テレ東田口アナの規格外なロックマンDASH愛

Mako(WPJ編集部)

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eスポーツシーンの実況で活躍する人たちにもさまざまな経歴や趣味趣向の人がおり、プロゲーマーと同じくらいに取材するのが面白い。

今回インタビューしたのは、テレビ東京の田口尚平アナウンサー。出会って早々に「僕はゆるふわポップなんで」とジャブを打たれた瞬間、面白い取材になるのを確信。

アナウンサー界一のオタクとも称される彼の実況論などの真面目な話はもちろん、愛してやまないゲームについて存分に語ってもらった。

「エヴァから聖書」絵に描いたようなオタク道

――取材前に田口アナについて調べたのですが、やっぱり「アナウンサー界一のオタク」という文言が気になりました。

田口:
そう書かれていますよね。発言元は先輩の相内優香アナウンサーですが、それが広まっていったという次第で……。

――アナウンサーでゲーム好きは珍しいんでしょうか?

田口:
テレビ東京だと「大乱闘スマッシュブラザーズ」(以下、スマブラ)を遊ぶ男性アナウンサーがいますけど、eスポーツで扱われるようなタイトルを遊ぶ人はいないですかね。

ただ、年末に後輩と「刹那の見斬り」(※)をやったんですけど、めちゃめちゃ盛り上がりましたよ。あれは最高のeスポーツですね。ただただ反射神経を追い求めるという(笑)。

※刹那の見斬り:スーパーファミコン用ソフト「星のカービィ スーパーデラックス」に収録されているミニゲーム。画面に「!」マークが表示されたら相手よりボタンを早く押すと勝ちというシンプルなゲーム

――そもそも、アニメやゲームにのめり込んでいったのはどういった経緯だったか覚えていますか?

田口:
ゲームで最初に遊んだのは、確かスーパーファミコン用の「スーパードンキーコング」ですね。結構難しくて、3面くらいでクリアできなくなるんですよ。それを親父の会社の同僚がサクサクとクリアしていくのを見て、ゲーム上手い人ってカッコいいって思ったのを覚えています。

それから、「ドラゴンクエスト」(以下、ドラクエ)や「ファイナルファンタジー」(以下、FF)などのRPGを中心にゲームにハマっていった王道なパターンです。

――アニメも同じくらい好きになっていったんですよね。

田口:
小学生の頃にテレ東の夕方のアニメを観ていたのが始まりだったかな。「ベイブレード」とか「Get Ride! アムドライバー」が好きでした。アムドライバーって超面白いんですよ! マジで面白いんで観てください。

でも、ガッツリハマったので言うとやっぱり「新世紀エヴァンゲリオン」ですね。

1995年放送開始で、僕は1991年生まれなのでリアルタイムに観ていた世代ではないんですけど、再放送で観たときに「これはやばい」と。かなりハマってしまって、聖書とか関連する文書を読み漁るくらい、のめり込んでいきました。

あと、僕はいわゆるハルヒ世代なので、その時期の深夜帯のアニメは全部網羅するみたいな感じでした。

――僕も同い年なのでそのブームはよくわかります。深夜アニメという言葉もそのころに知りました。

田口:
中学3年生くらいのときですよね。バンドもやってて、アニソンのコピーとかやってました。

みず……、奈々様(※)は神様だと思っていましたよ。

※奈々様:歌手活動でも活躍する女性声優の水樹奈々

――奈々様……。順調にオタク人生を謳歌していたんですね。

田口:
はい。すいません。

ゲームはその後もいろいろと遊びましたね。ゲームボーイでポケモンをやって、プレイステーションで「FF7」とかをやって、同時期にニンテンドー64が出て「スマブラ」とか「ゴールデンアイ 007」とか「スターフォックス64」とかやって。

ゴールデンアイってめちゃくちゃ面白かったじゃないですか? 今でもやりたくなりますもんね。「有吉ぃぃeeeee!」で扱いたくて提案したんですけど通りませんでした。

――有吉ぃぃeeeee!でゴールデンアイ、見たいです!

田口:
有吉ぃぃeeeee!は番組の立ち上げに関わっているんですけど、レトロゲームでいく線もあったんですよ。最終的には今のゲームをやったほうがいいだろうということになりましたが、いつか有吉さんにゴールデンアイをやってほしいですね。

――有吉さんもゲーマーなのでやったことあるかもしれないですし、盛り上がりそうです。

田口:
有吉さんが猿岩石で活躍していて、とても忙しい時期だったはずです。ですから、ゲームとは距離を置いていたのではないでしょうか……。ただ初見、プレイ済みのどちらでも楽しめるゲームですから、ぜひ実現させたいですね。

で、僕のゲームの歴史に話を戻すと、その後はゲームキューブでスマブラDXをひたすらやって、プレイステーション2でもいろいろなゲームをやり込んでいくんですけど、その前に申し上げておきたいのが、「ロックマンDASH」が、マジで今でも最強だと思っているということ。

ロックマンDASHの本質はトロン様?

――もちろん、ロックマンDASHについては聞こうと思ってましたよ!

田口:
そうですよね(笑)。

ロックマンDASHとは、親父がパチンコの景品でとってきたがきっかけで出会いました。

――パチンコの景品でゲームソフトがあったんですね。知らなかった。ロックマンDASHはロックマンシリーズの中でも根強いファンが多い印象です。

田口:
今でこそオープンワールドゲームってメジャーになりましたけど、あの当時に箱庭システムとはいえフリーランニングRPGという疑似オープンワールドRPGを作ったのは革命ですよ。すっごく広い世界を冒険しているなっていう感動が今でも残っている。大変素晴らしい作品でした。

だからこそ、「3」が発売されなかったのが悔しいんです。

DASH開発室というサイトでユーザーの意見を募って開発に取り入れるということをやってたんですが、僕はもちろんめちゃくちゃ書き込んでいました。こういう「リーバード(敵)出して!」とか「こういう武装がいいです!」とか、「こういうストーリーがいいんじゃないですか?」とかとか。

で、バレットという新しい主人公のボイスは小野大輔さんが担当することが発表されて、いろいろなメカデザインも公開されて、いよいよ体験版が出るというところまできて、これは完璧な作品だと思ってたわけです。ハードは3DSで発売される予定で、まだ持ってなかったので買って……開発中止です。まさに地獄に落ちた気分ですよ。

プロデューサーの稲船敬二さんが退職されたり、東日本大震災があったりといった時期で、いろんなタイミングが重なってしまったこともあると思うんですけど、残念です。

――その話はファンの間では語り草ですよね。お辛いでしょうから話題を変えましょう。そういえば、ロックマンDASHに登場するトロン・ボーンが初恋の相手なんですよね?

田口:
そうなんです。

どこから話せばいいのか悩みますが……、テレ東で放送している「勇者ああああ〜ゲーム知識ゼロでもなんとなく見られるゲーム番組〜」(以下、勇者ああああ)の板川プロデューサーから、ゲーム好きならプレゼン企画に出てみないかと言われ、ロックマンDASHをプレゼンすることになったんですね。

どうにかしてロックマンDASHの素晴らしさをわかってほしいとなったら、結局トロン様がかわいいという1つの本質にたどり着いたんですよ。ロックマンDASHはキャラクターデザインが大変素晴らしいゲームでして。ええ。

トロン様はガチの王道ツンデレキャラクターなわけです。もうね、かわいくて仕方がないわけです。

番組でも申し上げましたけども、ロックマンDASHというゲームはロール・キャスケット派(※)とトロン・ボーン派で分かれるんですが、僕の肌感覚ではトロン・ボーン派が7:3でトロン様派が有利。トロン様主軸でスピンアウトした「トロンにコブン」というゲームもあるので、それくらいトロン様は人気があるということなんですね。

でも、インターネットで見るとロール派が多いんですよ。このあたりの乖離というものは何なのか、いずれ統計をとってちゃんとやりたいと思っています。

※ロール・キャスケット:トロン様と人気を二分するロックマンDASHのヒロイン

――初恋がゲームのキャラクターでツンデレ。いい感じにこじらせていますね。

田口:
そうですね。ツンデレという言葉はまだ浸透していなかった時代ですけどね。

――ちなみに、その後に恋したキャラクターって他にいますか?

田口:
めちゃめちゃいるなー、でも、浮気性と思われてもあれだしな……。

そうですね、「つよきす」という横須賀を舞台にしたゲームがあるんですけども、その中に登場する椰子なごみという超ツンなキャラクターがいるんです。攻略の7割くらいまできたときに急にデレる瞬間があって、まんまと僕は落とされてしまいました。横須賀まで聖地巡礼にもいきましたし。

――基本的にはツンデレが好みということですかね。

田口:
そうなんですけど、歳をとるにつれてもっとママみのあるキャラクターが、好きになってきましたね。つまりは包容力が重要です。

これが歳をとるということなんでしょうか……。

ゲームとアニメは世界を変える

――なんとなく田口アナの学生時代が想像できてきました。大学生の頃はどんな学生でしたか?

田口:
大学1~2年の頃は勉強とかスタートアップとかで割とゲームから離れる生活をしていましたね。

Tokyo Otaku Mode(トーキョー・オタク・モード)というスタートアップでインターンをしていて、ECサイトの設計とかをやってビジネスが楽しいと感じていた時期もありました。

大学では政治学科だったこともあって自民党のインターンも経験しました。

――おお、それは知らなかったです。もともと政治に興味があったんですか?

田口:
いやもう全然。入試でひっかかったのが政治学科だったというだけで。

だって、もともとは実は音楽で食っていくつもりだったんですよ。Galileo Galileiや関取花さんとかを発掘した「閃光ライオット」というフェスに出たこともあって、いけると思ってたんですよ。ただそう上手くはいかず夏から受験を始めて、なんとか大学生になりました。

大学3年生に上がるときには留学もしました。フィリピンに3ヵ月、アメリカに9ヵ月の1年間。

――行動力がかなりありますよね。こういう仕事がしたいというビジョンがあったんですか?

田口:
アニメやゲームに関わる仕事をやりたかったです。英語が必要だと考えたのも、アニメやゲームが国内だけにとどまらないだろうと思ったからなんです。

留学時には、英語以外にもWebデザインも身に着けました。それまでもちょっとかじってはいたんですけど、ちゃんと構築できるくらいまでに。

そうでもしないと食っていけなかったんですけどね。学生ビザで行ってたので、バイトができなかったんですよ。で、やれることといえば、Webで請け負うアウトソーシングしかなくて。

しかも駆け出しのペーペーを使ってくれるところなんて、あってもかなりのマージンを取られるので、一生懸命時間をかけて作っても、10万円で請けた仕事のうち5万円とか持ってかれて……。お金がなくてウォルマートで弁当より安いでかいクッキーを買って、そればかり食ってました。

――そんな状況だと、好きなアニメやゲームに触れることができなかったのでは?

田口:
現地の人や他の国からの留学生が、日本人に興味を持って話しかけてくれるときの入り口がほとんどアニメでしたね。なので、アニメの話をすることは結構多かったです。

ゲーム好きな中国人の友だちもいましたし。その友だちは広州出身で中国共産党幹部の息子で、すごいお金持ちだったんですけど、「コープスパーティー」とか「CLANNAD」とかやってて、2人で盛り上がってました。

ゲームとアニメはまじで世界を変えるなと思いましたね。


好きなアニメやゲームの話をしだすと止まらない田口アナ。

トロン様について語っているときの目は、この日でもっとも真剣な眼差しだったことは記しておきたい。

後編では、留学から帰国後の成り行きや、実況として出演したドラゴンクエストライバルズ 勇者杯2018冬について語ってもらった。

写真・大塚まり

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記者プロフィール
Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

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