スマブラ日本ランキング1位 しゅーとんに聞く地方プレイヤー事情

Mako(WPJ編集部)

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スマブラはもちろん、その他多くのゲームタイトルの強豪プレイヤーは関東、特に東京を拠点に活動する人が多い。共同生活で切磋琢磨し合うプレイヤーもいれば、スマブラでは宅オフ(プレイヤーの自宅で行う小規模な対戦会)や平日大会も多く存在する。

そのため、スマブラ界隈で名を馳せているトッププレイヤーは東京を中心とした関東圏に居を構える人が大半だ。

しかし、2019年上半期の世界ランキングPGRで5位、スマブラ日本ランキングJPRで1位のしゅーとん選手は福岡から遠征を繰り返して結果を出し続けている。練習環境や移動の負担、少し考えただけでもその苦労は思い浮かぶが、実際のところどう感じているのか。今回のインタビューは「地方在住の選手活動」をテーマに話を聞いてきた。

地方在住が憧れる平日大会の存在

――最近出演された「ケプトの定時退社」にて、スマブラを始めたのは幼稚園の頃だとお話されていましたが、最初にプレイしたのはNINTENDO64の初代スマブラですか?

しゅーとん:
一番最初に出会ったのは64のスマブラです。幼稚園に入る前か入った直後くらいですね。

ただ、幼稚園で「スマブラDX」をやってた記憶もあるんですよ。だから、どこまで64で遊んでいたのか記憶がちょっとあやふやです。

――競技シーンで活躍されている人の多くが初代かDXあたりから始めています。その後、宅オフや「スマブラX」から始まったオンラインプレイなりで対戦文化に入り込んでいくケースが多いです。しかし、福岡だとオフラインの大会はなかったんですよね。

しゅーとん:
なかったですね。3DSが発売された翌日に大会が開かれたんですけど、それが初めてです。

――その大会に出場したのが初めてのオフライン大会ということですね。出場してみた感想などは覚えていますか?

しゅーとん:
最初はとにかく怖かった思い出がありますね。

大会ってやっぱり殺伐としているというか、みんな勝ちたい欲が出てるから、宅オフと雰囲気が違うなと思って。そのときは高校生だったのもありますし。

結果はすいのこさんに負けて準優勝でした。

――その後、いろいろな大会や宅オフに行くことになると思うんですけど、今現在も福岡に在住されていますが大会って関東で開催されるのが多いですよね。やはり移動などで苦労している部分があると思うのですがいかがですか?

しゅーとん:
やっぱり移動は特に感じますね。なんで俺だけこんなに移動しなきゃいけないんだよ! と。

ピークのときには毎週のように東京に来ていたので、そこはキツイものがありますよ。

――東京に引っ越したいという気持ちはないんですか?

しゅーとん:
もちろん東京に行きたいですよ。でも、まだ大学生なので、卒業した後じゃないと厳しいかなと。卒業したら来たいですね。

練習環境に関してはあんまり不満は持っていないんですけど、やっぱり移動がとにかくめんどくさいので。

あとは平日大会(※)は羨ましいですね。あそこでサブキャラを育てたいなと思うことがよくあるんですよ。

今は基本的には平日大会に出れないからやるとしたらぶっつけ本番で使うしかないんです。ただ、本番で別のキャラを試すのはさすがに怖くて。

※平日大会:平日の夜、定期的に開催されている規模が小さめの大会。関東では、闘龍門 極、Weekly Smash Party 〜スマパ!、上スマなどが開催されている

――やっぱりサブキャラは用意しておきたいですか?

しゅーとん:
そうですね。今は単キャラだと厳しい環境なので。

普段はオンラインでキャラの理解

――福岡では1人でトレモをやったりするのがメインですか?

しゅーとん:
いや、トレモはしてないです。普段は配信中にVIPマッチをやるくらいで、特に練習らしい練習はやってないですね。

――ということは、オンライン対戦が多いということですね。オンラインとオフラインでは環境は違うから練習にはならないという意見を耳にすることがあるのですが、練習という感覚ではプレイしていないのでしょうか?

しゅーとん:
うーん、その感覚はあまりないですね。

基本的にオンラインではサブキャラ試してキャラの理解をするというか、ひたすら対戦して気づいての繰り返しですね。

――バランス調整で性能が変わってしまうことがプレイに影響することはよくありますが、しゅーとん選手がメインで使用するピクミン&オリマーは弱体化されてしまいました。それでも、ウメブラSP5で優勝を果たしました。

しゅーとん:
その1回前のウメブラSP4では、ピクミン&オリマーしか使わずに9位だったんですよ。でも、やはりピクミン&オリマーではキツイ相手が出てくるので、SP5ではそういうときには別キャラ(シュルク)を使ったりました。そのおかげでトップ8まで進出、その後はピクミン&オリマーだけで優勝までいきました。

行けるところはピクミン&オリマーで行こうという気持ちでいたんですけど、どうしても割り切らないといけない場面はあると思いましたね。

――だからこそ、サブキャラを試す場は必要になってきますね。

しゅーとん:
福岡でも宅オフはあるんですけど、僕の家からめちゃくちゃ遠いんですよ。往復で3,000円くらいかかる場所しかなくて。ないものねだりばかり言っていても仕方がないので、もうしょうがないと割り切っています。

ただ、ウメブラなどの大会のために東京に前日入りしたときは宅オフに行って、そこでできるだけサブキャラを育てることはよくやっています。Tsuとtaranitoのシェアハウスがあるんですけど、そこにみんなで集まってワイワイやってますね。

――格ゲー界隈では、強いプレイヤーは東京に多く、次いで関西。関東に来ないと練習相手がいない、という話は聞くことがあります。スマブラもそういう環境というわけですね。

しゅーとん:
スマブラも似たような状況だと思います。東京は平日大会がかなりありますから。

福岡で平日大会を開いても定期的に開催できるほど人が集まるかわからないですし。


現環境でトップクラスの活躍をしているプレイヤーたちの多くは、メインの使用キャラとは別にサブキャラを使えるようにして、対戦相手によって使い分けることがスタンダードだ。

その準備の場としてうってつけの平日大会に気軽に参加できないのは大きな悩みどころ。東京に引っ越したいという思いもうなずける。

それでも安定して上位に入れる実力があることは過去の戦績を見れば明らか。後編では大会に臨む心持ちをメインに話を聞いてきた。

写真・Yumiko Mitsuhashi

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記者プロフィール
Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

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