「ファンに謝るべきではない」――名古屋OJAベビースターマサヤのシャドバプロ思考

キズグチアロエ

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2019年10月20日から実施されていた「Shadowverse」(以下、シャドバ)の「RAGE Shadowverse Pro League 19-20 2nd」(以下、プロリーグ19-20 2nd)は、レギュラーシーズン2位の成績でシーズンファイナルを迎えた「AXIZ」が、1位通過の「横浜F・マリノス」を打ち破り幕を閉じた。

プロリーグ19-20 2ndで戦ったチームの中には、シーズン中盤に5連敗を喫し一時は最下位となるも、シーズン終盤で4連勝を成し遂げ、シーズンファイナル進出をかけてタイブレイクで熱い展開を繰り広げた「名古屋OJAベビースター」が存在する。

本稿では、名古屋OJAベビースターのキャプテンである「マサヤ」選手に聞いたプロリーグの振り返りから、理想のプロ選手像までを紹介する。

一時は最下位になるも怒涛の4連勝でプレイオフ進出に王手を

――最初に、プロリーグ19-20 2ndの振り返りをお願いします。

マサヤ:
個人成績は3勝10敗と、あまりいい結果を残すことができませんでした。プロリーグ19-20 1stから不調が続いているので、少し悔いが残っています。

ただ、プロリーグ19-20 1stのチームランキングは1勝5敗で最下位だったものの、今シーズンは7勝7敗でシーズンファイナルをかけたタイブレイク戦に進出することができました。タイブレイク戦では「レバンガ☆SAPPORO」に敗北してしまいましたが、プロリーグ19-20 1stと比べるとかなりいい結果を残せたと思っています。

――昨シーズンよりも満足のいく結果を残せたのは、何が要因だと分析していますか?

マサヤ:
チームのメイン選手として隼人選手が、ユース選手(※)としてまっつ選手が新たに仲間入りしたことが要因だと考えています。

隼人選手はかなり明るいキャラクターで、新たに加入したことを感じさせないほどメンバーと仲良しです。しかも、個人成績が10勝5敗とローテーションで戦う選手の中で2位の好成績を収めています。

また、まっつ選手がメンバー入りしたことによって、メンバーが4人から5人に増加しました。考えられる戦略の数や知識の量が増えたので、より有意義なミーティングを行えるようになりましたね。

※レギュラーシーズンで計5回までリーグ選手として出場させることが可能なメンバー

――プロリーグ19-20 2ndのシーズン中盤では5連敗を喫し、最下位に転落しました。

マサヤ:
かなりきつかったですね。僕が不調続きということもありますが、昨シーズンから高い勝率を誇っている2Pick(※)担当のさに選手も勝ち悩んでいたこともあり、なかなか勝利することができませんでした。

ですが、シーズン終盤の第11節からさに選手が全勝してくれて、チームも怒涛の4連勝を達成できました。名古屋OJAベビースターはさに選手が勝利した際の勝率がかなり高いので、彼の勝敗がチームの勝敗に直結していることがわかります。

その分、さに選手にはチームからの期待がかかっていますが、いつも応えてくれるので信頼できますね。

※提示される2枚組カードのうちいずれかを選択していき、30枚のデッキを組み上げて戦うフォーマット

――プロリーグ19-20 2ndからは、試合数や使用デッキなどを中心に大きなルール変更がありました。これについてはどう考えていますか?

マサヤ:
視聴者目線で言うと、試合だけでなく作戦を決めている様子も見ることができるので、かなりいいルール変更だったのではないでしょうか。選手目線だと、これまでと戦い方や作戦が大きく変わったので大変でしたね。

第1節ではルールに慣れていないこともあって、ドタバタとしてしまいました。対戦した横浜F・マリノスには3-2で勝利することができましたが、上手く作戦を立てられていなかったので勝てた実感がありませんでした。試合に勝って、勝負に負けたと言ったところです。

ただ、作戦を上手く立てられていなかった僕らに対して、横浜F・マリノスは新たなルールへの対策がばっちりでしたので、対戦することでチームの反省点や課題点をいくつも発見することができました。第2節以降は作戦を上手く立てることができたので、初戦から横浜F・マリノスと戦えてよかったと考えています。

――プロリーグ19-20 2ndをまとめると、どのようなシーズンでしたか?

マサヤ:
これまでのプロリーグで上位常連チームだった「auデトネーション」や「よしもとLibalent」がシーズンファイナルに進出できないという、誰も予想ができなかったシーズンになったと思います。

同じ1勝でも試合の勝利数によって順位が変動するので、3-2ではなく3-1で勝てる方法を考えたりする必要があるため、作戦立てがかなり重要なシーズンだったとも言えますね。

メンタルコーチのおかげで気持ちのリセットができた

――プロリーグについて、もう少しお話を聞かせてください。プロリーグ19-20 1stで、名古屋OJAベビースターは最下位を経験しています。なぜ勝つことができなかったと分析していますか?

マサヤ:
いろんな要因があるとは思いますが、一番はコミュニケーション量が足りていなかったことだと考えています。

ミーティング以外だとプレイベートの話を少しする程度で、あまり交流に積極的ではありませんでした。そのせいでチームの結束力が頭打ちとなり、肝心な場面での作戦や意見の精度が落ちてしまい、勝つことができなかったのではないかと分析しました。

――シーズン最下位ともなると、メンタルに響きそうです。メンバーの様子はいかがでしたか?

マサヤ:
それなりに落ち込んでいたとは思いますね。でも、僕が一番落ち込んでいたので慰めてもらっていました(笑)。

僕が落ち込んでいるときは、よくさに選手が「大丈夫、気にしなくていいよ」と声をかけてくれて、かなり助けられました。さに選手は技術面はもちろんですが、人としてもすごく尊敬しています。

――さに選手は、元々名古屋OJAベビースターのキャプテンでした。さに選手と交代する形でマサヤ選手がキャプテンになっていますが、これにはどんな理由が?

マサヤ:
さに選手は作戦を立てるのがすごく上手く、作戦周りはさに選手にほぼ任せている状態でした。ですので、さに選手にはリーダーとしてチームをまとめる役割ではなく、チームの参謀としての役割が与えられたということです。

そして、空いたキャプテンのポジションを僕が埋める形となりました。

現在は僕以外の選手が中心になってチームのコミュニケーションを取ってくれているので、僕の立場が少しなくなってきていますね(笑)。

――オフシーズンの間は、どんなことをしましたか?

マサヤ:
名古屋OJAベビースターが勝てないのはコミュニケーション不足だとチームの中で結論が出たので、メンタルコーチのディスカッションに積極的に取り組みました。

その中でも記憶に残っているのが、「タイムラインワーク」と呼ばれる、生まれてから今までの出来事から、数十年後を見据えた未来のことまでを時系列順に並べて、これからは何をするべきなのかを考えるという内容ですね。

これまでは刹那的に対応していたり、目先のことしか考えられていませんでしたが、タイムラインワークを行ったことにより中長期的に自身の人生を考えることができるようになったので、自分の行動に少し自信が持てるようになり、何事にもどっしりと構えられるようになりました。

――メンタルコーチがいるのは心強いですね。

マサヤ:
プライベートでも声をかけてくれて、気を配ってもらえました。かなり助かっていますね。

あとは、試合後に反省会を実施してくれています。試合中や作戦ミーティング中の行動などで良かった部分をメンタルコーチが教えてくれるので、試合に負けたとしてもポジティブな気持ちになることができます。

負けを引きずっていては次の試合にも影響が出てしまうので、試合直後に気持ちをリセットできて助かっています。

友田一貴からのひと言「プロになれば人生変わるよ」でプロ入り決意

――マサヤ選手がプロ入りを目指したきっかけを教えてください。

マサヤ:
僕はプロ入りする前から、横浜F・マリノスキャプテンのあぐのむ選手、レバンガ☆SAPPOROの真春選手、そしてよしもとLibalentのふぇぐ選手と仲良しでした。彼らがプロリーグで楽しそうに戦っている姿を見て、僕も同じ場所で戦ってみたいと思うようになったんです。

また、プロリーグで実況解説を担当されている友田一貴さんから「プロになれば人生変わるよ」と言われたのがプロ入りを決意する後押しになりましたね。

――名古屋OJAベビースターに加入するまで、どんな出来事がありましたか?

マサヤ:
プロチームに応募したのはプロリーグ2ndからなんですが、その時点だと応募できるチームはAXIZと名古屋OJAベビースターの2チームでした。僕は両チームに応募をしまして、ご縁があり名古屋OJAベビースターの一員となりました。採用してもらえて、本当に感謝しています。

――プロリーグのプロフィール欄には、「(プロ)リーグに新しい風を吹かせる」と記載がありました。

マサヤ:
プロ選手になったときに回答したアンケート内容ですね。現在はG×Gのように明るいチームが多いですが、僕がプロリーグ1stを観戦しているときは、プロリーグ全体が暗いと感じていました。

そこで、僕の元気なキャラクターを駆使して明るいチーム作り目指し、最終的にプロリーグ全体を明るく元気な大会にしていきたいと考えていたので、新しい風を吹かせるとアンケートで回答しました。

チームはいい雰囲気になっているので、これからもっと僕の存在感を出して、プロリーグはマサヤがいるから明るく楽しくなったと思わるようになりたいですね!

――理想のプロ選手像を教えてください。

マサヤ:
圧倒的強者というよりも、勝っても負けても応援されるアイドルのような選手が理想です。現在のプロリーグとシャドバの顔はふぇぐ選手だと思うのですが、彼は強いだけでなくキャラクター人気もあります。
このように、試合に勝って存在を証明するだけではなく、配信やメディアへの露出を意識して人気を得られるように活動していきたいです。

――プロ選手になるにはどんな素質が必要だと考えていますか?

マサヤ:
試合で負けてしまったときは、SNSなどで心無い言葉を受けることがありますので、何よりもくじけない心が大事です。加えて、負けたときに気持ちを切り替えられるかどうかはかなり重要だと思いますね。

また、負けてしまったときにファンに謝らないという考え方を持ってることも重要だと考えています。

――といいますと?

マサヤ:
試合で負けたときに謝る必要があるのは、チームメイトだけだと考えています。

ファンは自分のことを好きでいてくれるかぎり応援をしてくれるので、謝罪をしてネガティブな雰囲気にしてしまうよりも、「応援ありがとう、次こそは勝つ!」というようなポジティブな内容でファンに感謝を伝えた方が、ファンもうれしいと思います。

これは、「マジック:ザ・ギャザリング」のプロ選手である原根健太さんの考え方をリスペクトしています。現在のプロリーグでは負けた後に謝る選手もいるので、この考え方に賛同してもらって発言内容を改めてもらえるとうれしいですね。


周りのプロ選手に感化され、自身もプロ入りを決意したマサヤ選手。理想のプロ選手像を抱くだけでなく、プロ選手の在り方にも言及をしており、よりプロリーグを良いものにしたいという気持ちがひしひしと伝わってきた。

後編ではマサヤ選手がチームのキャプテンとして意識していることや、チームの強みが語られた。

写真・BUN

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記者プロフィール
キズグチアロエ
「#コンパス」にどっぷりハマり、「#コンパス」に人生を捧げると決めた、傷口だらけのアロエ。
「#コンパス」に携わるクリエイターたちと、仲良くなりたいフリーライター。
どんなヒーローでもそこそこ扱え、特定のヒーローというよりもヒーロー全員が好き。

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