DOAがやりたくて東京へ――輝Rock選手&シオロジカ選手の自分に正直な人生

Mako(WPJ編集部)

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2019年3月に発売された3D格闘ゲーム「デッド オア アライブ」シリーズ最新作「デッド オア アライブ6」(以下、DOA6)にて、賞金総額1,000万円をかけたワールドツアー大会「DEAD OR ALIVE 6 World Championship」(以下、DOA6WC)が開催中だ。

北米、欧州、アジアの世界各地で予選が行われ、日本で開催が予定されているグランドファイナルへ進出するためしのぎを削っている。

そんなDOA6のプレイヤーから、今回は完全食でおなじみのコンプがサポートする輝Rock選手、シオロジカ選手の2人にインタビューを実施。

DOAシリーズとの出会いから、ゲームで人生を壊しかけた話など、驚きに満ちたエピソードをお届けする。

ゲーセンとXboxがDOAへの入り口

――まずはDOAシリーズを始めたきっかけから教えてください。

輝Rock:
私は1999年に出たDOA2のアーケードからやり始めました。一時やれなかった時期もあるんですけど、それからずっと基本的には新作が出たらプレイしています。

始めたきっかけは、その当時って「バーチャファイター」の3とかが流行ってた時期なんですけど、バーチャって難しいって印象で、俺には関係ないゲームだなって思ってたんですよ。

それで、DOA2っていうのがあるらしいと聞き、近くの24時間営業のゲーセンにあるからやりにいこうって兄貴と一緒に車で行って2人で対戦したのがきっかけです。2人とも初プレイだったんですけど、夜中から朝までずっと対戦し続けて、「このゲーム面白いじゃん」って思ったのを覚えてます。

――ゲームセンターにはよく行ってたんですね。

輝Rock:
そうですね。ゲーセンにはよく行ってて、「ザ・キング・オブ・ファイターズ」とか「ギルティギア」とか、格ゲーはいろいろ触っていました。

DOAも最初は難しいっていうイメージだったんですけど、やってみたら意外とできるもんなんだなと。システムがわかりやすくて、「意外とやれるじゃん」って感じたのも理由でずっと続けてます。

――シオロジカ選手はどういうきっかけで?

シオロジカ:
自分はDOA3からなので、2002年くらいの頃ですね。

子供の頃は結構ひねくれてて他の人と同じことをしたくない性格だったので、周りの友だちはPlayStation 2を買ってたのに自分だけXboxを買ったんですよ。

――それはちょっとひねくれるかも……。

シオロジカ:
しかも、あれって発売してちょっとしてから1万円くらい値下げしたんですけど、その前に誰も持ってないようなときに俺だけやってやるって思って買って(笑)。で、いろいろソフトを漁った中にDOA3があったんですね。

ただ、DOA3はそこまでやり込んでなくて、他のゲームもやりつつ普通に遊ぶって感じだったんですけど、その後にDOA2にオンライン機能が追加された「DEAD OR ALIVE ULTIMATE」(※)が発売されたんですよ。

いざネット対戦をやってたら、めちゃくちゃ強い人が多かったんです。友だちとやってたときは普通に強い方だったんですけど、ネットにつないだら自分はめっちゃ弱かったんだっていうのがわかったんですね。それで、勝ちたいなって思ってやり続けて、今に至るっていう感じですかね。

それまで大体のゲームで他の人より上手かったんですけど、唯一DOA2がめちゃくちゃ下手で勝てなかった。それが許せなかったんです。

※DEAD OR ALIVE ULTIMATE:DOA2に通信対戦の追加などが施されたリメイク作。セガサターン版DOAの移植版も同梱

DOAが性に合ってた輝Rockとコンボのしやすさからハマったシオロジカ

――さまざまな格ゲーがある中で、なぜDOAシリーズにハマったのか、シリーズの特徴ってどういうところにあるんでしょうか?

輝Rock:
ホールドがあるおかげで、自分が何もできない時間がほぼないんです。ずっと動けるというか、攻めてるときも守っているときも考えないといけないし、見てないといけない。

自分なりになんでそこが気に入ったのかというと、DOA以前にも2Dの格ゲーは長くやっていたんですけど、パナす(※)のがすごい好きなんですよ。なんかちょっと隙間空いたら昇竜拳バーンって打つ、みたいなこと好きで、相手が何かしようとしたのに対応できた瞬間がすごい楽しいんです。

DOAってそういった瞬間がすごくいっぱいあるんですよ。防御してる側も、今は何もできないから見てるしかない、ということがない。そこが自分に合ってたんだと思います。

※パナす:「パナシ」の動詞系で「ぶっ放す」の略。強引に技を出すこと。「ぶっぱ」とも言う

シオロジカ:
俺は格ゲー自体がDOA3がほぼ初だったんですけど、コンボが簡単だったんですね。2D格ゲーだとタイミングよく押してつなげるって感じなんですけど、DOAでは「よろけ」というでかい技を当てた後に確認する時間があるんですよ。そのおかげでコンボをつなぐのがめちゃくちゃ簡単だなって思って、それが入り口でハマっていきました。俺でもできるじゃんって。

で、その後もやり込んでいくと、今度はホールドっていう当て身技があるんですけど、それが出来るようになってくると気持ちよくなってくるんですよ。

そして、「コンボ簡単だな」から入って、「当て身気持ちいいな」になって、さらにやり込んでいくともう1つのシステムの投げがあります。相手の技をガードした後に確定で投げが入るときがあるんですけど、初心者や中級者だとそれがわからないんですね。でもこっちは確定ってわかってるから、何もさせずに投げが決まる。

相手が出来ないことを自分は出来るんだっていう優越感が感じられるのが気持ちよくて、ずっとDOAをやってるところはあります。

DOAのために上京!?

――大会に参加しだしたときのことは覚えていますか?

輝Rock:
事細かに覚えてます。

地元が三重県なんですけど、近くで開催された全国大会の予選に兄に車で連れてってもらいました。たしか京都のゲーセンだったんですけど、1回戦目でもう緊張しまくりですよ。

ここまではやろうって決めたことがあってやってみたんですけど、

見事に対応されてしまって、そこからはもう何をしたらいいかわからなくて「あー無理だーー!」って感じでしたね。結局、1回戦で負けてしまいました。

その大会のあとは、後悔というか悔しさがすごくて、何がダメだったんだろうって帰りの車の中で考えてて。それがずっと自分の中に残っていて、今では大会に参加しだして緊張してるんですって人を見るとちょっとうれしくなりますね。「うんうん、そうだよねー。」みたいな感じで(笑)。

――シオロジカ選手は最初はオンライン対戦がメインだったとのことですが、オフラインの大会に出たときは環境の違いなどに苦労したのではないですか?

シオロジカ:
大会でいうと、DOA5のオンライン大会が最初に参加した大会なんですけど、そこで優勝して、「あ、俺やれるじゃん」って思って、そこから公式のオフライン大会に参加しました。

ところが、何回か連続して出場したんですけど、いいところまでいったけど結局負けちゃったんです。

なんで勝てないんだろうと思って、「心が強くなる」みたいな心理的な本とか読んでたんですけど、やっぱりオンラインとオフラインの環境が違うからダメなのかなと思い立って、福岡から上京しました。

――ゲームのために東京に出てきたんですか?

シオロジカ:
そうですね。めちゃくちゃ悔しかったんですよね。お金もなかったんで、とりあえず1年間大会に出るのをやめるって決めて貯金しました。

上京してからは、自宅にゲーム環境を作って輝さんとかに来てもらって対戦して……。それから大会に出てみたらめっちゃ勝てたんですよね。

部屋で1人でやってるのではなく、実際に会って一緒にプレイすることに慣れて、あんまり緊張しなくなったのかなと思います。

――大会に出ていない間は周りのプレイヤーの動向は気になったりしませんでしたか?

シオロジカ:
気になりますよ。輝さんが優勝したりしてるんですもん。俺も出たかったとか思いながらも、上京を第一に考えて貯金してました。

輝Rock:
その状況は私も知ってて、ゲームのためにそこまでできるのってすごいなって思ってました。

実は私もDOAがやりたくて関東に来たんですよ。知り合いのDOAプレイヤーがみんな関東にいるから、とりあえず関東に行きたいなと思って、うまいこといって今は横浜にいるんですけど、それと同じことをやろうとしてるんだなと思うと面白くて。

――DOAプレイヤーは関東に多いんですか?

輝Rock:
やはり東京とか大阪みたいな都心に多いですね。DOA6になってからはちょっと詳しいところは把握できてないですけど。


DOAで住む場所も決めてしまうほどのプレイヤーだった2人。今は数多くの大会でトップレベルの成績を残すほどに界隈の中心プレイヤーへと飛躍と遂げている。

後編の話題は、そんな彼らに聞いた過去忘れられない1戦や輝Rock選手の自衛隊に入隊した過去などをお届けする。

写真・大塚まり

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「DEAD OR ALIVE 6 World Championship」に参戦中の輝Rock選手、シオロジカ選手へのインタビューをお届け。前編はDOAにハマったきっかけや大会参戦の経緯を語ってくれた。

記者プロフィール
Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

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