だいこく噺 第七回「プロ格闘ゲーマーが挑むデジタルTCGの世界」

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「ストリートファイターV」トッププレイヤー兼プロゲーマーのだいこくが綴るコラム「だいこく噺」。第七回は、意外な得意分野、カードゲームの楽しみ方・上達方法について語ってくれた。「ドラゴンクエストライバルズ」を中心に、デジタルカードゲームの魅力を様々な側面から言及。
【BACK NUMBER】
・第一回「働くという事」
・第二回「フランス遠征」
・第三回「EVO噺」
・第四回「台湾噺」
・第五回「TGS2018噺」
・第六回「配信者として」
「実はカードゲーム歴:16~18年くらい」
みなさんこんにちは、だいこくです。
今回はいつもと趣向を変えて「ドラゴンクエストライバルズ」(以下、DQR)についてお話できればと思います。

実は配信でもよく取り上げるほどのDQRプレイヤー(配信先)
DQRを始めたきっかけは、単純にドラクエが好きだったから。そしてもう1つ、実は俺は格闘ゲームよりカードゲーム歴の方が長かったりするので、実際にすごく自然に入れました。(カードゲーム歴:16~18年くらい)
そのため、カードゲーム初心者よりかは、少しだけ基礎的な知識が備わっている分、デジタルカードゲームの勝率もそこそこ高かったりします。
カードゲームは、格闘ゲーム同様に知識と記憶が本当に大事なゲームなので、良い頭の体操になって楽しいですね。加えて、運の要素も含め、自分より強い人に勝つこともままあるのも魅力的な要素の1つです。
アナログのカードゲームは、「遊戯王」「デュエルマスターズ」「デジモン」「シャーマンキング」「ポケモン」「金色のガッシュベル」「ヴァイスシュヴァルツ」、デジタルは「ハースストーン」と「シャドウバース」などをプレイしてきました。
ここも格闘ゲーム同様ですが、すべてのゲーム環境トップのデッキを使っていました。というのも、カードゲームは格闘ゲームのように自身の操作でキャラクターの強さが変動しない分、やはり強いデッキに偏りがち。DQRでも自分のなかで強いと思えるデッキを使用しています。
さて、こんな偉そうに言っておいてなんですが、正直カードゲームの腕前はまだまだです。同じウェルプレイド所属のTAKEcake選手(※)のほうが遥かに上手いと思います(笑)。
※TAKEcake:DQライバルズの公式全国大会「勇者杯2018春」優勝者。DQライバルズの公式生放送にも出演している。ウェルプレイド所属。過去に弊媒体でも独占インタビューを実施しているため、要チェック。
class="p-emBox"> ただ、実力云々よりも、楽しみ方や(ある程度)上手くなる方法は伝えられると思いますので、今回はそこにフォーカスしていきます。
だいこく流、デジタルTCGの楽しみ方
先ほども話しましたが、“カードゲームは強いデッキを使う”のですが、その理由は当然勝率が高くなるからです。実際に勝率が低ければ、モチベーションも下がる人も多いと思います。そのため、最初はルールやカード性能を覚えるためにも、上手い人が使用しているデッキをそのまま真似することが大事です。
それで進めていくと「このカードはこのために入っているんだな」「このカード2枚入ってるけど手札で使えないことが多いな」と気付くことがたくさん出てくると思います。そうなったら、腕前が上達している証です! そこから、今度はすぐに自分が考えるデッキに作り替えてみましょう。
というのも、カードゲームの醍醐味の1つに、自分のデッキで勝つよろこびがあります。こればかりは、なんとも言葉に変えられないうれしさがあります。自分自身も先日の「勇者杯2018秋」では、自分で作ったトルネコデッキのみで16勝5敗で1次予選を通ったのですが、もう本当にむちゃくちゃうれしかったです。
そしてかねてからの目標であった二次予選進出の目標も叶えることができました…!!
素直に嬉しいぞ?
二次予選どこまで進めるかわからないがマジで頑張るぞ!!! pic.twitter.com/ZUOsLhPY7Y
— WP│DaikokuGO(だいこく) (@daikokuGO) October 8, 2018
おそらく最初のうちは、思ったとおり勝てないと、元のデッキに戻したくなると思います。ですが、場面ごとに役割が変化していくカードの特性、デッキのバランス、対キャラクターとの相性など、勝てないからといってそのデッキが悪いかは一朝一夕で判断するのは難しいです。
たとえば、下記は自身が作ったデッキのひとつです。

1次予選を突破しただいこく選手のデッキ
ポイントとしては、有利なテリーとククールに対して絶対勝ちたいデッキなので「封印の杖」「変化の杖」「サイレス」を採用。アグロ(攻撃的デッキ)にもしっかり勝ちたいので痛み分けで2枚積みです(ここは賛否あるが2枚積んで損はないと思います)。
「カミュ」に対してもよく意見を言われるが、現環境のククールに対してに刺さるのと、アグロアリーナとテリーに対して決め手になります。そして、このデッキにはドローソース(デッキからカードを引く能力を持つカード)がありませんが、正直序盤中盤の盤面勝負で負けていてドロー勝負になった場合の想定をするより、“勝てる時に絶対勝つ”デッキ構成にしたかったのでこうなりました。
これからカードゲームで遊ぶ方や、または始めたばかりの方は、ぜひともこの“自分のデッキで勝つ”よろこびを味わってほしいと思っています。だからこそ、最終的に自分でデッキを組むことを意識してほしいですね。
プロ格闘ゲーマーが歩んだ、デジタルTCGの上達方法
上手くなる方法については、俺なんかが語って良いものなのかわかりませんが、聞き流す程度でお願いします。
自分は、環境でとても強いデッキたちのカードプールを覚えます。
軽く自分でも回してみて、どういう立ち回りが理想で、なにをされたら厳しいのか、そしてどのキャラに有効か無効なのかを調べます。
もしも自分で回せない場合は、リプレイやYouTubeで上手い人のプレイを見て学んでいきます。ここは格闘ゲームと同じかもしれませんね。
次に、ひたすらデッキ作りと試合を何度も何度も繰り返します。
これを毎シーズンやっていくと、“どういうデッキが環境で強いのか”という読む力が養われていくので、その場面場面に適したデッキを採用できるので勝ちやすくなります。そのほか、ハンドや場面の管理などもあるのですが、これらは試合を繰り返していけば自然に身に付くと思います。これが自分なりのカードゲームの上達方法です。
間違っていたら恥ずかしいですが、自分はこんなことをずっとやってきて上達しました。「もっと細かい練習方法やデッキレシピの作り方とか言え!」という意見がきたら謝りたい……それは俺が知りたいくらいですよ。専門的なことは、TAKE兄(TAKEcake選手)に任せようと思います!
ここまではカードゲーム全体に共通する話でしたが、ここからは現状のDQRについてもお話します。
今のDQRの環境は、とてもバランスが取れていて良い環境なのではないかと思っています。まだリリースから1年のカードプールで、ここまでバランスを保っていられるのは感心してしまいます。
ですが、今の環境では2枚ほど「ちょっとどうかな…」と思えるカードがあるので、それをなんとかしてくれたらもっと面白くなりそうだなって思います。その2枚は言わずもがな「ブラッドレディ」「オルゴ・デミーラ」ですが、今後のさらなるバランス調整に期待です。
デジタルカードゲーム界隈はとても賑わっています。ハースストーンしかり、シャドウバースしかり。そんななかで、DQRの今後の取り組みについても期待しています。特殊勝利条件「ラーミア」、ほぼ特殊勝利の「しんりゅう」の追加、「アスラ王」は硬派だったイメージが自分の中で変わってしまったので、なんとかなったら良いなと思います。
すごく上から目線で恐縮ですが、ほかのカードゲームの「ナーフ(対象カードの下方修正)」「禁止・制限カード」「殿堂入り」された理由なんかを昔から掘っていくと、環境は壊れにくいと思います
・人のデッキを真似てたくさん試合をしよう
・自分のデッキを作ってみよう
・人の考えを取り入れよう
だいこく:ウェルプレイド所属のプロゲーマー。強気な攻めと大舞台でも萎縮しない強靭なメンタルで戦うプレイヤー。豊富な実戦経験から繰り出される一撃で数々の強豪プレイヤーを沈めている。
名前:だいこく
Twitter:daikoku_GO
Openrec:WP|だいこく
Blog:配信者だいこくのブログ
大会実績(一部抜粋)
2017年 ThaigerUppercut Championship 2017 7位
2017年 Manila Cup 2017 9位
2017年 TWFighter Major 2017 5位
2018年 ストリートファイターV ARCADE EDITION 闘会議GP大会 9位
■成長を続ける男、「ストV」トッププレイヤー“だいこく”に迫る

Capcom Cupに出場するため、そして優勝するために海外大会を遠征している猛者がいる。その名も「だいこく」。ストリートファイターVにおいてトッププレイヤーであり、強気な攻めと大舞台でも萎縮しない強いメンタルで強豪プレイヤーたちと日々戦っている。