悩み、結婚感、大会シーン――はつめが明かした女性ゲーマーの胸中:倉持由香のゲーマー交遊録【第11回】
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■前編記事
はつめオフイベでApexプレデターメンバーの渋谷ハルとLightの人間性が明らかに!?
倉持:
はつめちゃんのキャラ選びの基準は何ですか?
はつめ:
みんなが使ってるキャラは選ばないかな。例えば、今でいうと豪鬼とかですね。使用人口が多いキャラを選ぶのは、自分の中ではなんとなく抵抗があります。
私は最初、バルログを使ってたんですが、これは完全に見た目で選びました。
倉持:
それってネモさんの影響はあるの?
はつめ:
正直、ちょっとある(笑)。で、初心者にはちょっと難しいってなったんです。
当時、一緒にプレイしていた仲間内にキャミィ使いの方がいて、教えてあげるからキャミィを使ってみればという流れから、このキャラを選びました。
倉持:
今シーズンのキャミィはどうですか?
はつめ:
なにか特別新しいことが増えることのない5年間だったんですが、Vスキル2がすごく楽しいですね。調整が入ったとはいえ、キャミィは強キャラの部類なので、極めてみたいと思ってます。
倉持:
新要素が楽しめるのはまだモチベーションも上がるしいいことだね!
父ノ背中はどんなチームですか?
はつめ:
ビジネス的にほどよい距離感で、私はすごくやりやすいです。ずっと一緒にいる感じではなく、必要なときに集まって、仕事が終わったら解散という感じで。
各人がしたいことを尊重するチームなので、私の活動には合ってます。個性が強い人が多いですけどね(笑)。
倉持:
父ノ背中に加入して周りの反応はどうでしたか?
はつめ:
今まで男性のみのチームに女性が、しかもFPSではなく格ゲーが加入なので、もしかしたら炎上するんじゃないかと思ってたんです。ですが、ファンの方たちは温かく迎え入れてくれました。
自分としても、FPS界隈に格ゲーを持ち込むことができるので、よかったなと思います。
倉持:
父ノ背中メンバーも登場するはつめちゃんのイベントはどういったものになるんですか?
はつめ:
2月23日(日)に秋葉原エンタスで「青春奪還」というオフイベを開催します。当日、ゲームはいっさいプレイしません。ゲームをプレイしている様子は、配信やこれまでのイベントで見ることができます。なので、青春奪還ではプレイヤーの人間性を引き出すことに注力します。
ゲームはいっさい置かずに、トークイベント形式で学力テストなんかもしてみようと思ってます。
倉持:
学力テストは自信あり?
はつめ:
ないです(笑)。でも、ストリーマーとしての適性テストのようなものして、その中に数学とか歴史があって、最終問題は大喜利でというようなことを考えてます。
あとは、当日イベントで販売するドリンクをその場で調合することもやってみようと思ってます。調合した人が試飲して、おいしかったら販売みたいな感じです。
倉持:
話を聞いてるとゲーマーのイベントとしてはなかなかない形だね!みんなの人となりがわかってかなり面白くなりそう。
Apex Legendsは、最高ランク「Apexプレデター」まで到達したんだよね。
はつめ:
FPSはもともとやっていたこともありますが、大変でした。配信のコメントで、「もしや、格ゲーより(FPSのほうが)上手いのでは?」と書かれたりするとイラッとするんですが(笑)。
でも、おそらくそうなんですよね。FPSは10年選手なので、ノウハウの蓄積がある程度あります。それでもやっぱり、プレデターに行くのはきつかったですよ。
固定メンバーで3人ともプレデターになったんですが、毎日時間を決めてオンラインで集まって、チームの連携が日を追うごとに上手くなっていく様子は、1人でもくもくとプレイする格ゲーとはまた違った面白みがありました。
倉持:
一緒にやってたのは父ノ背中のメンバー?
はつめ:
父ノ背中のメンバーではないですね。VTuberの渋谷ハルさんとRush GamingのLightさんです。2人とも、2月23日のオフイベにゲストで来てくれます。
私を入れたこの3人は、渋谷ハルさん繋がりなんですね。なので、最初Lightさんと私は接点はなかったんです。ただ、最近Lightさんが天然だということがわかってきました。このあたりもイベントで明らかにしていければと思ってます(笑)。
はつめにとってたぬかなは関西のお姉ちゃん
倉持:
女性プロならではの悩みとかはある?
はつめ:
いろいろ言われやすいというのはあるんですが、私の中の悩みは、女性は月に一度体調が悪くなるじゃないですか。それが大会に重なると、メンタル面でも体調面でもしんどいですし、集中力もどうしても落ちちゃいますね。あんまり言えないんですけど、これは悩みです。
だからといって、なにかできるわけではないんですよね。それがまたイライラしちゃうんです。普段よりも怒りの沸点が低くなるのが自分でもわかりますし。
倉持:
わかるよ〜。私も「お腹も頭も痛いし、もう今日はベッドから動きたくないよ〜!」モードなっちゃう。
遠征とかぶっちゃうのも、しんどいよね。
はつめ:
そうですね、特に海外などは長時間のフライトがありますからね。
あとは、私が対戦で勝ったときに、負けを認めてくれないプレイヤーがいることも悩みです。いい試合をして私が勝ったときでも、「しょうもない負け方しました」「この負けは事故です」みたいなことを言われれます。
倉持:
それは、普通にムカつくね!
はつめ:
現場で見てくれている人はそうじゃないことをわかってくれますが、荒らして勝ったみたいなことを言われちゃうと悔しいなと思いますね。私がもっと実力があったらそうはならないのかなとは思いますけど。
倉持:
勝ったのにもやもやするのは、複雑な心境になるよね。
女性プレイヤーが増えるためにどうしたらいいか考えたりしますか?
はつめ:
やっぱり、女性は叩かれやすいと思うんです。しかも、自分より先に出ていっている女性が叩かれてたら、あとに続こうと思う人はなかなかいないでしょうし。
なので、いい女性ゲーマーの事例を増やしていくことが先決じゃないでしょうか。そうすることで周りの見方が変わるし、あこがれというか自分もこうなりたいという気持ちが出てくると思うんですよね。
倉持:
この間やったジコケンTVの軍団対抗戦で、久世さんのチームにはつめちゃんが入ってくれたよね。久世さんもすごく喜んでたよ。このチームは女性が多かったから。
他の女性プロとは話したりする機会はありますか?
はつめ:
たぬかなさんとはすごく仲が良くて、よく食事にも行きます。はるミーさんやゆうゆうさんとも大会で会ったときには話をしますね。みんな、お姉ちゃんみたいな感じです。
特にたぬかなさんは、「なんかあったら、いつでも頼ってね」って言ってくれるぐらいです。
倉持:
たぬかなちゃんは関西の気さくなお姉ちゃんって感じ! でも、悩みを共有できる女性プロがいるのはいいことだよね。
はつめ:
この間も渋谷でパエリアを食べながら、悩み相談会をしました。
仲良しすぎて話すことがないはつめとゆのしー
倉持:
去年12月にはつめちゃんと一緒に出演したゆるふわeスポーツ女子座談会ですが、女性ゲーマーともっと話してみたいことなどありますか?
はつめ:
女性ゲーマーだからこそ、ゲームじゃない話をしてみたいなと思いました。というのも、同級生の女の子と話をしても、ついていけない話がたくさんあるんです。
なので、ゲームの話が通じる女子たちと、「普段洋服はどこで買ってる?」みたいな話をしてみたいんですよね。女子ゲーマーと女子トークしたい!
倉持:
うちの事務所のゆのしー(水沢柚乃)とは、結構話するんじゃないの?
はつめ:
ゆのしーとは仲が良すぎて、逆にあまり話さないですかね。ひと月に1回どっちかが連絡して、返事をするかしないかぐらいです(笑)。お互い返事は気が向いたときにするので、1週間遅れとかも普通にあります。
倉持:
私とかマネージャーさんの連絡も、ゆのしーはなかなか返信してくれないんだよね。でも、PUBG募ってツイートはいつもしてる(笑)。
はつめ:
ずっとPUBGしてますよね。今日も友だちがいないから1人でするとか(笑)。
私とは一時期会いすぎて、ほんとに話すことがなくなったことがあります。一緒にカラオケに行って1時間で解散するみたいなこともありましたし。
倉持:
普段、格ゲーのアドバイスをもらうのは誰からが多いですか?
はつめ:
かしこまってアドバイスをいただくんではなく、対戦会へ行ったときに雑談レベルからいろいろ教えてもらうことが多いのは板ザンさんとマゴさんですね。あと、カワノも。
カワノのあの適当な感じで「もうちょっと投げたほうがいいんじゃない?」とか言われます。正直、ちょっとイラッとすることがなくもないですが、的確ではあるんで(笑)。
板ザンさんは、CPTを引率してくれた園長先生的存在で、私の試合も見てくれてたすかりました。
私はマゴさんのキャミィを参考にしていることもあって、マゴさんとはいろいろ話をさせていただく機会も多いです。EVO Japan 2020ではプールが一緒(2日目)だったこともあって、そばにいてくれてアドバイスをくれました。
倉持:
うわさのマゴバイス! マゴバイスは的確でしたか?
はつめ:
はい! 試合中に肩をトントンされてなんだろうと思って耳を傾けたら、マゴさんが神妙な顔つきで「今日はキレてるね!」って。試合中の今、それ言う!? ってなっちゃっいました(笑)。
でも、板ザンさんとマゴさんは下の面倒見がいいやさしい方たちなので、いつもおせわになってますね。
倉持:
それわかる! 2人とも親しみやすくて、みんなから慕われてるよね。
はつめ:
親しみやすいといえば、どぐらさんもいます。
EVO Japan 2020でどぐらさんと話す機会があったんですが、最終順位が低いほうが罰ゲームをしようみたいな展開になったんです。私が低いときはポイズンのコスプレ、どぐらさんが低いときは変態仮面のコスプレをすることに。
結果はどぐらさんの負けだったので、コスプレの催促をしに行ったら、周りにいた人に「はつめは虚言癖があるから、信用せんでええよ」みたいな予防線を張られてうやむやにされました(笑)。
倉持:
どぐにゃん、それはダサい……(笑)。いつかやってもらおう!
仕事に理解ある男性ならOK!だけど結婚は当分なし
倉持:
去年の振り返りと、今年の目標をお願いします!
はつめ:
去年はEVOまでCPTを周って、「CPTに行ってみる」という目標は1つ達成できたかなと思います。ですが、それを続けることができず、EVO以降は格ゲーに対して1歩引いてしまった感はあります。
2020年のCPTは前半と後半に分かれているのでどちらかになる可能性はありますが、また周ってみるつもりです。
これまでは結果に関わらずやりたいことをがむしゃらやって来ましたが、今年はよりすぐってきたものをより良くすることを心がけていきます!
倉持:
海外大会に行ったときは現地の食事を楽しんだり、観光に出かけるタイプ?
はつめ:
私が知ってる範囲ですが、海外を最大に楽しんでいるのはもけさんです。「今日、○○○に行くんですが、誰か一緒に行きますか?」って、募集してますから(笑)。
私はもけさんまではいかないですが、楽しむほうだと思います。1人でふらっと出かけることが多いですね。食事はみんなと一緒がほとんどです。
去年、フランスへ行ったときがイースター(フランスの復活祭)とかぶってて、お店がほとんど閉まってたんですよ。営業しているお店ではイースター特別ランチみたいなメニューしかなくて、おしゃれな町並みの中、板ザンさんと2人でスイーツを食べました(笑)。
倉持:
それもなかなか不思議な光景だね(笑)。
お付き合いするなら、相手はゲーマーがいいですか?
はつめ:
うーん、ムズいな(笑)。まず、同じゲームをやってるゲーマーは嫌ですね。なので、同じ格ゲーでも鉄拳やスマブラならいいですが、スト5はちょっと……。これはなんでかというと、ゲームの内容で絶対喧嘩になるからです。
私の仕事に理解がある人だったら、ゲーマーでなくてもOKですかね。
倉持:
年上、年下はどっちがいい?
はつめ:
私はめっちゃ年上が好きなんですよね。
倉持:
何歳上ぐらいまで?
はつめ:
今、21歳なんですけど、40歳ぐらいまでは問題ないです。
倉持:
結構、上までだね!(笑)。お父さんは今おいくつなの?
はつめ:
47歳ですね。なので、お父さんの年齢を超えなければセーフかなと(笑)。自分が大人になるにつれて、恋愛対象の年齢幅も広がってます。
私は一人っ子なんですけど、小さい頃から年の離れたお兄ちゃんにあこがれがあったんですよ。
倉持:
(マジ顔で)私は9歳上の兄がいるけど、お兄ちゃんはおすすめしないよ! スト2とかでボコボコにされて、ずっと泣かされた思い出しかないし(笑)。
はつめ:
年上の包容力というか、甘えられるのがいいんですよね。
倉持:
まだ21歳で若いけど、結婚願望などはありますか?
はつめ:
あるか、ないかで聞かれると、結婚願望はないです。私の家系が離婚家系だからというのあります。なので、小さい頃から結婚というものにあまりいいイメージがないというか。身近に結婚して絵に描いたような幸せになった人がいないんですよね。
あるいは、本当にこの人と結婚したいと思える人に出会ってないのかもしれないです。
倉持:
子供がほしいとかもない?
はつめ:
仮に結婚をしたとしても、子供は無理かなと。なので、結婚については時の流れに身をまかせようと思ってます。
倉持:
プロゲーマーとして現役引退後の計画などはありますか?
はつめ:
格ゲーマーの世界で現役引退した事例がまだないので、あまり具体的にイメージができてないというのが本音です。結婚したらどうなるんだろう? 結果が残せなくなったらどうなるんだろう? と思うことはありますが、まだぼんやりしてますね。
ただ、どういう形であれ、ゲームには関わり続けたい思いはあります。クリエイター側になるか、実況解説という立場で面白さを伝えることができればなと。
はるミーとの10先で女性最強プレイヤーを決めたい!
倉持:
10先をやるなら、誰とやりたいですか?
はつめ:
うわー、めっちゃ怖い質問(笑)。だって、ここで言っちゃたら、申し込まれる可能性大ということでしょ。
はるミーさんですかね。
倉持:
うわ! それはめっちゃ見たい! みんな見たいっていうと思うよ!
はつめ:
やっぱ、決めたいですよね。
倉持:
かっこいい!
はつめ:
どうしても比較される対象ですし、しかもこれまで大会で直接対決は一度もないんです。これを言うと実現してしまいそうなカードだったので言わずにいたんですが……(笑)。
倉持:
今、はるミーさんはサムスピのほうに比重をおいてるのかな?
はつめ:
そうですね。なので、やるにしても準備期間は設けたほうがいいですよね。勝ったら自分の自信になるし、負けても次は絶対倒すというモチベーションにもなると思ってるんです。
倉持:
女性最強の座をかけた一戦になるだろうし、みんな興味持つと思うよ。私も1人の女性プレイヤーとして見てみたいし!
はつめ:
私のガチの女性大会はどこかでやってほしいと思ってるんですよ。REDEEでやってみるのも面白いですね。
倉持:
鉄拳には女性大会があって、この間もたぬかなちゃんが優勝してましたよね。インタビューで「女性最強ということを示せてよかった!」とコメントしてたのが印象的でした。その点、スト5はガチガチの女性大会がないから、女性最強プレイヤーが誰なのかは今はっきりしてない。実現させたいよね!
はつめ:
実現すれば、女性プレイヤーの数もある程度はっきりわかるでしょうし、こういった大会をきっかけに本腰を入れる女性も増えてくるはずなので、やるべきだと思います。
倉持:
突発的ではあったんだけど、お正月に久世さんが女性限定のオンライントーナメントをやったんですよ。私もプレイヤーとして参加させて貰ったら、マスタークラスやウルダイクラスの方々が多いすごくハイレベルな大会でした。
はつめ:
そう、意外とスト5の女性隠れ猛者って多いんですよね。オフラインで出てくるのはちょっとっていう女性プレイヤーはいると思うんです。なので、オンラインでもいいのでやりたいですよね。
倉持:
将棋や麻雀には女流プロや女流リーグがあるので、格ゲーにもあってもいいんじゃないかなと思うんですが、現役女性プロから見てどうですか?
はつめ:
CPTなど既存の大会やリーグとは別に、女性大会をやるがいいと思いますね。そうすることでより格ゲーシーンやeスポーツが盛り上がるでしょうし。
倉持:
どんな大会でも優勝するのはうれしいし、モチベーションになると思うんです。それで自信をつけて、CPTを周るみたいな流れができると理想的ですよね。おじリーグがあるんだから、女子リーグも作ってほしい!(笑)
では最後に、ファンの方にひと言お願いします。
はつめ:
2月23日(日)に私主催のオフラインイベント「青春奪還」をするので、ご来場お待ちしております! VTuberやストリーマーなど、ある種の異業種交流でもあるので、面白いことになると思います。
3月1日(日)はREDEEで行われるウェルプレイドフェスティバルに出演します。先日、YouTubeでスマブラプレイヤーのShogunさんとコラボ配信したんですが、これをリアルに再現する企画を考え中です! 入場無料なので、お時間のある方はご来場ください。個人的にも、大阪に行くこと自体もすごく楽しみにしてます。
今年は格ゲーに特化した動画も積極的に取り組もうと思ってるので、チャンネル登録もお願いします!
写真・大塚まり
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