転校してまでeスポーツの道を選んだ荒野王者ななちむの人生

キズグチアロエ

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荒野行動では、2019年5月より全国大会である「荒野Championship-元年の戦い」がスタートし、決勝戦の荒野王者決定戦は8月12日(月)に行われた。3ヵ月以上にも及んだ本大会を制したのは、事前に行われた人気投票でも1位を獲得した「ちーむえーけー!!」。

このチームの中に、高校生だけ出場できる「STAGE:0」のクラッシュ・ロワイヤル(以下、クラロワ)部門で、準決勝まで勝ち上がっている選手がいると判明!

今回は、荒野行動で王者になりながら、クラロワでも上位の成績を残したななちむ選手にインタビューを実施した。

荒野王者になれたのはファンのおかげ

――荒野王者決定戦で優勝し、荒野王者となったお気持ちをお聞かせください。

ななちむ:
とにかくうれしさでいっぱいですね。西日本王者決定戦を2位で勝ち抜けられてチームに勢いがあったので、荒野王者決定戦でも優勝できると信じて、最後まで戦い抜きました!

――優勝が決まったときはどんな様子でしたか?

ななちむ:
チームメンバーで全力で喜びを分かち合いました。ただ、荒野王者決定戦では3位から順に発表されたので、2位の段階で呼ばれないかびくびくしていましたね。

僕らのチーム名は「ちーむえーけー!!」だったので、アナウンスで「2位は……チーム」まで発表されたときは「あぁ、オレらかも」と本当にドキドキしました。

――優勝した後はどう過ごしましたか?

ななちむ:
半日ぐらい緊張しっぱなしだったので、メンバーも全員疲れていたんです。ですので、すぐにホテルに帰って寝てしまいました(笑)。

荒野行動はバトルロイヤルなので、上位チームは自然とプレイ時間が長くなって、疲れちゃうんですよ。

――プレイヤー席から見た会場の様子は?

ななちむ:
想像していた以上に盛り上がっていました。照明もすごいですし、何より会場がかっこよかったですね。

対戦中はヘッドフォンを装着しているので何も聞こえませんでしたが、配信を見返してみると、会場から声援が飛び交っていて、こんなに応援されていたんだなと気付きました。

――ななちむ選手のキルで会場が沸いていました。

ななちむ:
すごくうれしいです! 僕は、優勝できたのはファンが応援してくれていたからだと思っているんですよ。

対戦は5回行われたのですが、2回戦までは早い段階で負けてしまいました。でも、2回戦の後に発表された人気投票の結果で僕らが1位だとわかってから、めちゃくちゃ調子がよくなったんです。

人気投票の結果が違っていれば、きっと僕らは1位になることができませんでしたね。本当に応援してくれた方には感謝しています。

――荒野王者決定戦の順位は予想どおりでしたか?

ななちむ:
ちょっと意外な結果になりました。「αD」のAvesチームとCrowチームは上位にくると思っていたんですが、少し調子が悪かったみたいです。でも、僕が注目していた「Risky」はやはり上位に食い込んできました。

――「Risky」は人気投票では、あまり票を獲得していませんでしたが。

ななちむ:
そうみたいですね。ただ、荒野行動の大会に参加している人なら彼らが強いことは知っていると思います。意外なチームが2位という結果だと思われがちですが、全然そんなことはないですね。

――他のチームと協力して戦うチーミング行為が、本大会でも発覚しました。2チームが賞金と順位の取り消しとなりましたが、これについてどうお考えですか?

ななちむ:
同じ場所で戦った戦友として、ただただ残念で仕方がないです。詳しいことはわかりませんが、出場していた選手は悪くないと思うので、今後も大会で対戦したいですね。

そのときは、正々堂々と戦えることを祈っています。

Akはメンバー仲がとても良いチーム

――ちーむえーけー!!のメンバーは、どんな人物ですか?

ななちむ:
では、まずはリーダーのえけえむ選手から。彼はチームをまとめることができて、いるだけで雰囲気がよくなりますね。とても信頼しています。

次にMasa選手ですが、彼はチームの中で一番テンションが高いです。対戦で負けちゃったとしても、すぐに気持ちを切り替えて前向きに考えてくれるので、よく助けられてます。

――Ru1n選手と、現在はαDに所属しているGa1N選手はどうでしょうか?

ななちむ:
Ru1n選手は年長というだけあって、落ち着いた性格ですね。ゲーム内の司令塔でもあって、彼がポジションとかを決めてくれるんですよ。

Ga1n選手はもうとにかく騒がしくて、もともと騒がしいちーむえーけー!!をより元気にしてくれてます。泊まったホテルとかでも騒がしいので、全然寝れません(笑)。

――チームの中でななちむ選手は、どんな存在なのでしょうか?

ななちむ:
Akのメンバーはみんな仲が良く、いつもみんなと楽しくプレイできています。僕もみんなから頼りにされている存在だとうれしいです。

――チームに新たに加入した「ふーみん選手」「ぐふぃ男選手」「くん選手」はどんなプレイヤーなんでしょうか?

ななちむ:
知り合って日が浅いので、はっきりとどんなプレイヤーなのかは言えないですね。ただ、加入試験の1つとして僕と一緒に荒野行動をプレイしたんですが、強いプレイヤーだということは言えます。

かなりの戦力強化になったので、大会に一緒に出るのがとても楽しみです!

――ライバル視しているチームはいますか?

ななちむ:
最近注目しているのは「AVALON」というチームです。実力は折り紙つきのメンバーばかりなので、今後の大会では間違いなく上位争いに加わってくると思います。

ななちむの母はeスポーツの未来は明るいと語る

――ななちむ選手のお母様は、あまりゲームにいいイメージをお持ちではなかったとお聞きしました。

ななちむ母:
そうですね。ゲームは「遊び」以外の何物でもないと考えていました。息子には勉強とスポーツをがんばってほしかったんです。そんなときに「クラロワというゲームをやりこみたい」と強い意思を示されたので、正直悩みました。

ゲームにハマって勉強時間が少なくなり、通学中もゲームをしているので、家に帰ってもすぐに寝てしまうんです。本当に悩みの種でした。

――当時は「eスポーツ」という言葉はご存知でしたか?

ななちむ母:
私は海外によく行くので、eスポーツが海外で盛り上がっていることを知っていました。しかし、同時に日本はまだまだ盛り上がっていないということも知ってたんです。

ですので、息子がeスポーツの世界に行くのは早いのでは? と考えてました。

――今はななちむ選手のことを応援されているようですが、何がきっかけで考えが変わったんでしょうか?

ななちむ母:
日本でもeスポーツが発展すると聞いて、影響力を与えることができるプレイヤーになれるのならすごいことだと思い、考え方を180度変えました。と言いますか、息子がゲームにしか興味を示さないので、考え方を変えるしかないというのも本音でしたね(笑)。

そこで息子に「ゲームは本気なの? 遊びなの?」と聞いたんですが、そのときは「まだわからない。本気だと思っているけど」と答えてくれました。今でこそ大会は多く開催されていますが、当時はほとんどなかったので、未知の世界でした。

――考え方を変えてから、何か変化はありましたか?

ななちむ母:
ゲームと勉強の両立をさせてほしいと、私が高校にお願いをしたんです。でも、「うちの高校でゲームなんて」と突っぱねられたので、学校に通う必要がなく、個性を活かせる高校に転校させようと決めました。

息子に事情を説明して、「もう学校に通わなくてもいいよ、精いっぱいチャレンジしてみて」と伝えたんですが、そのとき見せてくれた安堵の表情は今でも忘れられません。

――eスポーツによって人生が大きく変化したんですね。

ななちむ母:
そうですね。親が敷いたレールにだけ従うのが人生ではないと思っています。若いうちにしか取り組めないことがあると思いますし、最後までやり遂げて、納得してからだったら別の仕事にシフトしたとしても問題なくやっていけるとも思ってます。

――現在のeスポーツへの印象はいかがでしょうか?

ななちむ母:
大会の数や会場の設備など、まだまだ足りていない部分はあると思いますが、多くの企業がeスポーツに関わりたいと考えているのも事実なので、今後のeスポーツの未来は明るいのではないでしょうか。


ななちむ選手は、学校とのゲームに対する考え方の違いで悩んでいた。しかし、今こうして荒野王者としてのななちむ選手が生まれていることは、ななちむ選手はもちろん、家族にとっても、eスポーツにとっても喜ばしいことだ。

後編では、ななちむ選手の素顔や、複数のタイトルで結果を残す彼のプレイスタイルをお届けする。

写真・大塚まり

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記者プロフィール
キズグチアロエ
「#コンパス」にどっぷりハマり、「#コンパス」に人生を捧げると決めた、傷口だらけのアロエ。
「#コンパス」に携わるクリエイターたちと、仲良くなりたいフリーライター。
どんなヒーローでもそこそこ扱え、特定のヒーローというよりもヒーロー全員が好き。

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