「ピック見直しが最重要」――AXIZのRob流2Pick上達テクニック

キズグチアロエ

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Shadowverse(以下、シャドバ)では、登録された4名の選手がチームとなって戦うプロリーグ戦「RAGE Shadowverse Pro League」(以下、プロリーグ)が開催されており、OPENREC.TVでの大会配信に数千人ものシャドバプレイヤーが注目している。

本稿では、AXIZの2Pick担当として活躍するRob選手に聞いた2Pickの魅力や、Rob流の2Pickで重要な3つのポイントをお届けする。

プロ雀士を目指しプロゲーマーバンド結成を狙う

――最初に、Rob選手のことを教えてください。YouTubeに投稿されているRob選手への密着動画で、誰とでも仲良くなれる能力を持っていると知りました。友人の数はかなり多いのではないでしょうか?

Rob:
現在はそれなりに友人はいるんですが、実はプロ入りする前はまったくいませんでした。

AXIZに加入してからもその状況は変わらなかったので、オフシーズンのときに他のチームの選手と交流をして、積極的にこちらから話しかけるようにしていました。その結果、今ではシャドバ以外でも遊べるような友人がたくさんできましたね。

――AXIZのメンバー以外だと、どの選手と仲がいいですか?

Rob:
特にG×Gのちゃみ選手やフォレスト選手と仲がいいですね。あと、僕は2019年で25歳になるんですが、同世代の選手であるよしもとLibalentのふぇぐ選手や、レバンガ☆SAPPOROの真春選手、あとは横浜F・マリノスのあぐのむ選手とも仲が良くて、一緒にお酒を飲みに行くこともありますよ。

――かなり交友関係が広いんですね。Rob選手には「コミュニケーションモンスター」という異名がありますが、コミュニケーション能力は高いほうなんでしょうか。

Rob:
意外に思われるかもしれないですが、実はコミュニケーション能力は低いと思っているんですよね。人と話すことはすごく好きなんですけど、すぐに緊張してしまいますし、会話中に想定外のことが起こると慌てふためいていました(笑)。

ですので、大学生のころなんて誰かと話すときにはこの話題で声をかけて、困ったときはこれをネタにして……と事前に台本を考えるという万全の準備をしていました。普段の会話でこんなことする人はまずいませんよね。

――かなり意外でした。現在でも台本を用意しているんですか?

Rob:
いえ、もう台本を用意をしなくても話せるようになりました。でも、未だに初対面の人と話すときは緊張してしまうので、まだまだ克服中と言ったところでしょうか。実際にこのインタビューもめちゃくちゃ緊張してます(笑)。

いつか、明石家さんまさんのようにペラペラと話せるようになりたいですね。

――でも、周囲の人からはRob選手はコミュニケーションモンスターだと思われているようです。

Rob:
実はその異名は、AXIZのチーム運営の方が名付け親なんですよ。

AXIZのメンバー全員が同じ仕事をしているのにも関わらず、いつのまにか僕だけが仕事の関係者と麻雀を打ちに行くほど仲良くなっているのを知ったのが、コミュニケーションモンスターと名付けたきっかけだと聞きました。

シャドバプロ関係者はすごい経歴を持っている人が多くて、話を聞いているだけで本当に面白いんです。普段はあまり喋るキャラじゃない人も、2人で話せばすごく面白いことを語ってくれますし、本当に魅力的な方ばかりです!

――麻雀もされるんですか。

Rob:
実は意外と麻雀もやり込んでいて、来年には麻雀のプロ試験を受けようと思ってます。プロ試験に合格したからと言ってシャドバには特に影響はないですが、プロゲーマーがプロ雀士になれば、面白いかなと思いまして(笑)。

プロゲーマー以外にも語れる何かがほしいと思っているので、先ほどのプロ雀士になること以外にも、プロゲーマーだけのバンドを組んでみたいなとも考えてます。

――いろんなことに挑戦されているんですね。大学生時代は、教師を目指していたともお聞きしました。

Rob:
そうですね、大学では高校の理科と科学の教師を目指してました。ただ、板書がめちゃくちゃ下手くそだったので、教育実習のときはすごく苦労しましたよ(笑)。

ただ、卒業する前にシャドバのプロ入りをしたので教師はしばらくお預けですね。

ピックの見直しが最重要な2Pick

――Rob選手は、プロリーグで担当しているフォーマットである2Pick(※)の魅力は何だと考えていますか?

※提示される2枚組カードのうちいずれかを選択していき、30枚のデッキを組み上げて戦うフォーマット。世界大会である「Shadowverse World Grand Prix 2018」にも採用されているため、世界チャンピオンを目指すなら2Pickでも勝利できる実力が必要となる

Rob:
同じデッキ、同じ盤面、同じ対戦相手の試合がないので、何度プレイしても飽きないことですね。ローテーションだと同じデッキを使いますし、対戦相手も流行っている強いデッキを使用していることが多いです。ローテーションは再現性があっていい練習になるとは思うのですが、僕にとっては2Pickのほうが魅力的でした。

実際に、ミッションを達成する目的でプレイした2Pickに一瞬でハマってしまいましたからね(笑)。

――2Pickはリーダーを選び、そこから30枚のカードを選んでいきます。覚えておかなければならない要素が多いイメージがあります。

Rob:
確かに覚える必要があることは多いかもしれないですが、それが2Pickの魅力でもあります。僕も最初は強そうなリーダーとカードをなんとなく選んでプレイしていたんですが、2Pickは研究すればするほど奥が深いと気づきました。

これはほんの一部ですが、大会やプロリーグなどで2Pickを競技的にプレイするとなると、まずすべてのリーダーのカードプールを把握する必要がありますし、何回目にどのレアリティのカードが提示されるのか、そしてそのカードがどれくらいの確率で提示されるのかなどの、2Pickの仕組みも覚える必要がありますね。

――プロリーグでは、2Pickのどの部分に注目すれば楽しめますか?

Rob:
やはり、ローテーションとの一番大きな違いであるリアルタイムでデッキを作成していく部分ですね。生活のすべてを捧げているプロ選手でさえ、同じリーダーが提示されても違うリーダーを選択することがあるんです。この時点で面白いと思いますよ。

あと、これはかなりハイレベルな楽しみ方にはなるんですが、選手がどういう理想のデッキを描いていて、この選択は単純なカードパワーでピックしたのか、それともデッキに合うカードだからピックしたのかなどを考えながらデッキ作成を見てもらえると、より2Pick戦を楽しめると思います。

あと、左右どちらのピックでも正解というパターンもありますし、プレイスタイルでピックするカードが変わるのも面白いポイントですね!

――プレイ面ではいかがでしょうか?

Rob:
プレイングに関してはローテーションと同じで、両選手の手札を見られる神視点に加えて、実況解説陣の説明があるのでわかりやすいと思います。ただ、試合後にピックを振り返って、違う2枚組のカードをピックしていたら結果が変わっていたんじゃないかと考えられるのが、2Pickならではの楽しみですね。

実はこれが2Pick上達テクニックの1つでもあるので、このあたりの解説をプロである僕たちが発信していく必要があると考えてます。ですので、プロリーグの試合が終わった次の日ぐらいにデッキ選択の解説や振り返りをOPENREC.TVで配信しているので、よかったら遊びにきてください。

――Rob流の2Pick上達テクニックを教えてください。

Rob:
大きく分けて3つのテクニックがあります。

1つめはリーダー選択です。強いリーダーを環境を考えて見極めて、なぜ強いのかまで理解する必要がありますね。

2つめはカードプールを把握することと、順位付けをすることですね。どのレアリティにどんなカードがあるのか、序盤で重要な2コストのカードは何があるのかなどを知る必要があります。この2つを理解していれば、どのリーダーとカードを選択すればいいかが自然とわかってきますね。

最後はピックの見直しです。これは先ほど説明した内容にはなりますが、プレイングと同じぐらいピックの見直しは2Pickでは最重要なんです。ただ、すべての試合を画面録画するのは大変だと思うので、悩んだ選択肢をスクリーンショットで撮影しておいて、負けた試合だけ振り返るなどの工夫をするのがおすすめですね。

シャドバ愛を曲にして弾き語る多才なRob

――ここまでRob選手と2Pickについて聞いてきましたが、そもそもRob選手がシャドバを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

Rob:
僕は大学生のときに部活でアメリカンフットボールをしていたんですが、2年生のときに怪我をしてしまい、選手を続けられなくなりました。それで部活をやめてからは暇な時間が増えたので、ゲームでもやるかと思いアプリストアを眺めてました。

そこに飛び込んできたのが、セールスランキング上位にいたシャドバですね。レビューを見て面白そうだったので迷わずインストールをして、すぐにハマっちゃいました(笑)。

――シャドバの魅力は何だと考えていますか?

Rob:
シャドバをただの暇つぶしでプレイする人もいれば、趣味の一部であったり、プロ選手のようにシャドバを競技として捉えたりなど、人によってゲームに求めるものは違うと考えています。そして、これらのどの層にも楽しめるように設計されているのがシャドバの魅力だと思いますね。

イラストやボイスはすごく綺麗で迫力のあるものですし、設定の細かいストーリーは僕も楽しんでプレイしています。ストーリーとカードのフレーバーテキストがつながっていることもあるので、こちらも見逃せませんね。

そしてカード調整も頻繁に行われていますし、プロとしてもやりがいのあるゲームだと思います。

――日本テレビのeスポーツ応援番組である「eGG」で、Rob選手はシャドウバースの歌を披露していましたね。何がきっかけで歌うことになったんでしょうか?

Rob:
eGGの選手紹介コーナーの初回に出演したんですが、過去にバンドを組んで活動していた経験があったので、番組プロデューサーさんから「YOU、曲作っちゃいなよ!」と言われて作詞作曲をすることが決まりました。ぶっちゃけ、かなり無茶ぶりでしたよ(笑)。

――歌詞にはファンファーレやリアニメイトなどの、シャドバ用語が多く盛り込まれていましたね。

Rob:
シャドバ番組であればもっと用語を入れたかったんですけど、シャドバを知らない人も見る番組でしたので、シャドバ要素はこれでも少な目にしたつもりです。でも、シャドバ要素が少なすぎても本末転倒なので、ここのバランスが難しかったですね。

――実際に作詞作曲してみていかがでしたか?

Rob:
30秒から1分のバラード風の曲という指定があったんですが、まず作詞作曲をしたことがなかったので、単純に難しかったですね。作る流れとしては、ノートに良さげなフレーズを書いて、それを鼻歌から生み出したリズムでつなげていきました。

この番組をきっかけに、締切に追われるということを経験できましたね(笑)。

――お気に入りのフレーズを教えてください!

Rob:
最初の歌詞である「朝目覚めると君からのログインボーナス」ですね。個人的に一番気に入ったフレーズだったので、掴みである曲の冒頭に持ってきました!

もしまたこういう依頼があれば、全力で取り組みたいと思います(笑)。


終始笑顔でインタビューに応じてくれたRob選手の2つ名である「先鋒のジェントルマン」は、彼の持ち味である人の好さが由来ではないだろうか。

後編では、eスポーツ選手にとって重要だと考えている筋トレ話から、AXIZリーダーとしてのRob選手の素顔をお届けする。

写真・BUN

(C) Cygames, Inc.

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記者プロフィール
キズグチアロエ
「#コンパス」にどっぷりハマり、「#コンパス」に人生を捧げると決めた、傷口だらけのアロエ。
「#コンパス」に携わるクリエイターたちと、仲良くなりたいフリーライター。
どんなヒーローでもそこそこ扱え、特定のヒーローというよりもヒーロー全員が好き。

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