シャドバプロのあぐのむは瞑想活用でF・マリノスを勝利に導く

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■前編記事
あぐのむ流の瞑想の活用
――あぐのむ選手はメンタルトレーニングに力を入れているとお聞きしました。「RAGE Shadowverse Pro League」(以下、プロリーグ)にはどんな影響がありましたか?
あぐのむ:
僕はプロリーグの19-20 1stシーズンでは、緊張がひどくて試合にまったく集中ができず、思考をまとめることができませんでした。ですので、プロリーグで勝つためにメンタルトレーニングの勉強を始めたんです。
オフシーズンの間がチャンスだと思ったので、来る19-20 2ndシーズンに備えて瞑想などのトレーニングを続けていました。そこで、試しに出場した地方大会で準優勝の成績を残すことができて、試合にかなり集中して取り組めた実感も得ることができたので、万全の準備ができた状態でシーズンを迎えることができましたね。
実際に19-20 2ndシーズンでは、チーム首位の状態で2019年を終えることができました。僕のプロリーグでの個人成績も、初めて勝ち越すことができているので満足してます。
――それがメンタリストあぐのむと呼ばれる所以なんでしょうか?
あぐのむ:
そうですね。ただ、メンタルを勉強していると友人に話しても茶化されることが多くてちょっと困ってます。僕はプロリーグで勝つために、普段どおりの実力を出すことを意識して勉強をしているので、何か超常現象を起こそうとしているわけではないです。
ですので、自分に向き合った結果メンタルを勉強することになったというわけですね。
――瞑想ではどんな効果を得られましたか?
あぐのむ:
毎日継続してやることで、集中力を高めることができるようになりましたね。あとは、飛び交うさまざまな情報にまどわされないようになり、生活の質が向上したと感じています。1日に10分から20分ほどの瞑想をするだけで、効果を実感できると思いますよ。
瞑想は自分の呼吸に集中して、雑念が浮かんだらとにかくそれを考えないようにするのを繰り返すだけなので、特に難しいわけでもないです。僕はプロリーグを想定して椅子に座って瞑想していますが、場所や恰好は自由に決めていいと思います。
――体感だと、勝率はどれくらい上がりましたか?
あぐのむ:
10%ぐらいは上がっていると思いますね。カードゲームで10%も勝率が上がるのは相当なことですので、ぜひ試してみてほしいです。
――他に実戦していることはありますか?
あぐのむ:
当然かもしれませんが、他人の悪口はできるだけ言わないように、考えないようにしています。周りの人の行動が気になるということは自分に集中できていないということですので、他人の行動がいやだなと思っても、できるだけ気にしないようにしていますね。
あと、無理に周りに合わせるのもよくないので、自分に素直になれるように意識してます。
「強引に意見をまとめない」ーーサークルでの失敗をF・マリノスに活かす
――横浜F・マリノス(以下、F・マリノス)のキャプテンとして、意識していることはありますか?
あぐのむ:
F・マリノスのメンバーは1人ひとりがしっかり意見を持っているので、その意見を上手くまとめられるように意識しています。どれだけいい意見が複数出ても、最終的には1つにまとめないといけないですからね。
――最初から上手くまとめることはできましたか?
あぐのむ:
チーム結成時は僕があまり勝てていない状況でしたので、勝利に貢献できていない自分がまとめてもいいのかと自信をなくしている時期もありました。
逆に、自分さえ勝てればチームの勝利数が増えるということがわかっていたので、自分が今何をすべきかにすぐ気づくことができました。チームで勝てるようになってからは、かなりいい状態で意見をまとめられていると思っています。
――過去にリーダー経験で失敗したことがあり、そのときの教訓が現在の活動に役立っているとお聞きしました。
あぐのむ:
大学生時代にサークルの部長をしていたんですが、意見を強引にまとめてしまっていて、自分が正しいと思っていることを押しつけることが多かったんです。その結果、サークルの友人も自分から離れていってしまったので、これではダメなんだなと反省しました。
何かを強制するのがよくないことだと気付けたので、同じことを繰り返さないように意識していますね。
これをきっかけに失敗することは悪いことではなくて、次に同じ失敗をしないようにすれば成長につながると考えられるようになったたので、失敗するのが怖くなくなりました。F・マリノスで失敗してしまう前に、だめなやり方を知れたのはよかったなと今では思ってます。
――キャプテンはどんな人に適性があると考えていますか?
あぐのむ:
意見と聞くときと、まとめるときで緩急を付けられる人に適性があると考えています。
カードゲーマーは我が強い人が多いので、意見を押しつけようとしても必ず反発されてしまうと思います。ですので、意見を聞くときにはしっかり聞けて、チームが迷っているときにビシッと答えを出せる人が望ましいですね。
――あぐのむ選手は、キャプテンの理想像に近付けていますか?
あぐのむ:
少しずつではありますが、理想像に近付けていると思います。
F・マリノスは文章で議論をすることもあるのですが、それだと反発し合っているだけの場合も多いので、そのようなときは通話で話し合おうと提案し、できるだけ建設的な議論を行えるように心がけています。
eスポーツの発展には観客の盛り上がりが不可欠
――あぐのむ選手は、eスポーツの魅力を何だと考えていますか?
あぐのむ:
まずは、実力や強さが生まれ持った身体能力に左右されにくいという点ですね。
僕は小学生のときに野球、中学生のときに卓球、そして高校生のときはバドミントンを部活でしていたのですが、やっているうちに上手な人との壁を感じてしまって、とてもじゃないけどトップを目指すことはできないと絶望感を抱いていました。
あとは、オンライン大会も充実している点も魅力だと思います。オフライン大会はもちろん魅力的なんですが、どうしても移動を挟むので億劫に感じてしまう人もいると思います。でも、オンラインであればこの問題は解決できるので、eスポーツならではの魅力かなと考えています。
――オフライン大会の魅力はどうですか?
あぐのむ:
生身の人間と触れ合える点ですね。オンラインだと対戦相手が人間であるということを忘れてしまいがちで、心無いことを言ってしまう方もいると思います。
でも、RAGEのようなオフライン大会の場では試合前に挨拶をし、試合後にも挨拶をします。これはオンライン対戦だけでは感じられないことですので、オフライン大会に参加したことがない人も、ぜひ一度参加してもらいたいですね。
――他のeスポーツ大会を観戦することはありますか?
あぐのむ:
かなり見てますね。積極的に他タイトルの大会を観戦するようにして、ゲームごとの雰囲気を掴むようにしています。
「大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ」の大会が好きでよく見ているんですが、海外の大会だと観客の盛り上がりがすごいんですよ。撃墜したときに席から立っているファンの人もいますし、シャドバもこれぐらい盛り上がるコンテンツにしたいなと思いましたね。
大会を見ている人が盛り上がることがeスポーツの発展には欠かせないと考えているので、現在のプロリーグに観客として入ることはできませんが、ゆくゆくは観客席を設けて、そこの様子も映し出されたらいいなと思ってます。
――eスポーツと何かを組み合わせることで、新たなファンを獲得しようという試みもあります。あぐのむ選手は、eスポーツと何を組み合わせてみたいですか?
あぐのむ:
僕はeスポーツとスポーツを組み合わせたいですね。
例えばサッカーの競技プレイヤーとして活動していて、年齢などの影響で引退せざるを得なくなったときに、FIFAのようなサッカーゲームにサッカーの知見を注いでもらえれば、きっと活躍できると思います。
――あぐのむ選手がeスポーツ選手として活動していて、最もうれしかったことはなんですか?
あぐのむ:
プロリーグという、僕が本気で戦える場所が用意されていることがうれしいですね。
一般のプレイヤーのときはRAGEのような大会でしか本気で戦える場所がなかったので、現在のようにシーズン中は毎週のように本気で戦える場所を作ってもらえていることに、本当に感謝しかないです。
――最後にファンにひと言お願いします。
あぐのむ:
これまで応援してくださったファンのみなさま、本当にありがとうございます。今後も個人としても、チームとしても努力を続けてがんばりたいと思いますので、今後とも応援のほどよろしくお願いします!
シャドバの競技シーンだけでなく、他タイトルの大会を研究してeスポーツの発展を願うあぐのむ選手。彼は横浜F・マリノスのチームキャプテンとしてだけでなく、シャドバやプロリーグを盛り上げるために必要不可欠な存在ではないだろうか。
今後もあぐのむ選手の活躍に注目していきたい。
写真・BUN
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