EVOもウメブラも活躍するあばだんごのスマブラSPキャラ選びとキーコンに迫る

Mako(WPJ編集部)

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■前編記事

スマブラのために「就職より大学院」あばだんごは常にベストの選択をする

苦しい立ち上がりからEVO壇上目前まで到達

――前編ではプロまでの道のりやスマブラSP発売までの動きをお話しいただきました。一方で、プレイヤーとしてはウメブラSP4で優勝するまで苦しい時期が続きました。

あばだんご:
前作の最後のシーズンは日本のランキングで1位だったから、その称号というか日本1位だったんだよっていうのを全面に出してYouTubeで活動していたんですね。

でも、僕が使っていたミュウツーとかベヨネッタが軒並み弱くなってしまったので、新しく使用キャラクターを変えなきゃいけなかったのが苦労というところでは一番大きかったと思います。

当たり前といえば当たり前なんですけど、もともと使っていたキャラが強くなったり、前作のまま強いというプレイヤーがそのまま勝っている状況がありました。

自分は、悩みつついろいろキャラも探り、最初にインクリングを使って、メタナイトとかワリオといった昔使っていたキャラもちょっとずつ触っていたのですが、強いという確信が持てずに不安なまま大会に挑むことが多かったです。

実際にキャラパワーが足りなかったんですけど、海外でもベスト32とかだったし、国内でも一番低いときでベスト48とかで、苦しかった。

――大きい大会でなかなか結果が出ませんでしたね。

あばだんご:
次にキャラを変えたのがパルテナ。このキャラは強いと言われていて、確かに成績は安定するなっていうのは実感としてありました。

でも、上位のキャラとは相性が良くなかったんです。中堅のキャラには勝てるけど、上位のキャラとは壁があった。

それでも、しばらくインクリング、メタナイト、パルテナの3キャラ体制で6月くらいまでやったんですかね。

もちろん最初の頃と比べると、パルテナを使っているから成績は安定してきたし、インクリングのインファイターな戦い方ができるようになってきました。僕が前作で使っていたミュウツーとかベヨネッタは中距離をさばけるタイプだったので、別のスタイルに切り替えには時間が必要だったんです。

5~6月でちょっとずつキャラの理解も深まってきたところで、7月からはEVOに向けてさすがにキャラを絞っていかないといけない時期になりました。

――やはりEVOに向けて仕上げていかないといけないと。

あばだんご:
CEO 2019でトップ8の試合を見て、メタナイトとかインクリングがつけ入る余地がないなって思っちゃったんですよ。

キャラパワーとしてもっと強いやつらがいるのに、このキャラで戦うのは厳しい……。そこでワリオを使うようになりました。

キャラパワーとしても強いのはわかっていたし、EVOのルールって使用ステージが日本より多くて、足場がいっぱいあるステージが多いんです。そこでワリオが強くなるっていうのは目に見えていたので、7月くらいからはほぼワリオに時間を注いだ感じですね。

ワリオに変えてからは苦しい接戦も拾いきれるようになって、メキシコのSmash Factorという大会に出た際もベスト6に入れました。今作では海外の大きい大会でベスト32以上を取ったことがなかったので、この選択は正しかったと確信しました。

EVO当日もほとんどワリオを使いましたね。インクリングを1回使って、他は全部ワリオだったはず。世界ランクで格上であるザクレイ選手などを倒すことができてベスト12の9位タイになれた。

この成績はすごくいい成績だと思っていて、ネガティブな感情はなく、着実に成長できているなって感じられました。

――キャラ選択は、キャラパワーとあとは自分に合うかどうか?

あばだんご:
そうですね。

僕は、中距離で飛び道具とかで動かして捌き切るみたいなのが一番合ってる戦い方だと思うんですね。ミュウツーだったらシャドウボール、ベヨネッタだったらバレットアーツで動かしていく。

でも、今作はその戦い方ができる強いキャラがあんまりいなくて……。他の強いと言われているキャラをとりあえず触ってみて、でもなかなか合わなくてっていうところで、最終的にスマブラXの時代に使っていたワリオに落ち着いたという感じです。もともとメインで使っていたから慣れ親しんだというのはあるんですけど。

基本的には強いキャラを、という考えはあります。

プロとしてスマブラにプラスな存在に

――スマブラは格闘ゲームと比べるとやや若い人が多いように思います。あばだんご選手は、その中ではもうベテランです。若いプレイヤーに思うこと、伝えたいことはありますか?

あばだんご:
うーん……、やっぱり“若くて強い”ってコンテンツとしてすごく魅力じゃないですか?

それが若くなくなったときに、強かったらいいんですけど、もし仮に強くない時期がきたら、若い時期をただ消費してしまうだけになってしまうのかなっていう心配はあります。

今の強い時期をプレイヤーとしてやりたいだけなのか、ちょっと弱くなってしまってもプレイヤーとして続ける意思があって、ゲームでの活動を仕事にする意志があるかによるけど、そこでちゃんと自分をファンにアピールできているのかな? と思う時期もありました。

ただ、若い人も自分で考えて配信とかをやっている人もいるし、今は特にそういう心配とかはしていないです。

あと、学業を捨ててやっていこうという人も中にはいると思うんですけど、それも心配ではあるかな。タイトルが人気であればリスクは少なめではあるかもしれませんが、コンテンツとして終わった時に人生のバックアップはあるのかというのは思ったりします。

数年後の世界なんてまったくわからないし、YouTubeのアルゴリズムが変わるだけで一瞬で死ぬ可能性すらあるわけじゃないですか。そういうことを考えて活動している人は少ないかもしれないなとは思いますかね。

誤解を恐れずに言うと、日本は大学卒業という肩書が役に立つ国だから、大学には行っておいた方がいいんじゃないかと思います。大学に通ってもプレイヤー活動に使える時間はあんまり変わらないでしょうし。

――プロゲーマーになりたいという人はこれからどんどん出てくるのではないかと思います。あばだんご選手としてはプロゲーマーとはどんな人であると思いますか?

あばだんご:
形式だけで言えば、スポンサードを受けてしまえばプロだという見方は世間的にもありますが、自分はそのゲームに対してプラスの影響を与えられたらいいなって思いますね。

この前、東京ゲームショウ2019にSmashlogメンバーで出演させていただいたんですけど、「あばだんごさんの動画を見てスマブラ始めました」とか「動画を見て強くなれました」という人が来てくれてうれしかったですね。イラストを描いて持ってきてくれた人もいました。

そういうときが、一番プロゲーマーとしての価値を感じます。

――Smashlogはそういう考えから始めたのですか?

あばだんご:
今でこそ配信などをやっている人はいっぱいいるんですけど、当時、上位プレイヤーとか大会に出ているプレイヤーで配信している人なんて本当にいなくて、ブログを書く人もいなかったんです。

自分の考えを観戦している人に知ってもらおうとしている人がいなくて、それはちょっと良くないと思って、僕はブログでそういう意見を言い続けていたんですよ。そしたら今Smashlogを運営している人に声をかけてもらいました。

プレイヤーが発信できる場所があればいいよねって構想のもと、みんなで攻略記事とかを作ったらいいんじゃないっていうのを、利益度外視でスマブラが好きだからやりたいと提案されて、僕もこれならやっていけそうだなって思って。

――公式大会「スマッシュボール杯」の西日本リーグ第2期に参戦していますが、今のところの感想はいかがですか?

あばだんご:
アイテムありで毎回ルールもちょっと変わって面白いですよね。実は、第1期から参加したかったんですけど、予選で勝ちきれなくて出れなかったんです。

第1期中も大会の予選がいくつかあって、4回くらい決勝トーナメントまでいってるけど通らないのが続いて、ようやく出れたんです。第1期も全部見ていたくらい楽しんでいたんですけど、今も楽しんで参加しています。

――スマッシュボール杯もそうですし、プレイヤーとして活動する場がたくさんあるように思います。ずばり目標は?

あばだんご:
直近では世界ランキングを20位以内には上げたいと思ってて、今のところの成績だと圏内ではあるので狙っていきたい。最終的にはトップ10には入りたいと思ってます。


1人のプレイヤーとして、プロゲーマーとして、スマブラにとってプラスになることを模索し行動に移すあばだんご選手。

ときには他のプレイヤーも巻き込んでいくこともあり、プレイヤーでも観戦勢でも注目すべき存在だ。

何より世界ランキング20位以内という目標が現実味を帯びてきているところであり、直近の大会での活躍を祈るばかりである。

写真・Yumiko Mitsuhashi

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記者プロフィール
Mako(WPJ編集部)
スマホゲームの攻略サイト、情報メディアを渡り歩いてウェルプレイドジャーナルに流れ着いた超絶新進気鋭の若手編集者。イベント取材では物販やコスプレイヤーに釘付けになりがち。

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