あぐのむはF・マリノスの強みをデッキ構築力と分析

キズグチアロエ

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2019年10月20日から実施されている「RAGE Shadowverse Pro League」(以下、プロリーグ)の19-20 2ndシーズン(以下、2ndシーズン)は、2019年内に全14節のうち12節を終え、残すところ2020年1月11日と12日の2節のみとなった。

12節終了時点では、前シーズンである19-20 1stシーズン(以下、1stシーズン)を6位の成績だった「横浜F・マリノス」(以下、F・マリノス)が序盤から首位をキープし続けている。

本稿では、F・マリノスのキャプテンである「あぐのむ」選手に聞いた、2ndシーズンで首位をキープできている理由や、プロリーグとの向き合い方を紹介する。

控えデッキで圧をかける戦術も生まれた2ndシーズン

――初めに、2019年プロリーグの振り返りをお願いします。

あぐのむ:
1stシーズンではあまりいい結果を残せませんでしたが、2ndシーズンからは調子がよく、無事に首位の状態で2019年を終えることができました。残り2節も、引き続きがんばりたいですね。

1stシーズンまではBO3で、各節にメンバー全員が出場することはなかったんですが、2ndシーズンからはBO1で全員出場というルールに変更されました。これに加えて、5つのデッキをチーム内で共有して戦うというルールもできたので、これまでの戦い方を大きく変える必要がありましたね。

――具体的には、どんな変化がありましたか?

あぐのむ:
一番大きな変化は、5つのデッキをチームで共有しているので、全員が登録したデッキを使えるようになる必要があった点です。1stシーズンまでは出場する節では出番が2回あったので、合計で4つのデッキを扱えればよかったんですが、2ndシーズンからは1つ増える形になったので、なかなか大変でした。

――新たな戦術も増えたんでしょうか?

あぐのむ:
使用する予定がなくても、控えにいるだけで圧力をかけられるデッキを持ち込むという戦術は生まれましたね。それに、流行りではないデッキを探して登録する必要があったので、デッキ構築力も試されたシーズンだったと思います。

F・マリノスは以前から流行りのデッキではなく、自分たちが強いと感じたデッキを持ちこんでいたので今回のルールでは有利に戦うことができました。これが、2ndシーズンで首位をキープし続けられた理由だと僕は考えています。

――対戦ルールの変更によって、楽になった部分はありますか?

あぐのむ:
BO1の対戦になったので、1試合にかかる負荷は軽減されたと思います。1試合だけに集中して臨めるのは個人的にはうれしい変更点でしたね。

――残り2節を終えると、シーズンファイナル進出チームが決まります。どのチームが脅威だと考えていますか?

あぐのむ:
現在2位で、1stシーズンの覇者である「よしもとLibalent」は間違いなく脅威ですね。2ndシーズンの序盤では負けが続いているときもありましたが、安定してから一気に2位にまで順位を上げてきています。

1stシーズンでシーズンファイナルに1位通過をした「AXIZ」も、同じ理由で脅威だと感じていますね。

――「福岡ソフトバンクホークス ゲーミング」もシーズン中盤以降で追い上げていますが、注目はしていますか?

あぐのむ:
もちろんです。2ndシーズンからの参入でしたので、序盤に負けが続いてしまうのは仕方ないと思っていたんですが、プロリーグの環境に慣れ始めてからの連勝がすごいですね。

最近はストレート勝利していることも多いですし、強敵だと思います。

――2020年1月に実施される、残り2節への意気込みをお願いします。

あぐのむ:
あと1勝すれば首位でシーズンファイナルに進出できる可能性が高いので、次の節にも全力で挑みたいと思います。新カードが追加されてから初めてのプロリーグですので、チームでしっかり作戦を立ててから挑みます!

シャドバは最早あぐのむの体の一部

――「Shadowverse」(以下、シャドバ)との出会いを教えていただけますか。

あぐのむ:
なんとなくTwitterを眺めていたら「シャドバが面白い」というツイートが目に飛び込んできたので、元々カードゲームが好きだったこともあり、すぐにインストールしました。

当時は少し気分が落ち込みがちだったので、シャドバでランキング上位を目指して、自分に自信が持てるようになればいいなとも考えてました。ですので、インストールしてすぐに課金しちゃいました(笑)。

――最初にシャドバをプレイしたとき、どんな印象を持ちましたか?

あぐのむ:
もう感動しちゃいましたね、カードゲームに革命が起きたなとも感じました。

僕がこれまでしていたカードゲームは、当然のことながら対戦相手がいなければ1人でデッキを回すことしかできませんでした。でも、シャドバはスマホだけでプレイができる上に、全国にいる誰とでもすぐに対戦することができます。しかも、戦略性が高いという非の打ちどころがないゲームでしたね。

――当初はどんなデッキを使っていましたか?

あぐのむ:
最近シャドバを始めた人だとわからないかもしれませんが、「海底都市王・乙姫」と「セージコマンダー」を中心としたミッドレンジロイヤルを使ってました。懐かしいですね(笑)。

強いとされていたデッキを真似て、プレイを重ねて自分に合ったデッキにアレンジをしていくスタイルは現在も変わらないです。

――プレイし始めたときからランキング上位を目指していたとのことでしたが、結果はどうでしたか?

あぐのむ:
全体ランキングの5位か6位ぐらいまで勝ち上がることができました。

でも、マスターランクが開放されたタイミングでポイントがリセットされてしまったんですよ。かなりショックでしたが、当時追いかけていた1位の人のポイントもリセットされているので、1位を目指して再熱することができました。

実際に、ポイントがリセットされた当日は僕が1位でしたよ!

――お見事ですね。大会には出場しましたか?

あぐのむ:
シャドバがリリースされてすぐ開催されたRAGEに、絶対に優勝してやるという気持ちで挑みました。でも、結果は抽選落ちで出場することができませんでした。当時もかなり人気のゲームでしたので、抽選倍率が高かったのだと思います。

その後は「RAGE Shadowverse Tempest of the Gods」に出場することができたんですが、試合で思考がまとまらなくて1回戦負けという結果に終わりました。試合中ずっと緊張してしまい、まったくいいプレイができませんでしたね。

でも、次に出場した「RAGE Shadowverse Wonderland Dreams」ではファイナリストになることができたので、緊張は少し克服できたと思います。

――シャドバのプロを目指そうと思ったのは、どのタイミングですか?

あぐのむ:
プロリーグができると聞いた瞬間ですね。僕はこれまで何かに熱中してきた経験がなくて、シャドバだけが唯一夢中になれると思ったコンテンツなんです。ですので、プロリーグができると知ってからはもうこれしかないと心に決めていました。そして、実際にF・マリノスに所属することができて本当にうれしいです。

プロになる前まではシャドバは趣味のようなものでしたが、プロになってからはシャドバは体の一部だと思っていて、僕にとってシャドバは切っても切れない存在ですね。

――あぐのむ選手は、プロリーグで戦う選手の中では自分のことを最も尊敬しているとお聞きしました。これには、どんな理由がありますか?

あぐのむ:
僕は他のeスポーツタイトルやスポーツだと、最も有名な先駆者的な存在の方を尊敬しています。

僕も誰かにそう思ってもらえるような選手になりたいので、僕が他のシャドバプロ選手を尊敬してしまうと、自分が先駆者にはなれないのではないかと考えているんです。ですので、プロリーグで戦う選手の中では僕自身を尊敬するようにしていますね。

――プロ選手は「かっこよさ」が大事だと考えているとお聞きしました。

あぐのむ:
例を挙げるなら、日本のホストであり、モデルであり、実業家でもあるローランドさんが僕の考えるかっこいい人です。彼のように自分だけの世界を持っているような人に憧れていますね。

シャドバ界でかっこいい人は誰かと聞かれたときに、僕の名前がすぐに出るような状態を目指してがんばりたいと思います!

F・マリノスに中途半端なコミュニケーションは存在しない

――F・マリノスはどんなチームですか?

あぐのむ:
我が強いとは少し違うんですが、F・マリノスは周りの意見に流されず、それぞれが意見をしっかり持てているチームだと考えてます。実際にプロリーグに持ち込むデッキも、流行りのデッキや考え方を取り入れた上で、自分たちで考えて決めています。

――そんなF・マリノスのメンバーは、キャプテンであるあぐのむ選手の目にはどのように映っていますか?

あぐのむ:
しーまん選手は2Pick担当なんですが、ローテーション組が出した結論を否定することがあるほど、自分の意見を持っていますね。普通、対戦フォーマットが違ったら少し遠慮してしまうと思うんですよ。でも、彼はしっかりと意見をぶつけてくれるので魅力的ですし、F・マリノスの強みでもありますね。

みずせ選手はかなり我が強いんですが、新しい視点で物事考える力を備えていますし、F・マリノスの中で最も試合に集中できている選手です。

水煮選手はF・マリノスの中で最も優しくて、出た意見を否定せず受け止めてくれます。でも、おそらくプロ選手の中で1番シャドバのプレイ時間が多いのは彼だと思いますね。それぐらい、ずっとシャドバに取り組んでいます。

――チーム仲はいいほうなんでしょうか?

あぐのむ:
いいと思いますよ。でも、プライベートで会ったり遊んだりすることはあまりないです。シャドバで勝つためにはそれぞれが時間を作るんですけど、なんとなく飲みにいくみたいな中途半端なコミュニケーションはほとんどないですね。

本音を隠すこともないですし、プロリーグで勝つことに全力を注げているプロらしい、いいチームだと思ってます。

――3万人のF・マリノスサポーターがいる日産スタジアムで、シャドバプロチームとしての所信表明をしたとお聞きしています。緊張はされましたか?

あぐのむ:
さすがに緊張しましたね(笑)。

学生のころは日産スタジアムの近くに住んでいたんですが、まずスタジアムの中に立つことを考えたことがなかったですし、事前に足を運んだときは足が震えましたね。

貴重な体験はできたんですが、当時はまだあの場所に立つほどの人間ではないとも思っていました。次は、胸を張ってスタジアムに立てるようになりたいですね。


プレイし始めた当初から競技的に取り組み、結果を残してきたあぐのむ選手。しかし、念願のプロ入りを果たすも、試合中に思考がまとまらないという新たな課題も生まれたそう。

後編では、オフシーズンに取り組んだメンタルトレーニングについて語られた。

写真・BUN

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記者プロフィール
キズグチアロエ
「#コンパス」にどっぷりハマり、「#コンパス」に人生を捧げると決めた、傷口だらけのアロエ。
「#コンパス」に携わるクリエイターたちと、仲良くなりたいフリーライター。
どんなヒーローでもそこそこ扱え、特定のヒーローというよりもヒーロー全員が好き。

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