だいこく噺 第五回「TGS2018噺」

だいこく
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「ストリートファイターV」トッププレイヤー兼プロゲーマーのだいこくが綴るコラム「だいこく噺」。第五回は、2018年9月22日(土)-23日(日)に「東京ゲームショウ2018」で開催された、「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア」(※)に参戦したときの様子を語ってくれた。久々の国内の大会だが、これまで以上に数多の猛者たちが立ちはだかる。果たして、結果は……!?

※CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア:世界各地で繰り広げられている「CAPCOM Pro Tour 2018」において、日本で唯一開催されるプレミアイベント。CAPCOM Pro Tourでは、地域ランキング大会やグローバルプレミア大会勝負結果により、プレイヤーはグローバルランキングポイントを獲得できる。年末にポイント順位のトッププレイヤーや地域決勝大会の優勝者は、CAPCOM CUP 2018の出場枠を確保可能。今回のジャパンプレミアでは、全世界から700人以上が参加した。なお、賞金総額は1,000万円。

【BACK NUMBER】
第一回「働くという事」
第二回「フランス遠征」
第三回「EVO噺」
第四回「台湾噺」

Round1:久々の国内大会に若干の緊張感

「東京ゲームショウ2018」で開催された「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア」に参加しました。正直、これまでの大会の中で1番自信がありませんが、ポイント争奪戦から撤退した身としては「緩くがんばろう!」という心もちで臨みました。

大会は日本のプレミア大会だけあり、すさまじいレベルの猛者たちが集結。日程的には、8月25日・26日に開催された香港の「E-Sports Festival Hong Kong 2018」以来の大会ですので、そこまで時間は経っていませんが、気持ちとしては久しぶりの印象でした。「あーこの感じだなぁ。大会“来たな!」と思いながら楽しくプレイしていました。

不思議なもので、もっている知識などを差し引いても、海外遠征していたときよりも明らかに自身の動きが良かったです。ただ、自分の心の弱さにはうんざりしました(笑)。

Round1はPOOL B16からスタート。初戦から豪鬼のランクマッチ1位のなおーん選手との対戦でしたが、2-1でなんとか勝利。

POOL B16 Winners Round1 だいこく vs なおーん
続く2回戦は、ランクマッチのグランドマスターのいぶき使いshiratama55選手。いぶきvsバーディー、この組み合わせは異常なほどの試合量を重ねてきたので「大丈夫だろう」と思い臨み、結果的にしっかりと動きにも表れ、無事に勝利しました。

POOL B16のWinners Finalでは、スト4の強豪プレイヤーであり、現・強豪キャミィ使いの様式美選手。さすがに厳しい戦いになるだろうと身構えていたのですが、やるだけやってみようという心境で挑みました。多少緊張もしましたが、この試合でもこれまで積み上げてきた要素が出し切れて、勝利することができました。

無事、Round1を通過。

POOL B16トーナメント表(Winners Round)。制したのはだいこく選手。
詳細はsmash.gg「CPT JP Round 1」POOL B16で閲覧可能。

 

Round2:強豪がつづくも上手く立ち回る

大会の合間には、久しぶりに会ったほかのプレイヤーたちとも話せて、とにかく楽しかったですね! 「今こんなことをやっているぜ!」「これからこんなことをするぞ!」など、夢のある話も聞けたし、俺の話も皆に共有できたし、なんだか懐かしい気持ちになりました。ここ最近は海外の大会が中心だったため、日本の大会はプチ同窓会みたいで毎回良いですね。

そんな感じで緩く過ごしているなか、いよいよRound2が開始。俺はPOOL C11に入りました。初戦は、アメリカのプロゲーマーであるPR-Balrog選手。

rog選手とは、これまでのCAPCOM Pro Tourでもよく会う仲で、初めて行ったカナダ大会からすごく良くしてくれた選手でもあります。なので、まさか日本の大会で対戦することになるとは……まさかの巡り合わせに驚いたものです。

結果は勝利。内容は、終始バーディーの強みを全面に出せた試合展開ができたと思います。これは同じウェルプレイド所属であるヴァナヲさんと、日頃からお世話になっているこくじんさんとの練習のおかげでした。周囲からも「なんでそんな動くの?」と不思議がられました(笑)。

次の試合は、sakoさんやナリ君を倒したバーディー使いのROF選手。これは久しぶりに冷や汗をかきました。というのも、相手の動きはもうリスクとか関係なく、「構わない、壊すぞ!」という立ち回りでフルセットまで持ち込まれたのです。

しかし、なんとか自分自身の感覚を思い出しつつ、丁寧に対応できて辛勝しました。改めてバーディーというキャラクターのやばさを味わいましたね(笑)。

Round2を通過。

POOL B16トーナメント表(Winners Round)。制したのはだいこく選手。
詳細はsmash.gg「CPT JP Round 1」POOL C11で閲覧可能。

 

Round3:ウメハラ選手もいるPOOL D4へ

Round3では、723名→32名まで絞り込まれました。POOLはD1~D4に分かれれており、俺はPOOL D4に入りました。POOL D4には、ウメハラさんをはじめ、引きつづき強豪揃い。

さて、Round3の初戦は、現LP(ランクポイント)世界1位のtrashbox(通称:ごみ箱)君と試合! ごみ箱君とはシーズン1から情報交換をしたり、彼がまだいわゆる初心者の時代から動画投稿を頑張っていたのを知っていたりしていたので、今回のような大規模な大会で戦えるのは、とても嬉しかったです。試合前にも「お互い悔いのないよう頑張ろう」と言い合ってスタートしました。

試合内容は、開幕落ち着いた試合作りができましたが、途中に1カ所で痛恨のミス。相手にそこをしっかりと突かれて、リードを広げられる形で負けてしまいました。彼からは今回の大会に対する意気込みも感じましたし、なにより“自分の実力に自信があるプレイ”が伝わってきて、戦っているこちらまで楽しませてくれました。最近はメキメキと力と自信をつけているので、今後もがんばってほしいですね。

 

さて、これでPOOL D4ではLosersに移動! いつもLosersに移動すると、トントン拍子で終わってしまうので、ここは踏ん張りどころだと思い頑張ろうとしたのですが、まさかの次の相手がウメハラさんか韓国のプロゲーマー・Verloren(ベロレン)選手の2択に。……さすがにやば過ぎるだろうと、思わず笑ってしまいました。

2人の試合は大接戦のなか、Verloren選手に軍配が上がり、俺の次の対戦相手に決まりました。彼はCAPCOM Pro Tourで会うたびに良くしてくれる優しい人。ですが、以前来日したときにボコボコにされたので、厳しい戦いになるだろうと思いながら臨みました。

Verloren選手は、キャミィ使い。試合では、開幕で驚くほど自分が緊張しており、そこで半壊させられましたが、上手く立て直してから五分五分の勝負に。最後は対空のブルホーンで勝利しました。

いざ試合を終えてみると、今年の初めからずっと悩まされ、苦しめられ続けていたキャミィ戦について、上手く切り返せたのが印象的でした。それもこれも、かずのこさんにいろいろ教えていただいたり、自分なりに試行錯誤したりしてやっていたのが、存分に生かせたのが要因のひとつかと思います。なにより、本当にこの組み合わせ(キャミィvsバーディー)は数多くの試合を重ねてきたので。

そして、POOL D4のLosersセミファイル! ここで勝利して、次のファイナルでも勝てればベスト8入り……だったのですが、相手は中国の強豪ユリアン使いのQiuqiu選手。えー、大変申し訳ないのですが、完全に処理されてしまって試合内容もなんもありません。敗北。ネモさんともまた違うような独特な動きの方で、まったく自分の場所で戦わせてくれませんでした。

こうして「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア」は終了。

POOL D4トーナメント表(Winners Round)&(Losers Round)。
詳細はsmash.gg「CPT JP Round 3」POOL D4で閲覧可能。

結果は13位タイでした。

ただ、正直ここまで勝てるとは思ってもいませんでした。というのも、CAPCOM Pro Tourで海外をまわっていたときは精神的にも余裕がなかったし、緊張して手足の震えが止まらなくなるし、試合で負けたことばかり頭に流れるなど、なかなか酷い状態だったのです。

ある意味、そのプレッシャーから解放された今は、とにかく楽しく伸びやかにプレイできていたので、今回の順位はそれらが要因なのかなと思います。そう考えると、このプレッシャーと何年も戦っている第一線で活躍するプロの方々について、改めて本当にすごいことだと思いました。加えて、いつも楽しそうなのがとても羨ましかったですね。

また、自分も楽しみながらがんばっていきたいと思います。

なお、優勝したのはときど選手。2位はふ~ど選手でした。
「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア」決勝戦
【プロフィール】
だいこく:ウェルプレイド所属のプロゲーマー。強気な攻めと大舞台でも萎縮しない強靭なメンタルで戦うプレイヤー。豊富な実戦経験から繰り出される一撃で数々の強豪プレイヤーを沈めている。


名前:だいこく
Twitter:daikoku_GO
Openrec:WP|だいこく
Blog:配信者だいこくのブログ

大会実績(一部抜粋)
2017年 ThaigerUppercut Championship 2017 7位
2017年 Manila Cup 2017 9位
2017年 TWFighter Major 2017 5位
2018年 ストリートファイターV ARCADE EDITION 闘会議GP大会 9位

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Capcom Cupに出場するため、そして優勝するために海外大会を遠征している猛者がいる。その名も「だいこく」。ストリートファイターVにおいてトッププレイヤーであり、強気な攻めと大舞台でも萎縮しない強いメンタルで強豪プレイヤーたちと日々戦っている。
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記者プロフィール
だいこく
ウェルプレイド所属のプロゲーマー。強気な攻めと大舞台でも萎縮しない強靭なメンタルで戦うプレイヤー。豊富な実戦経験から繰り出される一撃で数々の強豪プレイヤーを沈めている。

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