選手の背景を語り1本のストーリーを作るCoD実況者k4sen

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■前編記事
視聴者との壁がないk4senの配信
――k4senさんがYouTubeで活動しようと思ったきっかけを教えてください。
k4sen:
最初はCoDのモンタージュ動画を作りたかったんです! そのためにキャプチャーボードを買ったので、ついでに実況もやってみた感じですね。
YouTubeには基本的に、僕が面白いと思った自分の配信を切り抜いた動画を投稿しているので、本当に面白いと思ったものだけを出すようにしてます。数字を稼ぐために流行っているゲームを投稿することはあまりないです。
――つまり、配信後に自分の配信を見返しているということですか?
k4sen:
倍速とかにして見てますね。ただ、僕が面白いと思ってるときは基本的に大声を出しているので、音量の大きさを見ればどこが面白い部分なのかはすぐにわかります(笑)。
――確か、実況者の岸大河さんの顔モデルを使って、k4senさんがVtuberのように喋っていましたよね。
k4sen:
あれは岸さんからもらった顔写真をバラバラにして、顔に連動するようにしてます(笑)。
もともと岸さんに贈り物をする機会があって、そのときに顔面がめちゃくちゃになった岸さんのモデルをあげたら、これネタにしていいよって言われたので、本当にしちゃいました(笑)。
――そんな背景があったんですね。実況シリーズでは、あまり最後までプレイしない作品が多いイメージがあるのですが、これはなぜでしょうか?
k4sen:
ゲーム自体が長すぎるとか、投稿に間隔が空いてしまったとか……飽きちゃうとかですね(笑)。
動画投稿をやめてしまった作品は多いですが、あまり数字が取れていないと労力に見合わなくてやめちゃうこともあります。
――最後まで実況したゲームはあると思うのですが、その中でおすすめの動画はどれですか?
k4sen:
「Undertale」です、このゲームはまじで遊んだほうがいいです。これまで僕がプレイしてきた中でもトップレベルの面白さですよ。
――チェックしてみます! k4senさんは動画投稿よりも生配信を多くされてるイメージがありますが、生配信で心がけていることはありますか?
k4sen:
いろんなことをやりますが、僕の配信の特徴は、視聴者と僕との壁があまりないことだと思ってます。普通、ボケるのは配信主じゃないですか。でも、僕のところは視聴者が勝手にボケていくんです(笑)。
面白いことを言うためにスーパーチャットで投げ銭をする視聴者さんもいて、かなり友だちに近いような感覚で配信してますね。
――実況をしていて配信もよくしているとなると、喉へのダメージが心配です。何か対策はしていますか?
k4sen:
東京ゲームショウ2018で、共演者に喉に良い漢方薬をいただきました(笑)。
しばらくはそれを飲んでいたんですが、最近喉がおかしくなってきて……。いくらしゃべっても疲れなくなってます。これはこれで、ちょっと怖いんですよね。
初期の頃はイベント終了後は疲れてダウンしていたんですけど、最近ではもう1回実況できるぐらい喉が限界突破しました(笑)。
無理なく良い声が出せるようになったのかもしれませんね。
――すごいですね。k4senさんは実況解説だけでなく、選手により迫れる副音声をやってみたいとお聞きしました。今でもその思いは変わらずですか?
k4sen:
やってみたいですね。実況者という中立の立場だと、すごいプレイが出てもあまり感情を出してコメントができない面があります。ですので、裏で「この選手、マジで強いな」とかを言いたいです(笑)。
副音声、やりたいなあ。
eスポーツは勝つことが大事
――以前、「eスポーツは勝ち負けではなくストリーマーとしてやっていけるかどうか」という意見に対しての気持ちを、k4senさんはTwitterで発信されていたと思います。k4senさんにとって、eスポーツとは何ですか?
k4sen:
すぐ消したのによく見てましたね(笑)。
そうですね、セカンドキャリアとか、勝つだけじゃだめとか、配信して人を集めて有名にならないといけないって言ってるのを見るのが嫌いなんですよね。
eスポーツって、勝つことが大事だと思うんですよ。勝利至上主義。なのに、何かのタイトルで勝ってもいない誰だか知らない腕組みをしている人が、勝つだけじゃだめとか言ってるのを見ると納得がいかないんです。
確かにセカンドキャリアは考えるべきことではありますが、そういう内容が発信されたものを選手が見たらどう思うのかを考えてほしいです。チャンピオンや、ちゃんと勝って実績を残している選手が言ってるならかっこいいと思いますけどね。
――k4senさんに「eスポーツキャスターになりたいです。どうすればいいですか?」と相談が来たら、なんて答えますか?
k4sen:
やめておいたほうがいいんじゃ……。冗談です(笑)。
そのときは逆にこちらから質問をしますね。例えば、何のゲームが好きなのか、どれぐらい上手いのか、大会には出るのか、そもそもなんでキャスターになりたいのかなどです。
僕はゲームの大会っていうのは、そのコミュニティーの人が関わるべきだと思ってます。目線がコミュニティーと同じであるべきという意味です。
アナウンサーはしゃべりはもちろん上手いと思いますが、それでは良いものにはならないと思います。ゲームコミュニティー出身の人が、そのゲーム大会の実況解説をするからこそ、素晴らしい大会になると僕は考えてます。
この意見には岸さんや、OooDaさんにも賛同していただけてますね。
――岸大河さんとOooDaさんは、k4senさんから見てどんな実況者なのでしょうか?
k4sen:
プロですね。話の振り方とか、間のつなぎ方が上手いだとか、カメラの映り方を意識して体の向きを変えるだとか、すごく意識されて実践されてます。
中でも一番すごいと感じたのが、準備にとても時間を使っているところですね。あるゲームの実況を担当するとなれば、何十時間と調べて前準備をしているんですよ。本当にすごいと思いますね。
岸さんは、僕がMCのやり方を学んだ人でもあるので特にすごい人だと思ってます。
――k4senさん自身はどんな実況者で、どんな持ち味があると考えていますか?
k4sen:
1試合で1本の物語を実況で作り出すことを意識しているので、できるだけ選手のバックストーリーを交えながら、CoDを知っている人ならわかる話をよくしています。なので、ただ実況するだけではなくて、いろんな話を実況できるのが持ち味ですね。
――過去に、実況と解説を分ける意味について語られてたと思います。今のk4senさんの実況と解説の理想の在り方を教えてください。
k4sen:
昔は実況と解説を分ける意味はないと考えていましたが、今はもう分けたほうがいいのかなって思ってます。ちょっと考えてみたんですよ、もう1人自分みたいなのが実況解説席にいたらうるさいなと(笑)。
ただ、僕はもう少しテンションの高い解説者が増えてほしいとは思ってます。
――最後に、k4senさんのファンにひと言お願いします!
k4sen:
今は会社をメインに活動していますが、これからも自分の好きな実況だったり、配信だったりにトライしていくので、ぜひ応援してください!
取材中に何度も笑顔を見せて場を和ませてくれたk4senさんだったが、eスポーツのあり方について話すときの瞳は真剣そのもの。
そんなk4senさんが実況者としても配信者としても人気を博しているのは、ゲームを愛し、選手やeスポーツも愛している姿が見る者を魅了しているからではないだろうか。今後も、eスポーツシーンで活躍するk4senさんから目が離せない。
写真・大塚まり
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