モンスト【愛】獣神亭一門の強さはあーぼーとけーどらのチーム作りにあり【前編】

もはや、説明不要なスマホゲームの金字塔「モンスターストライク」(以下、モンスト)。最大4人のマルチプレイで、多種多様な難関クエストを攻略していくゲーム性は、タイムアタックで競う競技へと姿を変え、esportsのタイトルとしても注目を集めている。
そんなモンストのプロライセンスを獲得した最初のチームのひとつ、【愛】獣神亭一門を引っ張るキーパーソンが、ゲーム総合攻略サイトGame8に所属する、あーぼー選手とけーどら選手だ。
2015年のモンストグランプリ2015でのベスト3を皮切りに、常に結果を残す彼らの強さは一体どこにあるのか。
チームの結成から今に至る道のりをとおして、その源を探ってみたい。
リーダーのあーぼー選手、けーどら選手、ウィズ。選手、たっくす選手ら4人によるモンストプロチーム。モンストグランプリ2018闘会議CUPにて優勝し、プロライセンスを獲得した。
【大会戦績】
- 2018年 モンストグランプリ2018 チャンピオンシップ 3位
- 2018年 モンストグランプリ2018 闘会議CUP プロフェッショナルマッチ 優勝
- 2018年 モンストグランプリ2018 闘会議CUP Bブロック決勝大会 優勝
- 2016年 モンストグランプリ2016 チャンピオンシップ 準優勝
- 2015年 モンストグランプリ2015 3位
■あーぼー
・出身地:兵庫県
・Twitter:@abo_monst
■けーどら
・出身地:京都府
・Twitter:@mnst_kd
プロゲーマーと攻略ライターという二足のわらじ
――:モンストの選手でゲームメディアで働いている人って他にいないですよね?(2018年8月現在) 普段、Game8では、どんな業務をしているのでしょうか?
あーぼー:
僕はライターとして働いていて、4タイトルくらい関わっています。
モンストのwikiには、高難易度クエストの攻略などでサポートで入ることはありますが、プロのモンスト選手なので、大会期間中の新クエストなどは対応できません。ですので、所属としてはモンストには入っていないです。あくまで、見るとか手伝うだけです。
けーどら:
僕は入社当時はライターとして入社し、モンスト班のリーダーとしてwikiを運営しながらYouTubeにモンストの動画を出していました。
そんな中、動画をメインにやっていきたいと思い、会社にその意向を伝え、今は完全に動画に注力しています。
――:そもそもゲーム攻略メディアで働こうと思ったきっかけは?
けーどら:
学生時代のころから人に教えることが好きで、ライターになる前からTwitterで攻略情報を発信してました。
その後、モンストグランプリ2016 チャンピオンシップで準優勝して資金ができたことや、ライター募集の求人を見つけたこともあり、自分の可能性を信じたいと親を説得して上京しました……という経緯です。
あーぼーは、僕の紹介でGame8に入社したのがきっかけですね。
――:プロの選手から見てモンストの攻略サイトは、どこが最も有用だと思いますか?
あーぼー:
もちろん、Game8ですよ(笑)。SEO的には勝てていないところもありますけど、書いている内容やユーザー目線の内容かどうかというところでは、Game8かAppMediaだと思います。
けーどら:
僕はケースバイケースだと思っていて、それぞれのサイトの特徴から自分に合ったところを参考にするのがいいと思います。
GameWithは適正ランキングを常に更新しているし、AppMediaは細かい仕様まで書いています。Game8は、徹底してユーザー目線に立って情報を書く、見やすさを追求するなどを重視しているので、いろいろなサイトからお気に入りを見つけてもらえればと。
――:プロ選手の顔と、メディアで働く顔を持つお2人の意見は納得感があります。メディアで働いているということは、それとは別にチームとしての練習をしているのですか?
あーぼー:
そうですね。業務中は当然、練習はできないので。できるようになるのが一番いいんですけどね(笑)。
――:では、普段は練習は仕事を終えた後にするわけですね。
あーぼー:
家に帰って、みんながご飯を食べ終えたあたりの時間になったら始めます。そのあたりは、リーダーである僕が管理しています。
チーム力はメンバー全員のモチベーション管理がキモ
――:練習は毎日するのですか?
あーぼー:
大会のスケジュールに合わせて練習量を変えています。大会のルールは大体3カ月前くらいに発表されるのですが、その直後は週に3回くらい、そこから少しずつ増やしていって、本番の2週間くらい前からは毎日練習します。
1日に4~6時間も練習するチームもあると聞きますけど、僕らは長くて3時間くらい。
スロースタートというか、徐々にペースを上げていって、直前は最終調整という具合ですが、練習不足ではあると感じてはいます。
でも、練習を強制すると、モチベーションが保てなくなるリスクが生まれて、誰か1人でもモチベーションが落ちるとチームではなくなってしまう。
――:メンバーのモチベーションも汲んで練習を積んでいくのですね。
あーぼー:
そうですね。休みたいときは言ってくれればいいですし。
ただ、遅刻は厳禁です。理由があって遅れる場合は、30分以上前に連絡をするというルールにしています。でないと、他のメンバーが練習を始められないですから。
――:そういえば、練習って実際に集まって行うんですか?
あーぼー:
いえ、メンバーのウィズ。くんと、たっくすくんが遠方に住んでいるので、通話しながらやります。
オフラインイベントなどで予定が合えば一緒に練習することもありますが、基本は通話越しでの練習です。
――:実際に顔を合わせずに練習するのって大変ではないですか?
あーぼー:
例えば、初めて大会に出るのであれば、試合で息を合わせるためにも、会って練習したほうがいいと思います。でも、1年以上いっしょに大会に出ていると、通話でも実際に会って練習するのと変わりないですね。
けーどら:
たぶん、会ったら遊んじゃいますね(笑)。
あーぼー:
せっかく会ったんだから、「練習するのもったいないし、どっか行こうぜ」ってなっちゃいますね。仲の良さとか楽しくやっている雰囲気を大事にしているチームなので。
脱退と加入……紆余曲折のチーム結成ヒストリー
――:大会での様子を見ても仲が良さそうですし、イメージどおりです。チームが結成された経緯はどんな感じなんでしょうか?
あーぼー:
「獣神亭一門」って2015年からあるんですけど、そのころ、実は僕はまだ加入前なんです。
けーどら:
最初にチームを立ち上げたのは僕なんですよ。
バンドのUVERworldが好きで、UVERworldファンでモンストをやっている人を集めて、「モンストグランプリ2015」に出たんですけど、関西予選のベスト16で敗退しちゃったんですね。
でも、その年のモンストグランプリは、本戦当日に幕張メッセに行けば、もう1回予選ラウンドに参加できるルールだったので、もともとTwitterでよく絡んでたあーぼーともう1回出ることにしました。
――:そこであーぼーさんがチーム入りするんですね。
けーどら:
僕とあーぼーに、関西予選に一緒に出てもう1回出たいと言ってくれた人とTwitterで募集した人の4人で出場して、ベスト3に入ることができました。
そのTwitter経由で加入してくれたのがリタ神っていうんですけど、彼は2016年に準優勝したときまでチームにいました。
あーぼー:
メンバーも変わっているんですが、チーム名の最初に入れている文字も、「改」「極」「笑」「続」「愛」と変化しています。
――:それはなにか意味があるんですか?
あーぼー:
「改」はメンバーが変わったから付けただけなんですけど、例えば「極」ってモンストのレベルマックスの表記で、最大までやってきたという意思表示を込めています。
「笑」は「笑顔を忘れずに楽しくやろう」という意味で、2016年のモンストグランプリで準優勝して、そこでファンの人が増えた印象です。
次に、それに続くぞという思いで「続」になって、今の「愛」は「愛し合おうぜ」みたいな意味で名付けました。
――:今のメンバーになったのはどの時期ですか?
あーぼー:
2017年の「続」のころですね。
実は、2016年に準優勝したメンバーのpkrn(※)から、移籍したいという申し出があったんですね。おそらく、僕らとの年齢差からやりにくさがあったんだと思いますが、大会前から、今回で移籍したいと。
僕らはそれを受け入れて、獣神亭一門はいったん解散しました。
※pkrn(ぴかりん):現在は、モンストグランプリ2018 チャンピオンシップの優勝チーム「今池壁ドンズα」に所属
――:解散したんですね。
あーぼー:
リタから「一度、解散しよう」と提案されて、みんなでそう決めました。
でも、僕とけーどらは、グランプリが続く限りは一緒に出ようと決めていて、2017年に再結成しました。
――:そこで、現メンバーのウィズ。さんとたっくすさんが加入すると。
あーぼー:
あと2人、Twitterとかで募集すればすぐに集まるとは思ったんですけど、僕とけーどらが仲がいいので、後から入る2人が孤立してしまう可能性は考えました。言いたいことを言えないような関係性になるのは嫌だったんです。
ウィズ。君とたっくす君は、ランキングバトル(※)で優勝しているし、高校の同級生同士で、モンストのリリース当初から2人でやってきているということで、もともとたっくす君とは仲がよかったこともあり、けーどらと相談して声をかけてみました。
獣神亭一門が準優勝やベスト3という結果を残してきたチームなので、背負うものの大きさに最初は迷っていたみたいですけど、最終的には加入する決断をしてくれました。
※ランキングバトル:モンストの大会で使用する別アプリ「モンストスタジアム」内で、対象ステージのクリアタイムで順位を競うイベント
――:あーぼーさんとたっくすさんは面識があったとはいえ、途中加入ということで最初はチームとしての結束はいまいちだったのでは?
あーぼー:
けーどらが25歳で、僕が23歳、他の2人が20歳なんですが、年齢差での壁みたいなものは最初はありました。たっくすがけーどらに言いたいことがあっても、僕を間にはさんでしか伝えられないというか、言いにくかった部分はあったと思います。
みんなほんわかした雰囲気なので、今はそういった空気はまったくないですね。
途中加入メンバーを抱えながらも、傑出した実力で輝かしい成績を残す【愛】獣神亭一門。後編では、その強さを裏付ける戦略や、プロならではの視点について深掘りしていく。
闘会議CUP2018優勝【愛】獣神亭一門はなぜ強い?モンスト界トップレベルの戦略を探る【後編】

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写真・大塚まり