ぷよぷよ界隈の中心的存在liveに聞くぷよらーの歴史

Mako(WPJ編集部)

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「ぷよぷよチャンピオンシップ」や「いきいき茨城ゆめ国体」など、プレイヤーが活躍する場が増えている「ぷよぷよ」。

プロライセンスを獲得しているプレイヤーも続々と誕生している中、対戦会「上野BPT」を主催するなど、選手以外の活動にも精力的なlive選手へインタビューを実施した。

ぷよぷよコミュニティーの歴史やeスポーツに身を投じる心境など、長きにわたってぷよぷよの対戦文化に触れてきた経験をもとに話してもらった。

歴史あるコミュニティーからプロゲーマーへ

――まずはlive選手がぷよぷよを始めてからコミュニティーに溶け込んでいくまでの流れを教えていただけますか。

live:
僕は北海道出身なんですが、上京してきたのが20歳くらいでちょうど10年前くらい。そこからアーケードゲームの文化に触れるようになったんですね。

もともとアーケードゲームで対戦する文化があったぷよぷよですが、ネット対戦ができるWindows版「ぷよぷよフィーバー」が発売され、アーケードゲームが少し下火になってたんです。コアプレイヤーがどんどん引退していくという状況になっていました。

そんな中、ALFさんというプレイヤーが横浜の「GAME in セブンアイランド」というゲーセンで対戦会のようなイベントを企画して、ネットのプレイヤーが1日で80人くらい集まったんですよ。

それをきっかけにネットプレイヤー同士のオフラインでの交流が盛んになるようになったんですね。その中の1人に僕もいたという形です。momokenとかTomとか、その後に主流になってきたプレイヤーたちもいました。

――下火になりかけたとはいえ、もともとはアーケードゲームで対戦するという文化があったのですね。

live:
元をたどると、コンパイル時代に幕張メッセなどで開催された「全日本ぷよマスターズ」という大会などからプレイヤーに火がついて、そこから受け継がれてきたものです。

その後、ぷよぷよはコンパイルからセガに受け継がれて、新作が出続けていたんですけれど、ずっと名作だと言われていたのが「ぷよぷよ通」(1994年アーケードゲーム版稼働開始)だった。そういうバックボーンがあることをセガもわかってたからこそ、新しいルールは出すんですけど、必ずぷよぷよ通のルールは残しながら新作を出していたという2軸で進んでいた部分がありますね。

ガチ勢はアーケードゲーム版のぷよぷよ通をやり込んでいたけれども、新規参入に多大に貢献していたのは新作という具合にです。

――それでもぷよぷよもオンライン対戦が主流になっていくんですよね?

live:
2016年あたりまではゲームセンターでのオフライン対戦の方がいいよねっていう志向が続いていました。オンライン対戦については、ラグなどで環境的によくないとか仕様が即してないとか、細かいところについてコミュニティーから不満が出てた部分がありました。

ただ、やっぱりだんだんと技術の進歩がありますし、メーカー側もちゃんとわかってくれるようになってきて、ある程度の競技性を保った新作が作られるようになって、コミュニティーがオンラインに移っていく転機になったのが2016年くらいです。そして今に至るという感じですね。

――意外に最近の話なんですね……。そこからはプロライセンスという仕組みもできてlive選手はプロゲーマーとして多方面で活動するようになりました。

live:
eスポーツが盛り上がってきて、ぷよぷよ自体もそれに乗っかってきたことで、お仕事が増えてきたというのが第一にありますよね。

それプラスαで、「誰もやってないからこそやった方がいいのではないか」と、界隈全体をベースに考えてそこに貢献するという立ち位置を取ることは多いです。

コミュニティーのためというほどではないですけど、そういう活動をしている中で、ある程度お仕事をもらえるようになって、賞金も出るようになり、それプラスαでeスポーツ関係に転職したいという気持ちも、もちろんあったんですね。そんなときに雇用契約兼マネジメント契約という形でRED ONEさんが条件を提示してくれまして、今に至ります。

――RED ONE所属になる前は普通に働いていたわけですが、プレイヤーやその他の活動がしやすくなったりはしましたか?

live:
そうですね、会社の理解が得られるようになったので、割と融通が効くようになりました。

出勤時間も本来の普通の企業みたいに9:00~17:00とかではなく夜に寄せたりなど、自分で調整できる感じになりましたし。そういうところでやりやすいと感じることが多いです。

同じ会社の中にゲーマーがたくさんいるので、話が合いますし、結局、僕自身がぷよぷよだけじゃなくて、eスポーツ全般でいろいろな人に関わるのが好きだなと思うところがあるので、そういう面でやっぱり楽しいですよね。

新しい発見が日々あってすごく楽しい環境でやらせてもらっています。

多忙な中でも求められるのは実力

――上野BPTや解説などでのイベント出演も多い印象なのですが、練習の時間はとれていますか?

live:
実際のところ、あんまり時間はとれてないですね。

今の実力は何年も積み重なってできたものなので、そんなに練習をしなくてもこれ以上は落ちないという最低ラインがあるんですね。そこに依存しているというか、頼り切りになっている部分はあります。

ただ、ある程度実力は持ってる方だと思いますし、大会で入賞はできるくらいではある状態ですが、そこからさらに先を目指すというマインドがないと、プロとして魅力が出ないと思ってるんですよ。なので、公式大会で優勝は目指していきたいです。

aMSaさん(※)がコラムで書いていたんですけど、やっぱり実力がないとコミュニティーに認められない部分があるんですよね。ある程度実績を上げておかないと、当然コミュニティーから、「なんだ、こいつ弱いじゃん」みたいな目で見られて、僕がやってることに信憑性、説得力がなくなってしまう。その結果、影響が与えられなくなるというところが辛いなと思っています。でも、そこは弱肉強食の世界ですから、最大限努力するしかないですね。

他のプレイヤーも、プロシーンが1年半以上経ってる中で、マインドが結構変わってきてるなと思うんです。

最初の頃に比べて本気になって取り組む人が増えてきたなというイメージがあって、自分の価値を理解するようになり、プロシーンが自分ごとになってきた人が増えてきたのは本当に感じます。

※aMSa:大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ初のプロゲーマーで、スマブラDXのトッププレイヤー

――ぷよぷよは若い選手も出てきていて、ベテランもいて、年齢層の広さを感じます。

live:
そうですね。格ゲーに並び立つくらい歴史があって、プレイヤーの年齢層も広いというところはぷよぷよの強みなんじゃないかと思います。

ぷよぷよにも打率(データ)が必要

――ぷよぷよにもプレイヤーのタイプがあり、それぞれの相性があるというTweetを拝見しました。

live:
僕は昔から上位層と交流があって、自分も上位層としてやってきたからこそ、プレイヤーの研究とかができると思っていて、こういう風に分けたらわかりやすいよねっていう感じのものですね。

「序盤で仕掛けるやつはアグロでよくない?」みたいな感じで、ちょっとずつ定義化を進めているイメージです。

戦略とか戦術については、現在進行系でまだまだ曖昧に捉えられている部分は多いですね。

――そういう要素を観戦する人が楽しめるようにするためには、どういうことが必要になると思いますか?

live:
うーん、もうちょっとデータ化しないとわかりにくいですよね。

――データ化?

live:
例えば、AさんとBさんの組合せは勝率がこれくらいで、みたいなそれまでの結果がデータとしてあるといいと思います。

ぷよぷよってすごく歴史があるにも関わらず、そういった数字のデータベース化が全然されてないので、そこに一石を投じないといけないんじゃないかと思います。「この人が強い」と数字でわかりやすく感じられるものがないんですよね。

そこをもっと手厚くサポートできるようになると、定着してくれる人も増えるのかなと思ってます。

――確かにどんな競技でも数字や実績を見ることの面白さはありますよね。

live:
野球のように打率が何割という感じで、本線発火率が何割か、みたいな数字があるだけで面白いじゃないですか。

その数字が低ければこの人は潰しが弱点なんだなってわかってくる。数字があることで想像の余地が生まれるんですよね。数字的に不利な人が勝つことによって、番狂わせが起きたんだなっていうのもわかりますし。

最近だと、momokenが作った「ぷよろび(β)」という対戦のマッチングと結果の記録ができるサイトがあるんですけど、20先の勝率や本数ごとの勝率も出ます。そのあたりの数字がわかるだけでも、強い人がわかってくるので楽しめるんじゃないですかね。


eスポーツの隆盛に合わせてぷよぷよを取り巻く環境は変わった。プロゲーマーとしての仕事が生まれ、賞金付き大会が開かれるようになった。

しかし、ぷよぷよがeスポーツタイトルとして発展していくにはまだまだ課題があるというlive選手。後編では、ぷよぷよの立ち位置、プレイヤーについてさらに踏み込んでいく。

写真・大塚まり

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記者プロフィール
Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

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