レジェンドvs新世代 現役高校生のぷよぷよプロ選手・マッキーの奮闘【後編】

WPJ編集部
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先人たちが編み出したテクニック、そして倒したい相手

――:プロライセンスを取得しながらも、マッキーさんは学業に励む高校生です。練習といっても、けっこう忙しいのではないでしょうか。

マッキー:
忙しいですね(笑)。正直練習ができない日もあります。たとえば、学校から帰ってきて、バイトに出たら、帰宅はなんだかんだで23時ごろになってしまいます。そこから練習を開始しても、1~2時間くらいネット対戦をして終わりですね。その代わり、それぞれの試合にかける意識などはよりいっそう集中して行っています。

また、時間があるときは必ず自身のプレイを見返して、なぜ負けたのか、勝ったのかをゆっくりと分析し、次に活かすためのステップを作っています。地道なことですが、こうすることで操作ミスや点数計算の間違いなど、ケアレスミスをなくすことができるのです。
 
 
――:ただやみくもにネット対戦を繰り返しても上達にはつながりませんよね。

マッキー:
そうですね。毎回、目標や課題を設けて意識しながら臨んでいます。たとえば、あえて相手のフィールドを集中して見ようとしたり、いつも違う連鎖方法に挑戦したりと、単純に遊んでいるようにはしないよう心掛けていますね。なので、目線はいつも固定ではなく、左右上下をチラチラとよく動かしています。
 
 
――:トッププレイヤーの試合では、お互いに連鎖の応酬でおじゃまぷよが何度も相殺されるイメージですが、あくまでもどちらかがミスるという単純明快な話ではなく、「今相手は何連鎖つながっているのか」など瞬時に把握して行動に移すのがカギだと思います。

マッキー:
はい。連鎖数というよりかは、連鎖を発動したあとの点数(スコア)計算を感覚で瞬時に判断している感じです。これほどの点数になれば、自分はこのくらいの連鎖を作る必要がある、というように場面場面で考えながら調整しています。そのため、相手のフィールドをきちんと見る必要があるのです。トッププレイヤーはだいたいこのようにプレイしていますね。

あとは応用テクニックとしては、幽霊連鎖などを狙うこともあります。幽霊連鎖は、仮に4連結しているぷよがあった場合、その1つが13段目、つまり画面外にあると消えないで残っています。これを利用して連鎖をつなげることができるのです。なかなかプレイ中には気付くこともできないので、かなりの応用テクニックとして機能します。

幽霊連鎖を用いた16連鎖全消し(出所:チャンネル「dis1107」より)

――:なるほど、さまざまなテクニックが存在するのですね。

マッキー:
ただ、僕の場合は動画から真似て学ぶことがほとんどです。先人のトッププレイヤーのみなさんは、これらを独学で研究していることが、とにかくすごいですし、尊敬します。
 
 
――:ぷよぷよは長い歴史をもつゲームのため、先人たちが残してきたテクニックは、今の若手プレイヤーにも多大な影響を与えているのですね。そんなマッキーさんですが、目標にされているプレイヤーはいらっしゃいますか。

マッキー:
目標というか、尊敬しているのは、まはーらさんという方です。表舞台の大会などはあまり出ず、ネット対戦を中心にやられています。
 
 
――:どのあたりを尊敬しているのですか。

マッキー:
まず全然勝てないですし、恐らくこれからも彼を超えることができないと思います。まはーらさんはネット対戦にいきなり現れては、人間離れした圧倒的な強さをみせつけていきます。

たとえば、こちらの積み方をみて読んだあとに仕掛ける行動があまりにも早すぎるのです。本当にキーのぷよ(連鎖を発動するぷよ)を置いた瞬間……いや、置く一歩手前くらいには仕掛けてきます。まるで、こちらの手を全部読んでいるようなイメージですよ。
 
 
――:圧倒的ですね。

マッキー:
加えて、まったく手を止めずに、迷わずにポンポン積み上げて連鎖していきます。本当に機械のように精度が高いです。彼が対戦する試合は、1万人以上の視聴者が集まってくるほど、多くのプレイヤーが注目する人物でもありますね。
 
 
――:ということは、印象に残っている試合については。

マッキー:
やはりまはーらさんとの試合です。「第2回おいうリーグぷよぷよクロニクルS級リーグ」のときでした。ダブルスコアくらい差をつけられて、完膚なきまでに負けました。なんでしょうね……まったく勝ち筋がみえませんでした。

決して、こちら側にミスなどの落ち度は無かったので、「彼の強さの源はなんだ」と研究するほどの出来事でした。そんなまはーらさんは、僕と同世代らしいですが……。

makkyu(マッキー) vs まはーら 50先取
結果は25対50と、ダブルスコアもの差を付けられてしまう。

――:マッキーさんと同世代で、そこまでの強豪であると。ぷよぷよは長いシリーズでもありますが、マッキーさん同様に若いプレイヤーも多いのでしょうか。

マッキー:
最近増えてきていると思います。みなさん、純粋に連鎖を楽しんだり、探求心をもって動画で勉強したりと、それぞれの楽しみ方をしていると思います。
 
 
――:マッキーさんはまだ高校生ですが、今後はどのような未来を描いていますか。

マッキー:
ちょっと悩んでいます。ぷよぷよをつづけていくのは当然ですが、進学しても大会などに参加できるようにはしようと思います。学業と両立するのは本当に難しく、かつ忙しいですが、なによりそれ以上に楽しいので充実はしていますね。
 
 
――:ご家族からの印象はいかがでしょうか。

マッキー:
両親も理解を示してくれています。むしろ、「賞金稼いできな!」とかなり前向きに応援してくれています(笑)。とてもありがたいことですね。
 
 
――:最後にマッキーさんの目標を教えてください。

マッキー:
一番はまはーらさんを倒すことです。今ぷよぷよをつづけているのは、それが理由だといっても過言ではないです(笑)。あとは、僕もまだ高校生ですが、現在は僕より若いプレイヤーも出てきている状況です。「ぷよぷよチャンピオンシップ in TGS2018」では、新世代枠として参戦しますが、まだまだ僕も若手プレイヤーとして頑張っていきたいと思います。
 
 
――:“倒すべき相手がいる限り続ける”とのこと。今後のマッキーさんの活躍に期待しています。
 

マッキー、「新世代」選手として
東京ゲームショウ特別大会に参戦

ここからは、マッキー選手も参戦した、東京ゲームショウ2018の最終日(9月23日)、e-Sports XブースのRED STAGEにて開催された「ぷよぷよチャンピオンシップ in TGS2018」の模様も併せて紹介。

本大会には全18名のプロ選手が出場し、優勝賞金100万円の獲得を目指して、熱い闘いが繰り広げられた。また、東京ゲームショウの特別大会ということで、そのプレイヤーの世代をテーマに「レジェンド」選手と「新世代」選手、それぞれで組み合わせ抽選を行い、1回戦で新旧世代が激突する「GENERATION WARS」として対戦カードが展開された。

トーナメント表。マッキー選手は「新世代」として参戦。

本大会では、セガ・インタラクティブが開発を手掛けているゲーム大会実況システム「bi-e-Play」が導入された。同システムでは、選手の心拍数が表示される(画面中央下)ほか、ゲームの流れを左右するようなシーンを自動抽出して瞬時にリプレイを再生する機能が完備。観戦者がわかりやすいような配慮が施され、大会シーンの盛り上げに寄与した。(出所:「ぷよぷよチャンピオンシップ in TGS2018」生中継のスクリーンショットより)

【使用ソフト・ルール】
プレイステーション4版「ぷよぷよテトリス」
VS (「ぷよぷよ」VS「ぷよぷよ」)※ぷよぷよ通ルール
試合形式 シングルエリミネーション方式のトーナメント
2本先取で1セット、2セット先取で勝利
賞金額:優勝100万円、準優勝50万円、3位20万円

0回戦 live VS マッキー

マッキー選手は、0回戦にてEVO 2018のぷよぷよテトリスで優勝を果たしたlive(りべ)選手と対戦。開始と同時に、両者、折り返しを含めた積み方で構成。早々にlive選手が2本先取し、ストレートで1セットを獲得。

一方でマッキー選手も負けておらず、同じくストレートで2本先取し、1セットを取り返す。……と同時に、彼の心拍数も急上昇。そして最終戦では、live選手に軍配が上がり、惜しくもマッキー選手は初戦敗退となった。

「bi-e-Play」のリプレイ機能で、0回戦目最終戦の試合展開の分かれ目が解説された。live選手側(画面左)が短い連鎖で小刻みにおじゃまぷよを送り込んでいた。マッキー選手(画面右)は、そのおじゃまぷよを消しながら大型連鎖を控えていたが、黄色ぷよが上手く決まらず、惜しくも敗れてしまった。ここで黄色が消えていたら、まだチャンスがあったのかもしれない。このように、勝負の分かれ目を試合直後に切り取り、観戦者にも明確に解説していた。(出所:「ぷよぷよチャンピオンシップ in TGS2018」生中継のスクリーンショットより)

マッキー選手より、大会終了後にもコメントをもらった。

マッキー:
今回は、初めて0回戦負けという悔しい結果になりましたが、非常に勉強になりました。全体的に“短期戦の立ち回り”を徹底して決めてきた選手が多く、まんまとそれにやられてしまいました。みなさんスピードが速かったです。

個人的に、自分やほかの選手の心拍数の変化を見るのがすごくみていて楽しかったです。どの場面で、心拍数が上がったり、下がったりしているのか、選手によって全然違うのでつい何度も見返していました(笑)。大会としても、全試合だれが勝ってもおかしくない選手ぞろいで、1人のプレイヤーとしても非常に面白い内容でした。
 


 
東京ゲームショウで行われた特別大会が終わり、次は「ぷよぷよチャンピオンシップ」2018年度10月大会が2018年10月27日に控えている。先述した実況システムの導入や2018年10月25日に発売される「ぷよぷよeスポーツ」などにより、ぷよぷよのesportsシーンはさらなる盛況が予想されるだろう。

そして、若手注目株のマッキー選手は、自身に課した目標を胸に、今後も腕を磨いていく。ぷよぷよシリーズ誕生から27年経った現在、高校生のプロ選手が生まれた。若手プレイヤーの台頭は、老舗パズルゲームの新たな刺激になるはず。マッキー選手の次なる活躍はもちろん、選手たちと歩んでいくぷよぷよのesportsシーンの盛り上がりにも期待したい。

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写真・大塚まり

記者プロフィール
WPJ編集部
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