頭脳派プレイヤー板ザンはマニアック専門のMだった!?(前編):倉持由香のゲーマー交遊録【第8回】

倉持由香

【この記事は約6分で読めます】

今回のゲストは、Capcom Cup 2018でガチくん選手と手に汗握る決勝戦を繰り広げた板橋ザンギエフ(以下、板ザン)選手。ときど選手の高学歴ゲーマー(東大卒)はよく知られてますが、実は板ザン選手も早稲田大学卒業の頭脳派ゲーマーです。バーチャファイター時代からの格ゲーの経歴を丸裸にする勢いで、ガッツリ聞いてみました!

バーチャ時代からマニアックキャラ専門

倉持由香(以下、倉持):この連載恒例の最初の質問からお願いします。板ザンさんは、インタビューで何を聞かれるのがうれしいですか?

板橋ザンギエフ(以下、板ザン):
オレはゲームの話がいいね。

倉持:毎回この質問から始めてるんだけど、人によって回答がいろいろあって、マゴしぃはマンガの話が良いって言ってました。

板ザン:
そうなんだ。オレからすると、ゲームの話から逃げるじゃねぇって思っちゃうけど(笑)。なんでマンガの話してるんだよって。

倉持:かっこいい!(笑) そのまんまの気もするけど、板ザンさんの名前の由来を教えてくれますか?

板ザン:
「地名+キャラクター名」の組み合わせで、これはバーチャファイターの文化だね。

倉持:でも、板ザンさんのキャラ名はバーチャファイターからではないんですね?

板ザン:
そう、オレは「地名+ザンギエフ」だからね。バーチャファイターの文化だから、そんなヤツは他にいないと思うけど(笑)。そういう意味では斜に構えてたんだね。

倉持:そこから、「地名+ストファイキャラ名」の人は増えたんですか?

板ザン:
全然増えてないね。だから、オレがひねくれてたんだよ(笑)。

倉持:オリジナリティを出したかったんですね(笑)。そもそも、格ゲーとの出会いは?

板ザン:
王道なんだけどスーファミ版のスト2からだね。当時は小3ぐらいだったかな。

倉持:そのときから、ザンギエフ?

板ザン:
いろいろなキャラを使ってたんだけど、小学生にしてはザンギエフをうまく使えてたんじゃないかな。スクリューパイルドライバーは出すのが割と難しいんだけど、結構出してたね。

ちょっと天の邪鬼な部分が自分にあるので、レアキャラ枠というか、マニアックなキャラを好んで使ってかな。

倉持:本格的にゲーセンに行ってプレイしだしたのはいつからですか?

板ザン:
バーチャファイター4から。この頃から板橋ザンギエフを名乗って、ガツガツとプレイをしてて、少しずつ名前を知られるようになってきた。名前が知られてくると交流が生まれるんだよ。それで仲間が増えて、やり込みも加速度的に増えていった。

倉持:バーチャファイター4での最初のキャラは何ですか?

板ザン:
最初はウルフで、途中から舜帝 (シュン・ディ)だね。

倉持:板ザンさんは重量級のキャラを使うイメージがあるんですが、なんで舜帝を使ってたんですか?

板ザン:
お酒を飲んで強くなるという、変なキャラだから。さっきも言ったけど、マニアックなキャラを使いたがるだよね。

パトロン文化でチームがコンパニオンを!?

倉持:バーチャファイターコミュニティーはどんな感じ?

板ザン:
ある意味育ててくれたので、そういう意味ではオレは「バーチャ村」出身だけど、変わった人が多かったという印象だね。普通の生活で知り合う人たちでは物足らなくなるぐらい。

浮世離れしてた人もいて、そういう方たちと絡むのは面白かった。

倉持:バーチャ村の方々はキャラが濃い人が多いですよね。そのとき板ザンさんはいくつぐらいですか?

板ザン:
20歳ぐらいだね。なので、学校帰りに池袋とか高田馬場のゲーセンに行ってた頃かな。

倉持:大会にはその頃から参加し始めたんですか?

板ザン:
そうだね。ゲーセンで大会があって面白半分で出てみたら、野良試合とは違う真剣勝負感があって、勝敗がより価値のあるもの、濃厚なものでその面白さにハマった。

倉持:バーチャファイターの大会は、野次が飛んだり、独特の空気があると聞いたことがあるんですが……。

板ザン:
野次は飛んでたね。しかも、試合が始まる前から(笑)。オレにもここでは書けないような罵詈雑言の野次が飛んできてたし。

当時、バーチャファイターは本当にすごくプレイ人口も多くて、人が多いからこそおっかないヤツも一定数はいたからね。

倉持:大会のチームをサポートしてくれるお金持ちの人が多かったっていう話を聞いたことがあります。遠征費を出してくれたりとか。

板ザン:
そうね、ある種のパトロン文化みたいなのはあったね。これはプレイヤーに比較的高い年齢層の人がいたからっていうのもあると思う。若いプレイヤーを育てるみたいな発想は、バーチャ村にはあったのかも。

倉持:コンパニオンを雇って大会に入場するみたいなこともやってたと聞いたことあるけど、本当ですか?

板ザン:
あった。チームが雇ったコンパニオンが、オレのサイドにいたもん(笑)。

倉持:華やか!(笑) バーチャファイターは、1作目から大人気だったんですか?

板ザン:
大人気という意味では、バーチャファイター2だろうね。2は別格で、社会現象といえるぐらい。

その頃まだ中学生だったし、1プレイ200円だったから、簡単にはプレイできなかったけどね。しかも、強い人とやると10秒で終わるし。なので、セガサターン版を買って遊んでた。

貯金をするタイプでお金を使うのはゲームにだけ

倉持:バーチャファイターからストリートファイターに移ったのはいつ頃?

板ザン:
バーチャファイター5ぐらいのときにスト4が出て、そこからだね。移ったきっかけは、ふ~どと一緒に闘劇に出たことだよ。ただ、詳しいことはよく覚えてないんだよね(笑)。

倉持:バーチャファイター時代からふ~ど選手とは仲が良かったんですか?

板ザン:
まあまあかな(笑)。バーチャ勢もスト4はプレイしてたんだけど、オレとふ~どがその中でも一番やってたと思う。闘劇に出たことで圧倒的に強くもなったね。

当時、2D勢とはあまり関わりがなかったので、最初はバーチャ勢と絡んでたんだけど、少しずつ輪も広がっていった。

倉持:バーチャ村からスト村へって感じですかね。スト4のギルド「高モチベ」っていう名前は誰が考えたんですか?

板ザン:
ふ~どだよ。

倉持:バーチャファイターの時代から使っていた言葉なんですか?

板ザン:
まったく(笑)。高モチベにはバーチャ勢が入ってたんだけど、ふ~どから「なんで板ザンさんは入らないんですか?」といわれて入った感じ。

バーチャ勢的には、BEAT TRIBEカップっていうチーム戦の大会があって、こっちが当時のオレとしては本命だったんだよね。

倉持:板ザンさん的には、個人戦とチーム戦はどっちが好きですか?

板ザン:
チーム戦のほうが面白いね。勝ったときにみんなでうれしいというのは最高だから。

倉持:責任感とかプレッシャーも増す分、勝ったときのよろこびも大きそう! 板ザンさんの1日のスケジュールを教えてください。

板ザン:
ストリートファイターリーグの仕事が朝早いこともあって、最近は夜型にならないようにしてる。本番でいい動きをしないと話にならないからね。

なにもない日は11:00ぐらいに起きるようにしてる。2018年はアビゲイルを使ったんだけど、2019年になってザンギエフに戻したこともあって、できるだけゲームをする時間を作って、少しでも早く練度を上げるようにしてる。

なので、トレモ、ランクマもするし、対戦会にも行くよ。

倉持:練度はどういった部分に出てくるものなんですか?

板ザン:
ゲームで例えると、小さいクエストや緊急クエストみたいなものをいっぱい受けて、消化するような感じ。たくさんこなすと、その分上手くなることがわかってるので、片っ端からやっていく。

倉持:なるほど、クエスト消化していくのが大事なんですね。早稲田大学を卒業してから、専業ゲーマーになるまでの道のりを教えてください。

板ザン:
大学卒業後、就職をして社会人になったんだけど、今から3年ぐらい前に、専業ゲーマーとして生きていくために舵を切った。

倉持:専業にすると決めるまで、葛藤や悩みはありましたか?

板ザン:
とにかくやってみようという気持ちだね。やってみてダメだったら、そのときに他の道を探そうとも思ってた。

その当時はある程度蓄えもあったから、専業ゲーマーに舵を切ることができたんだよね。

倉持:スタミナがあったということですね。ということは、貯金はちゃんとしていくタイプなんですね!

板ザン:
オレは全然お金使わないよ。お金の使い方を教えてほしいぐらい(笑)。

倉持:賞金なんかも使わない?

板ザン:
最近買ったものといえば……、洗濯機とエアコンかな。

エアコンがボロボロでまったく暖かくならなかったんだよね。新しくしたら、全然違うね(笑)。ただ、買い物は面倒くさいし、どちらかというと慎重派かな。

倉持:家電は大事ですよ! 電気代も変わるし! あまりお金を使わないのは昔からですか?

板ザン:
ゲーセンでお金を使いたいから他のものに使わないっていうのが染み付いてるのかも。

倉持:格ゲー以外にお金を使う他の趣味はありますか?

板ザン:
いや、ないね。ゲームばっかりだね。

倉持:ただ、格ゲー以外のゲームもするんですよね?

板ザン:
最近だと、キャサリンとか。マリオもドラクエも、ゲームはなんでもするよ。

格ゲー以外だと、パズルが好きだね。「倉庫番」とかは超好きだね。

倉持:板ザンさんは頭脳派プレイヤーとして知られてますが、適正として格ゲーは向いていると思いますか? カードゲームとかもよくプレイされてますが……。

板ザン:
適正的には、じっくり考えて行動するパズルやカードゲームかもしれない。オレはアクションゲームが苦手だから。

なので、レアキャラが得意なんだと思う。普通のキャラを使ってたら、反応やコマンド入力精度などのアクションゲーム力の面でかなわないから。

倉持:レアキャラはひらめきが大事?

板ザン:
それはあると思う。そのひらめきが上手くいったときは、純粋にうれしいし。このひらめき力が自分の強みになっていると思うね。

(後編に続く)

写真・大塚まり

【あわせて読みたい関連記事】

マルチゲーマーどぐらの魅力は卑屈でやらかす人間味(前編):倉持由香のゲーマー交遊録【第7回】

スト5、DBFZなど、マルチゲーマーとして活躍するどぐら。GO1、たぬかなと同じCAGに所属する彼の足跡をたどるインタビュー前編。

記者プロフィール
倉持由香
ゲームに本気で取り組む100cmのもっちりヒップ、尻職人グラドルゲーマー。14歳でゲーム配信者デビューをし、格ゲーマーとの交流が深い。自宅のゲーミングスペースにはPCやゲーム機に加え、雀卓も完備。ストVでの使用キャラは、レインボー・ミカ。

関連記事

注目記事

新着記事