくるんですよ(笑)。

倉持:
いきなり筋トレ始めるのもびっくりだし、質問もすごい(笑)。光景がシュールすぎるよ!

はつめ:
そうだ、あと1人は若手のカワノかな。

倉持:
一緒にプリクラも撮ってたし、仲がいいよね。カワノ君は最近……メイクしたりしてやたらキレイになってきてない?(笑)

はつめ:
そうなんですよね。こないだもLINEが来たんですけど、「はつめはどこのアイライナー使ってるの?」っていう内容(笑)。マジかと思いました。

倉持:
カワノ君は、彼女がいたときの話とかもよくするから恋愛対象は女の子なのかな……?

はつめ:
どうもビジュアルを良くしたいみたいです。実際に会ったときなんかも、「今日の涙袋かわいいね、どうやってんの?」みたいなことを言われます(笑)。

倉持:
最近はSNSでも中性的なモデルさんが大人気だし、男の子もメイクする子が今後は増えてきそうだね。でも、この属性というかキャラは今までいなかったタイプだね(笑)。しかも、スト5プレイヤーとしてもかなり強いという。

はつめ:
確かにそうですね。私と同じ歳ということもあって、仲良くさせてもらってます。

 

(後編に続く)

写真・大塚まり

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記者プロフィール
倉持由香
ゲームに本気で取り組む100cmのもっちりヒップ、尻職人グラドルゲーマー。14歳でゲーム配信者デビューをし、格ゲーマーとの交流が深い。自宅のゲーミングスペースにはPCやゲーム機に加え、雀卓も完備。ストVでの使用キャラは、レインボー・ミカ。

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