プロスマブラ―RaitoがEVOでした決意「やっぱり僕はプレイヤー」【後編】

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■前編記事
Raito本人が選ぶベストバウト
すいのこ:スマブラSPが発売して、WiiUはひと区切りしたじゃない? 思い出に残っている対戦ってある?
Raito:
いろんな対戦があるけど、個人的に一番良かったのは……、うーん、迷うな(笑)。
国内だったら間違いなく西覇祭(※)のtakera戦。あの試合は自分の中でピークで、ベストバウトだったね。
※西覇祭:九州、広島、大阪のコミュニティ大会の上位入賞者だけが招かれた大会。
すいのこ:あれは熱かった!
Raito:
takeraさんはライバルに近い存在で、2~3年くらい、宅オフに行くたびに対戦してお互いにアドバイスしあっていたんだけど、大会で当たるのは久々で、めちゃくちゃ思い入れが強くて。
僕は対takera用に、いままで見せていない立ち回りをいくつか用意していて、それもあって勝てたの。そしたら、takeraさんもそうしてたみたいで。
すいのこ:負けてあんなに悔しがるtakeraさん見たことないもんね。ずっとうなだれてて。
Raito:
僕も初めて見た。対戦が終わった瞬間、床を叩いていたもん。takeraさんって普段は負けても笑顔でいるのに、あのときは全然そうじゃなくて、まじで悔しいんだろうなって伝わってきた。
すいのこ:お互いライバル視してたしね。生で観ていて熱かったよ。海外戦は?
Raito:
やっぱりCEO2018やEVO2018の大舞台にあがったとき、MkLeo戦とかMVD戦とか。どっちも負け試合なんだけど、負けたときに悔しいって感情よりも、大舞台で戦った達成感と負けて終わってしまった喪失感が強くて、まだこの舞台で戦っていける準備ができていなかったと確認できた。
MkLeo戦にあと1歩のところで負けて、そのあとCaptainZack戦に負けたときに、四方八方からいろいろな人が応援してくれていて、すごいところまできたんだなって嬉しくてたまらなかった。
Raito式キャラクターの選び方
すいのこ:SPが発売して1ヵ月と少し経過したけど、もう割と使うキャラクター固まってきたよね。
Raito:
ルキナとダックハントで固まってきたね。
すいのこ:ルキナで大体カバーして、ちょっと相性悪い相手はダックハント?
Raito:
そうだね。ルキナがメインになりつつある。強いから仕方ない。強いキャラ最高(笑)。
どのキャラを使うか考えるにあたって、ゲームシステム的に優れている部分を洗い出してみてたら、
- 相手にガードさせて反撃されない技をいっぱい持っているかどうか
- シールドが削れたときに逃げる相手を潰せるかどうか
- 崖上が強いかどうか
- 復帰が強いかどうか
- ガードしたときに自分が有利になれる技を持っているかどうか
この5つが大事だと思って、撃墜力はその後に気にするものだと分析していたんだ。
復帰阻止されないくらいの復帰力であるのは当然だと思ってたから、その時点で上位キャラでもアイクとかクロムは僕には使えないと思った。
崖上は剣とか武器判定持っていると楽だと思ったのと、シールドキャンセル(※1)や暴れ(※2)が強いキャラを考えると、ルキナがうってつけ。
全身無敵付きの上必殺技やガードさせて有利な技も持っているし、それが差し込みにもなる。横強攻撃と通常空中攻撃が当てはまるんだけど、ガードさせると有利になるところが強い。しかも、結構離れたところから差し込めて、飛び道具の対策もできる。
という感じで突き詰めていったら、ルキナが自分の求める要素をすべて満たしてくれている。
※1 シールドキャンセル:シールド展開中に上スマッシュや上必殺ワザなど特定の行動を入力することで、シールド解除モーションを無視して直接ワザを発生させるテクニック。プレイヤー間では、ガードキャンセル(ガーキャン)と呼ばれる。
※2 暴れ:不利な状況で技を出して、相手の連続攻撃を阻止すること。
すいのこ:システムの理解度はどう? 1カ月と少し経って、環境に変化があるころかな?
Raito:
今の環境がいったん収束する段階にきているのは間違いない。ただ、その環境が収束してきた中での対抗策を作れるゲームだよね。そうなってきたときに、今の環境だけを見てがっつりやっている人は置いてかれてしまう。先を行くプレイヤーはすでに出てきているから。
すいのこ:まだまだジャストシールド周りとか全然開拓されてないと思う。
Raito:
ジャストシールドを7~8割の割合で出せる人が現れたら変わってくるんじゃないかな。
ジャストシールドをするしないの読み合い、すかしの読み合いとか、開拓できる要素はいっぱいあって、そもそもその読み合いをしないための遠距離の間合いの取り方とか、考えることは多く残されてる。
すいのこ:まだまだ開拓できるね。システムは理解できていて、それに対する読み合いの選択肢がいっぱいあって、それをどれだけ深掘りできるかというところになっていくんじゃないかな。
Raito:
スマブラWiiUもそんな感じで変わってきたからね。
すいのこ:いまの自分の足りていないと思うことってある?
Raito:
結構あると思ってて、スマブラを愛する力が足りないかなと。僕は1on1の勝負が好きで、乱闘はあまりやらないし、チーム戦もやらない。
でも、そういうの関係なくスマブラが大好きでいろいろなキャラ触って、それにすべての時間を費やしている人たちがいて、そういう人たちを見ていると、もっと自分はスマブラのことが大好きでがっつりいろいろなことやったほうがいいんだろうなって思いつつ、時間が足りない、どうしようってなってる。
時間の使い方が下手くそなのがちょっと良くないところなのかなって最近思ってるところ。
すいのこ:時間がなかなか作れなくて、ついついタイマンしかやらない感じになるのはよくわかる。
Raito:
そういうところから得られる可能性を排除したままやるのはもったいないなって思っていて、それに対する時間の取り方が下手くそなのが良くない。
あとは、結構我慢が苦手で、意志が弱い。疲れたと思ったらベッドに寝転がって漫画読んじゃうし。
すいのこ:お酒も飲んじゃうしね。
Raito:
お酒は最近抑えてる。漫画だったら、すぐコントローラー握ればスマブラを始められるけど、酔っ払ってしまったら、すぐにスマブラができないからね。
とはいえ、自分に厳しくなれないところがあるのは良くないと思ってるよ。
自分自身のプロデュース目的で生まれた「スマブラどうでしょう」
すいのこ:Smashlogで執筆活動しようと思ったきっかけは?
Raito:
自分のブランドを確立させていきたいなって思ったのがきっかけかな。自分をプロデュースする環境がないことに悩んでいたんだけど、ちょうどその頃にあばだんごからSmashlogを立ち上げた話を聞いたの。
そこで記事を継続して書いていってもし評価されたら、それは自分のプレイヤーとしての価値を高める要因になるなと思ったんだ。
Smashlogとしてプレイヤーたちに何かを伝えたいというのは記事で完結することであって、僕の根幹としてあるのは、単純に自分をプロデュースしたい、そのための場所としてSmashlogを借りさせていただけたらいいなって考えてる。
最近は「Smashlog見てます」って話しかけられることもあって、すごくありがたいことだね。
すいのこ:それこそ、「スマブラどうでしょう」もそうだよね。
Raito:
そうだね。スマブラどうでしょうは、面白いプレイヤーが目立てないのはもったいないなという思いで始めたの。
以前にも全二対談とかレアキャラ使い対談の動画を作ったんだけど、バラエティ系の番組をレギュラーメンバーを設けて継続的にやろうと。メンバーは、まだあまり目立ってないないけど、喋ったら絶対面白いメンバーを考えた結果、えつじときしゃだなってビビっときた。
この番組を見て、スマブラの界隈を良いなって思ってほしいな。スマブラそのものの良さを伝えるものは他にたくさんあるから。
やらない後悔よりやる後悔
すいのこ:この記事を読んでる人の中にも、プロやストリーマーとしてやっていきたいけど、いろいろなしがらみで踏み切れない人がいると思うんだけど、Raitoさんはどういう風に決断してどうやって行動に移したか、言葉にできるのなら教えてほしいな。
Raito:
自分の意志だけじゃなくて、家庭環境とかも影響してくると思うんだけど、僕の場合はちょっと特殊で、お父さんもお母さんも、「好きなように生きろ。ただし責任はとらない」っていう感じの家庭だったの。
その結果、姉はバックパッカーみたいな感じのことをやって、僕はプロゲーマー、妹はダンスのインストラクターになった。
親が自分のやることに疑問を持たずに推奨してくれたのが、自分でいろいろ考えるきっかけになってやってこれたのかも。しがらみがなかったから、決断しやすかった。
で、これからいろいろやっていきたい人がどういう風に決断したらいいのかっていうことについては、僕が個人的に大事にしていることなんだけど、後悔はやったあとでいいということ。やってからだめだったら反省すればいいのであって、やる前に選択肢を捨てるのは一番もったいないし面白くないことだから、やってみて後悔すればいいんじゃない?
あと、僕の場合だけど、映像編集のスキルがあったのが支えになったかな。この道が駄目でもなんとかなるかなっていう自信がなんとなくあった。1つの道だけに固執しないで、別の選択肢も持っていたほうが後々動きやすいのは事実だから、そのために何かの勉強をするのはありだと思う。
すいのこ:まずはやってみないと何もわからないしね。最後に、これからの活動で何か考えていることがあれば教えてほしい。
Raito:
配信をやって大会に出て、そのために研究してトレーニングしてっていういまの状況を継続していきたいな。継続って1番難しいことだから。
僕のゴールは、ゲームをやっていることは恥ずかしくないんだぞっていうことを伝えることで、それを達成できる機会は得たと思うんだ。じゃあ、あとはどれだけ達成できるかやっていくだけって感じ。だから、今年はプレイヤーとしての実績はもちろんなんだけど、メディアへの露出も増やしていろいろな人に見てもらいたいね。
写真・だりもこ
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