「ザクレイは感覚派」と言われるけどスマブラのことはすごく考える

Mako(WPJ編集部)

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■前編記事

スマブラ最強の高校生ザクレイ 初海外遠征を終えて

感覚よりも理論派なザクレイ

――とあるスマブラプレイヤーから「ザクレイ選手は1人だけ2年後の動きをしている」という話を聞いたのですが、ご自身ではどう思いますか?

ザクレイ:
他にも強い人がいる中で、一番上のほうに立っているのは事実だと思います。ただ、今のところの結果としてそうなっているだけで、明確に他の人と何が違うかと言われると言葉にはしにくいですね。

――周りと比べて若さが段違い。成長スピードが圧倒的に速いのかもしれないですね。普段の練習はどんな感じで行っているのでしょうか?

ザクレイ:
練習は結構モチベーションを優先するタイプで、まったくスマブラをプレイしない日も正直あります。

例えば、3日間の自由な時間があったとして、モチベーションが50の状態で3日間練習するよりも、1日目と3日目に絞ってモチベーション100の状態でスマブラをやりたい派なんです。

――量より質ということですね。

ザクレイ:
そうですね。

なんだかんだプレイする日がほとんどなんですけど、土日はオフ大会に参加するけど、平日5日間はスマブラしないなんてこともなくはないです。

なので、練習時間だけを切り取ると、多くはないほうですね。

――1人でプレイするときはオンライン対戦がメイン?

ザクレイ:
いや、トレーニングモードのほうが多いですね。やはりオンラインは遅延が気になりますから。

ただ、中にはオンライン対戦も練習において重視している人もいると思いますよ。練習方法については、結局は人ぞれぞれですね。

――ご自身ではスマブラのプレイヤーとしての特徴はどういったところにあるとお考えですか?

ザクレイ:
僕は1戦1戦考えてプレイするタイプなんです。対戦中に何を意識して戦うかを忘れずいるというか。

対戦中の意識配分は一番大きいと思っています。相手の考えていることや相手のキャラの何の行動が強いのかとか、自分が何の技を出すべきなのか、常に考えています。

人から感覚派って言われることがあるんですけど、僕自身はそんなことはないと思っていて、1つ1つのプレイに意図があります。なので、試合を見返したときに、この場面は何故こうしたかをすべて説明できますよ。

――トレーニングモード(トレモ)では具体的にどんなことやるのでしょう?

ザクレイ:
コンボのおさらいや開発をしたり、ミスしやすい行動を再現して、次からちゃんと出せるように体に覚えさせたりとかですね。

スマブラは必要になるキャラクターの知識が多くて、「どのくらいのパーセンテージでこの技を当てたら相手が撃墜するのか」などを把握することは重要ですし、各キャラクターごとに重さも違うので、例えば次の大会で対戦することになるであろうキャラクターを相手に設定して練習することが多いです。
キャラクター数が多いのでしんどいですけど、そこが醍醐味でもありますね。自分のパーセンテージによってもつながるコンボが変わったりもするんですよ。これは細かすぎる情報ですけど。

トレモはやればやるほど発見がありますね。

EVO 2019はDX勢と対峙?

――スマブラWiiUと比べてSPで変わった点などはありますか?

ザクレイ:
変わった点……、実はあんまりないと思ってます。

単純な話で言えば、自分が大会で優勝することが多くなったことですね。

――その位置から見て、今すごいと思うプレイヤーは?

ザクレイ:
一緒に海外に行って日本でも強い、しゅーとん選手とかは本当に強いですね。

他にもクルーバトルで一緒に戦ったプレイヤーたちも強いし、他にも強い人は日本にもいるので、そういった人たちに勝つために大会に出てる感じです。

――海外の大会にも出るようになって、まだまだ強いプレイヤーと出会うことになると思うんですけど、そこで活躍できるビジョンはありますか?

ザクレイ:
最近行われた、Smash Ultimate SummitでスマブラDXをずっと主戦場にしてきたプレイヤーと対戦してきましたけど、彼らはスマブラDXという違う舞台にはいたものの、同じスマブラを長年続けているからかなり上手だったんです。

今年のEVOではDXがメイントーナメントのタイトルではなくなったので、DXをやっていたプレイヤーがSPに入ってくると思います。もちろんそのまま引退する人もいるとは思いますが。

そんな中でも、最終目標はもちろん優勝です。

環境が変わっていくこともあると思いますが、このまま強くなっていけば可能性はあると思いますね。

――環境というのは、ゲーム内でのバランス調整とかのこと?

ザクレイ:
そうですね。スマブラ内でもそうですし、プレイヤー間でのこともそうです。自分が苦手としているキャラクターを使う人が増える、みたいなことが考えられます。

アップデートによるキャラクターの変化とそれによるプレイヤーの変化などで、自分の強さが変わらなくても、トーナメントの勝ち抜きやすさは変わってくるので、その環境に対応していかなきゃいけない。

――その対応をするというのは具体的にはどういうことなのでしょうか?

ザクレイ:
今作は70種類以上のキャラクターがいて、1キャラごとの対策を詰めなきゃいけない。でも、それだけキャラクター数が多いと、どうしても苦手なキャラクターがいくつか出てきてしまうので、自分も2~3キャラクターを使って対策します。

前作でもそうしていましたので。

――最近はアイテムありの大会もありますよね。アイテムは一発逆転できる要素でもあると思うのですが、それでも大会上位には有名な実力者が入りますよね。

ザクレイ:
そうですね。アイテムが得意という人はいると思いますけど、アイテムなしが強くてアイテムありが弱いという人はいないと思います。

アイテムなしでの強さに加えて、アイテムの知識や使い方が上手い人が勝ち残るんでしょうね。

――ずっとアイテムなしの試合を観てきたので、アイテムありは新鮮で観ていて面白いです。

ザクレイ:
そうですよね。

番狂わせが起こりやすいから、観ている方としては面白いですよね。誰も想定していないことが起こり得るのは面白い。

僕も普段はアイテムありで遊んだりしますよ。

――そういえば、キャラクター調整が入る際に、調整表が公開されたのは今作からですね。

ザクレイ:
明確に調整内容がわかるのはメリットですね。

変更された内容を探す面白さが実はあったのですが、公式に内容が発表されるのは安心感があります。

――他に改めてスマブラの面白いと言えるところってどこですか?

ザクレイ:
他の格ゲーもやったことがあって、それも面白かったのですが、僕が一番面白いと思って続けていて、毎回毎回面白いと思えますね。

スマブラは入りやすいふりして、だいぶ敷居が高いゲームだと思っているので。始めたあとが本当に大変なゲームですね。

他のゲームに比べて情報が多すぎますね。

将来のプレイヤー像は白紙状態!?

――ここ数ヵ月はGameWithの所属として活動しましたが、それ以前と比べて心境の変化は?

ザクレイ:
あんまり変化はなかったですね。

所属するからには勝たなきゃいけないとか、まったく考えなかったわけではないですけど、それって所属していなくても同じことで、負けたら悔しいことには変わらない。

もともと負けず嫌いなので。

何を理由にして何を背負って戦うにしても、最終的に目指すのは勝つことなので、そこを考えすぎても意味はないかなと。

――将来、プレイヤーとしてこうなっていきたいというビジョンは?

ザクレイ:
まだはっきりと考えていることはないですね。

もちろん一番強くなるというのは、常に目指している目標ではあるのですが、それってプレイヤーみんなが共通して持っている目標でしょうし。なので、まずは今年のEVOで優勝することを目指します。


実は、高校生プレイヤーへインタビューすることは筆者にとって初めての経験だったのだが、彼もまた他のプロゲーマーと変わらず、ゲームに対して真摯に取り組んでいる1人のゲーマーだった。

とはいえ、この4月で高校3年生になる高校生の1人であることも事実。

全国の高校3年生が受験勉強に焦りを感じる頃、ザクレイ選手はEVOで表彰台に立っているかもしれない。

写真・大塚まり

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記者プロフィール
Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

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